リック・ネルソンがボブ・ディランの「She Belongs To Me」を歌う
リック・ネルソンのキャリアの第2期といわれるものは、1969年5月10日に、スタジオでボブ・ディランのアルバム『Bringing It All Back Home』収録の楽曲をレコーディングしたことから形作られる。
1950年代後半アメリカのロックン・ロールの憧れの的の一人となった後、リッキーは1961年には彼のレコーディング名から「Y」を取り除き、60年代半ばに向けて、より大人の観客向けにシフトしていった。この1969年の5月の日に、リック・ネルソンは、彼の生まれ変わりを歓迎する楽曲 「She Belongs To Me」をストーン・キャニオン・バンドとともに録音した。
ボブ・ディラン自身のヴァージョンは、それよりも4年ほど前の作品で、悪名高いマンチェスターのフリー・トレード・ホールで行われた‘エレクトリックな’コンサートのオープニング・ナンバーだ。リック・ネルソンに関する限り、当時はチャートの不毛期にあり、それが、彼を興味があったカントリー・ロックを追い求める決心へと駆り立てた。
ボブ・ディランの楽曲の原初のヴァージョンは、リック・ネルソンがこの方向に向かった第一歩であり、レコーディング・セッションの3か月後、「She Belongs To Me」はシングルとして、1963年以降にリック・ネルソンが契約していたデッカから発売された。これは非常に思い切った一手であり、リック・ネルソンがいいところに気づいたかもしれないという初期の兆候は、8月30日のBillboard誌に掲載された。
「重要なチャート作品を代表するボブ・ディランの曲の(リック・)ネルソンによる新鮮で新しい音についての見解」と彼らのスペシャル・メリット・スポットライト・セクションのシングルのレヴューで語られている。その1週間後には、「ネルソンによる最高級のパフォーマンス」と、同雑誌は、このシンガーの新たな音楽の方向性に関して、ライヴ・レビューでも掲載している。
当時、カントリー・ロックの人気は上がっており、ラジオの番組制作者もこの盛り上がりに徐々に参加していった。ラジオでのオン・エアが「You Belong To Me」助けとなり、10月11日に全米シングル・チャートにチャートインを果たす。はじめの動きは非常に遅く、2週連続で99位入りした後に、100位以内から落ちた。
しかし、96位に再浮上した後は、より力強くチャートを上がっていき、クリスマスまでに、56位に到達した。70年代の幕開けと共に、「She Belongs To Me」はチャートを再度上がり始め、1月後半には33位にあがり、18週チャートに在位した。1964年の「The Very Thought Of You」を全く違うスタイルで、ここ6年間において初の全米TOP40となった。
Written by Paul Sexton
『Rick Nelson’s Greatest Hits』から「She Belongs To Me」を試聴