クール・アンド・ザ・ギャング『Something Special』アルバム解説
ジャージー・シティー出身のクール・アンド・ザ・ギャングが80年代初期にはすでに音楽の達人であったと表現することは、ソウルとファンク界での活躍と12年間続いたチャートでの偉業を控えめに表現することになってしまうだろう。
1981年に発売された『Something Special』により、国内外で最も有名なR&Bアーチストの一つとしての彼らの存在が更に拡大された。1979年の『Ladies Night』と1980年の『Celebrate!』が大成功を収めた後に発売されたこの作品で、3回連続のUSプラチナ・ディスクを獲得し、彼らのコレクションに新たな代表ヒットが追加されたのだ。
数枚のシングルを通じてアルバムはUKとUSの両方で知れ渡るようになった。その頃にはすでにクール・アンド・ザ・ギャングはUKファンとの間に特別な関係を築き上げており、過去2年間だけでも4枚のトップ20シングルを発売。その中にはディスコ時代を定義する手助けをした「Ladies Night」と「Celebration」などのトップ10ヒットも含まれている。
『Something Special』のファースト・シングル「Steppin’ Out」は最高12位にランクインされ、同時にUSでは新しい楽曲「Take My Heart (You Can Have It If You Want It)」が発売された。USではポップチャートのトップ20にランクインされたが、R&Bチャートでは1位を獲得し、トップを飾った9トラックの内の6曲目となった。
『Something Special』のUKでの売り上げが好調であるその一方で、観客たちの次の楽曲への要求に応じてダンスの傑作トラック「Get Down On It」が早めに発売された。非常に魅力的なダンスフロアーを揺るがすこのトラックは、イギリスで最もヒットした曲となり、1982年の1月には3位にランクインした。
その頃になると「Steppin’ Out」はアメリカでもシングルとして発売され、UKと同じくR&Bチャートで最高12位にランクインし、その後「Get Down On It」はソウル・チャート4位に、そしてポップ・チャートで10位にランクインしてゴールドディスクを獲得した。遅れてUKでリリースされた「Take My Heart」のインパクトはそこまでではなく最高29位となったが、それでも『Something Special』のお陰でクール・アンド・ザ・ギャングは6ヵ月間連続でUKとUSの両方で幾つものシングル楽曲が成功を収めた。
リード・シンガーのジェイムズ・”J.T.”・テイラーとバンド設立メンバーのロナルド・ベルがアルバムの作曲を殆ど担当し、著名なブラジル人ジャズ・ダンスのプロデューサー兼アーティストのエウミール・デオダートがプロデュースを手掛けた。しかしメンバー全員がアルバムの作曲家として貢献し、影響力のあるシングルは、アルバムに収録された「Good Time Tonight」や「Stand Up And Sing」、そしてスタイリッシュなスローな曲「Pass It On」と「No Show」など気持ちの良いダンス・トラックによって支えられている。
アルバムはバンドにとっての13作目のアルバムとなり、初めてUKでチャートインした作品で、最高10にランクイン、翌年の春にはゴールドディスクを獲得した。“Something Special”(何か特別な存在)であることは間違いない。
Written By Paul Sexton