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全米1位シングルを収録したダイアナ・ロス『Touch Me in the Morning』
1973年、ダイアナ・ロスはすでに何年もの間女王としての座を守ってきた。しかし1970年代初期は、元シュープリームスのフロント・ウーマンだった彼女にとって新しい冒険と実験に満ちた時代となった。1972年には映画『ビリー・ホリデイ物語 奇妙な果実』でビリー・ホリデイを演じることに挑み、再びレコーディングを手掛けると次にリリースしたアルバムは有名なヒット・シングルを生み、ポップ界で大きな成功を収め、1973年8月25日にはR&Bチャートで1位を獲得。ここでは『Touch Me in the Morning』を紹介しよう。
シングル・チャートのファンでアルバムに興味なかった人たちでも、ロスのそれまでで最も成功したシングル2曲が含まれているので楽しめるだろう。タイトル・トラックのマイケル・マッサー/ロン・ミラー作のバラードは、1週間前の1973年8月に全米ナンバーワン・シングルとなった。そしてマイケル・ランダル作曲の素晴らしいバラード「All Of My Life」はなぜか全米チャートを逃したが、1974年初期にはUKで9位にランクインされ、タイトル・トラックと同じランキングとなった。
アルバムにはその他にもディーク・リチャーズ作曲の「We Need You」、カーペンターズのヒット曲「I Won’t Last A Day Without You」(ロジャー・ニコルスとポール・ウィリアムス共作)、そしてジョン・レノンの「Imagine」など、ダイアナ・ロスのヴォーカルの存在感を示すトラックが幾つか収録されている。ノスタルジックな‘Lady Sings the Blues’(*訳注:ダイアナが演じたビリー・ホリデイの映画の原題であり、ビリー・ホリデイの自伝、アルバムのタイトルでもあることから、ビリー・ホリデイの精神を受け継ぐという意味と思われる)の精神を受け継ぐ楽曲に続くのは、1935年のロジャーズ&ハートの「Little Girl Blue」。
「Imagine」と最終トラックのメドレー「Brown Baby」とマーヴィン・ゲイの「Save the Children」でロスは初めて正式にプロデューサーとしてクレジットされており、その他にマイケル・マッサー、マイケル・ランダル、ディーク・リチャーズ、そしてギル・アスキーがアルバムのプロデューサーとして参加している。2010年にリリースされたデラックス版では、追加で別のテイクや、ロスが当時手掛けており、途中で発売中止となったアルバム『To the Baby』に収録されるはずだった未発表トラックが収録されている。
Written By Paul Sexton
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