コルトレーンの作品中、総合的に最高のアルバム『Live at Birdland』
1963年10月8日にジョン・コルトレーンは、ピアノのマッコイ・タイナー、ベースのジミー・ギャリソン、そしてドラムのエルヴィン・ジョーンズと共にニューヨークのジャズ・クラブ、バードランドにて演奏し、そのパフォーマンスの一部をルディ・ヴァン・ゲルダーがレコーディングした。
1964年に発売された『Live At Birdland』は、インパルス・レコードから発売されたコルトレーンの2枚目のライヴ・アルバムとなる。実際にはその有名なマンハッタンのクラブでレコーディングされたのは、オリジナル・アルバムでは5トラック中の3トラックだけで、残りの2曲はその1ヶ月後にニュージャージーのイングルウッドクリフにあるルディ・ヴァン・ゲルダーのスタジオにて行われたセッションからのものだ。
バードランドで録音されたトラックは、モンゴ・サンタマリアの「Afro-Blue」、ビリー・エクスタインの「I Want To Talk About You」、そしてコルトレーンのオリジナル「The Promise」の3曲。エクスタインの曲は元々コルトレーンの1958年のアルバム『Soultrane』に収録されているが、ここでは8分以上にわたる素晴らしい長尺カデンツァとして収められている。
バードランドでのレコーディングから1週間程経ってからバンドはヨーロッパへ飛び、3週間かけてストックホルム、オスロ、エーテボリ、アムステルダム、パリ、ベルリン、そしてシュトゥットガルトでツアーを行った。その後に続いてヴァン・ゲルダーの元で行われたセッションでコルトレーンのオリジナル2曲「Your Lady」と「Alabama」がレコーディングされた。
「Alabama」は、アラバマ州バーミンガムの16番通りバプティスト教会にて白人至上主義者による爆弾で亡くなった4人の子供たちに捧げた曲である。オリジナル・アルバムにはプレス段階で過ちがあり後に正しいアルバムが発売されたが、改善されたCD版にはフランツ・レハールの「Vivias」のメロディを使ったコード変化とスウィング要素が特徴的な「Vilia」も収録されている。
評論家たちはこの作品を“コルトレーンの作品中、総合的に最高のアルバム”と評価しており、それを否定することはできない。タイナーの演奏は最初から最後まで素晴らしく、また、「The Promise」と前述した「I Want To Talk About You」のカデンツァは際立っており、コルトレーンが美しいバラードとして意識しながら扱っているところが更に見事なトラックに仕上げている。
コルトレーンの良さを誰かに伝えたいなら、まずはこの作品を紹介するのが良いだろう。
Written By Richard Havers