ケイティ・ペリー『Teenage Dream』:真のスターとなったの大成功の理由とその道筋

Published on

『Teenage Dream』のような大成功を収めたアルバムは数少ない。大ヒットを6曲生み、その内5曲は全米チャートの一位を飾り、これまでに600万枚の売上を達成した上に一連の賞にノミネートされたアルバムは、キャリアの正念場を迎えていたケイティ・ペリーにとって完全な勝利となった。

ケイティ・ペリーの成功への突破口となった2008年のシングル「I Kissed A Girl」は刺激的でキャッチーなトラックで、彼女にとっての最初の大ヒットとなった。その後発売された12曲が収められたアルバム『One Of The Boys』は、国際的なキャリアを開始させるには十分なインパクトを世に与えたが、果たして最初の大ヒット・シングル「I Kissed A Girl」をその後超えることはできるのかどうか心配された

しかし次なるアルバム『Teenage Dream』は、ケイティ・ペリーがスターとしての素質とその座を守り続ける力を持ち合わせていること、そして移り気なポップ市場よりも上手(うわて)であることを証明した。他アーティストとのコラボレーションも作品の成功へのキーとなっており、世界最高レヴェルの作曲家たちの手によってアルバムは制作された。

ブレイクスルーとなったケイティ・ペリーとしてのデビュー・アルバム(*2001年にケイティ・ハドソン名義でアルバムをリリースしている)ではマックス・マーティンとキャシー・デニスが参加しているが、『Teenage Dream』ではより幅広いコラボレーターたちを迎え、一貫性のある商業的な輝きで飾られた多様な楽曲が用意された。スヌープ・ドッグとのファースト・シングル「California Gurls」では、スヌープ・ドッグとの抜け目のないコラボレーションのお陰で甘いポップ曲に親しみやすい信頼性が加えられた。この曲は世界中のチャートに登場し、全米チャートでは2週間1位にランクインされた。

アルバムのタイトル・トラック「Teenage Dream」は、セカンド・シングルとしてアルバム発売の1ヶ月前の2010年7月にラジオでリリースされ、「California Gurls」の後を追い全米チャートのトップを飾った。しかし、3枚目のシングル「Firework」によってケイティ・ペリーはポップ界のプレミアリーグの真の仲間入りを果たしたと言えるだろう。

この曲は レディー・ガガマドンナが長いこと訴えてきたエンパワーメントのテーマをしっかりと捉えたティーンたちの賛歌となり、今でも多くの人から彼女の最高の曲として称賛されている。全米チャートのトップへ向かって勢い良く上昇する「Firework」は『Teenage Dream』を成功へと導き、グラミー賞7部門にノミネートされ、その中には誰もが望んでいた最優秀アルバム賞と最優秀レコード賞が含まれていた。

その後もヒットは止まらなかった。2011年発売のカニエ・ウェストとのコラボレーション「E.T.」はその記憶に残るプロモーション・ビデオと共に、非連続的に5週間全米シングル・チャートの1位にランクインされ、すぐにスターであるケイティ・ペリーのトレードマーク・ソングとなった。

この頃になるとケイティ・ペリーを見ない日はないほどだった。そのクレイジーなポップ・キャラクターは親しみやすかったが、そんな意図的な面を隠すところもあった。例えばアルバム・トラック「Peacock」は、ケイティ・ペリーによると個人のパワーを祝う生意気な賛歌であるが、同時に他の解釈もできる曲でもあった(*歌詞の歌い方が男性器のスラングcockを連呼するように聞こえたため )。何しろ、彼女はコメディアンのラッセル・ブランドと結婚したばかりだった…とにかく、マドンナのように挑戦的なアプローチをとらずに、注目されることや話題になることを楽しむケイティ・ペリーは大勢のファンの心を惹きつけた。

もうひとつの魅力は彼女が真面目過ぎないことだ。「Last Friday Night (TGIF)」もまた記憶に残るプロモーション・ビデオが制作され、いつも周りに取り残されてしまう女の子をケイティ・ペリーが演じている。ユーモアが目立ってしまうが、この曲は自分自身のために立ち上がる大切さを伝えている。アメリカで再びトップに躍り出ると新たな歴史を刻み、1枚のアルバムから5枚のトップ・シングルをアメリカでリリースした初の女性アーティストとなった。

6枚目のシングル「The One That Got Away」はその記録を守ることはできず、アメリカでは最高5位にランクインされた。それでも十分以上に素晴らしい記録であることは間違いない。

完璧な商業的戦略で並外れた成功を収め、ラジオ局は『Teenage Dream』をサポートし、ケイティ・ペリーは正真正銘のメガ・ポップ・スターとしての地位を確保した。アルバムは幾つかの賞を受賞し、多くの賞にノミネートもされ、「California Dreams Tour」を通じて世界中で公演を行い、2011年の最も興行収益を上げたツアーとなった。

アメリカでキャピトルから発売された『Teenage Dream』はまだ10年経たないが、既に世界的な傑作として認められている。その後2015年に『Prism』をリリースし再びヒットとなったが、この先も『Teenage Dream』は彼女の代表作であり続けるだろう。たしかに「Sweet dreams are made of this(甘い夢はこれでできている)」のだ。

Written by Mark Elliott



ケイティ・ペリー『Teenage Dream』

Share this story

Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
モバイルバージョンを終了