ヒット曲「Luka」を収録したスザンヌ・ヴェガの『Solitude Standing / 孤独』
カリフォルニア生まれのシンガー・ソングライターであるスザンヌ・ヴェガにとって初めて全国と世界的な成功を収めた1985年は、そのキャリアの中で重要な年となり、その2年後の1987年にはとうとうブレイクしてプラチナ・ディスクを獲得した。1987年4月1日にリリースされた2枚目となるアルバム『Solitude Standing』はクリエイティヴで非常に重要であり、そして商業的成功を収めた作品となった。
東海岸へ渡りニョーヨークのグリニッチ・ヴィレッジ・フォーク・シーンから出現したスザンヌ・ヴェガは、1985年にA&Mからセルフタイトル・デビュー・アルバムを発売し成功した。代表曲「Marlene On The Wall」はMTVとVH1の両音楽チャンネルで本日のお薦めPVとして紹介され、UKトップ20まであと少しのところまでチャートを上昇した。ロングヒットとなったこの曲はアメリカでは最高91位にランク・インされ、UKだけではなくオランダとニュージーランドでも人気となった。
1986年には、ジョン・ヒューズ監督のヒット映画『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』のサウンドトラックに収録された「Left Of Centre」によりスザンヌ・ヴェガは注目を浴び続けた。そして1987年4月にセカンド・アルバムを発売したが、恐らく当時はそれが自分のキャリアの中で最も人気の高い作品となることは予測していなかっただろう。
『Solitude Standing』のプロデュースはスティーヴ・アダボと、パティ・スミスの元ギタリストでスザンヌ・ヴェガのデビュー作品をスティーヴン・ミラーとともにプロデュースしたレニー・ケイが手掛けた。アルバムの殆どの曲がスザンヌ・ヴェガがデビューした1985年より後に書かれているが、最も有名な曲はメジャー・デビューよりも前に作られている。
アカペラ・ヴァージョンのオリジナル曲「Tom’s Diner」がオープニング・トラックとして収録されている(このトラックは1981年に書かれた曲である)。この曲はイギリスのDNAが1990年に手掛けたリミックスがポップとダンスの両フィールドで大ヒット曲となり、思いも寄らない助けをスザンヌ・ヴェガのキャリアに与えて、全英で最高2位にランク・インし、アメリカでも5位にランク・インしてゴールド・ディスクを獲得した。その思いも寄らないリミックスのお陰で、彼女自身と3作目となる『Days Of Open Hand(邦題:夢紡ぎ)』と共に、オリジナルを収録した2枚目のアルバム『Solitude Standing』がリバイバル・ヒットとして更に注目を浴びることになった。
『Solitude Standing』からの繊細でフォーク調のファースト・シングル「Gypsy」は、ずっと前の1978年に書かれた曲だった。ヒット曲ではなかったが、アルバムの前菜としての役割を果たし、次に1984年に作られた「Luka」が続いた。「Luka」は幼児虐待についての曲で、スザンヌ・ヴェガにとっての初のUSチャート入りを果たしたシングルとなった。最高3位に、そしてUKではトップ30にランク・インした。
アルバムにはその他にも1984年に書かれた「Calypso」と「Ironbound/Fancy Poultry」が収録されており、後者は映画作曲家のアントン・サンコーとの共作である。その他のコラボレーターとして「In The Eye」のマーク・シュルマンと、タイトル・トラックと他の数曲でマイケル・ビスチェリアが参加している。
評論家たちは『Solitude Standing』の芸術性と曲作りを称賛し、フィラデルフィア・インクワイアラー誌は「スザンヌ・ヴェガの時代が到来」と称賛。オーランド・センティネル誌のトム・ダフィーは「彼女のユニークな物思いに相応しい夢見るようなサウンド」と書いている。ロサンゼルス・タイムズ誌のクリス・ウィルマンは、「夢中にさせるセカンド・アルバム…孤独感によって形作られたはっきりとした自己認識を持った様々な人格に溢れている」と書いている。
『Solitude Standing』はスザンヌ・ヴェガ、そしてファンたちにとって特別な作品であり続けている。2012年に25週年記念を迎えたスザンヌ・ヴェガは、3公演をアメリカで、1公演をロンドンの計4公演にてアルバム全体をパフォーマンスした。2017年9月にはニューヨークのシティ・ワイナリーにて3日間ライヴを行い、そこでも『Solitude Standing』全体と1992年の『99.9F(邦題:微熱)』からの曲もすべて歌った。同年の後半にも同じステージを行っている。
Written By Paul Sexton
スザンヌ・ヴェガ『Solitude Standing』