ブライアン・イーノ&デヴィッド・バーン『My Life In The Bush Of Ghosts』解説

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「アメリカは待っている」と、ラジオ番組のDJが『My Life In The Bush Of Ghosts』のオープニング・トラックを紹介する時に言った。しかし、集められたサウンド、部族のドラム、ループするエフェクト、そして“ワールド・ミュージック”の歌声で溢れるブライアン・イーノ&デヴィッド・バーンの画期的なコラボレーションを聴く心の準備はアメリカにはまだできていなかった。

アプルーヴが出るまで1年かかり、1981年2月にアルバムがやっとリリースされた時でも、未来的なサウンドに聴こえたのだ。それは今でも変わらない、このアルバムは彼らのヴィジョンの証しだった。ジ・オーブのアレックス・パターソンが最近uDiscoverにこう語ってくれた。

「あの作品は、僕がその後やることのハッキリとした青写真となった。素晴らしいアルバムだよ」

ブライアン・イーノは『My Life In The Bush Of Ghosts』を「サイケデリックなアフリカのヴィジョン」と呼んだ。多くの者はそれがサンプリングの元祖だと言っている。実際には違うが、今でもインスピレーションを与えるひとつの音楽のタイプを開拓したことは間違いない。

「Regiment」のファンクの効いたベース、東洋のパーカッション、“フリッパートロニクス”のギター、そしてレバノンの山の歌(Dunya Yunisの1976年コンピレーション・アルバム『Music In The World Of Islam: The Human Voice』からのサンプル)を聴いてもらえれば理解できるだろう。これはティンバランドやミッシー・エリオットが20年後にリリースした「Get Ur Freak On」などの曲の青写真となった。

ヒップホップ、ワールド・ミュージック、アンビエント、そしてダンスの要素など『My Life In The Bush Of Ghosts』にはすべてが詰まっていた。「The Jezebel Spirit」はファンク色があんなに濃くなければダンスフロアを揺るがすようなトラックになっただろう。しかしそのように様々なサウンドが衝突することによって、アルバムはパワフルな作品に仕上がっている。『My Life In The Bush Of Ghosts』は英語圏のリスナーたちに、先住の音楽を紹介したことで称賛されることが多いが、文化はそれぞれの世界にしか存在できないと言って距離を置くようなことは決してしない。すべてを一緒の鍋で煮立てることにより、ブライアン・イーノとデヴィッド・バーンはそこに命を吹き込んでいるのだ。『My Life In The Bush Of Ghosts』は、地球規模であり区別なくすべてを受け入れる意味で“ワールド・ミュージック”と呼べるだろう。

そして二人は元となる音源を生き返らせている。イギリスのイスラム教協議会が「Qu’ran」で使用されているクルアーンに対して異議を唱えると、その後に作られたアルバムからは外され、代わりに12インチ「The Jezebel Spirit」のB面トラックだった「Very, Very Hungry」が収められた。2006年にアルバム発売から25周年を記念してリイシュー盤がリリースされた時に、「僕たちはそのことに関して慎重になった」とデヴィッド・バーンはピッチフォークに語っている。「みんなに不満がないように、僕たちはものすごく気をつけた。だって、色んなことで非難されるだろうと思ったから」。

アルバムの2006年発売のリイシュー盤にはオリジナル・トラックのエクステンディッド・ヴァージョンと新しいトラック6曲、そして未発表の「Side Three」のヴァージョンが含まれている。リイシュー盤で再びコラボレーションを行ったデヴィッド・バーンとブライアン・イーノは再び共に曲作りをするインスピレーションを受け、現時点で最後となるコラボレーションを2008年に『Everything That Happens Will Happen Today』としてリリースした。その一方で、『My Life In The Bush Of Ghosts』は今でも変わらずに未来の可能性を指している。

Written By Jason Draper


ブライアン・イーノ&デヴィッド・バーン『My Life In The Bush Of Ghosts』


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