チャーリー・パーカー『Jam Session』“スウィングの素晴らしさが分からない人でもこのアルバムを聴けば説得できる”
1952年7月のある夏の夜、ノーマン・グランツは同世代の最高のジャズ・ミュージシャンたちと集まり、カリフォルニア州ハリウッドに建つラジオ・レコーダーにてレコーディングを行った。グランツは集まったミュージシャンたちに自由に演奏してもらい、自然と生まれたサウンドを録音することを望んだ。若く前途有望なレコード会社の社長にとってジャム・セッションこそが愛するジャズだったのだ。
そのセッションから2枚組の10インチLPが『Norman Granz’ Jam Session #1』と『Norman Granz’ Jam Session #2』として1952年後半にクレフ・レコードから発売された。グランツは1956年にヴァーヴ・レコードを設立、CDの時代になった時に1枚組のCDとして再発した。伝説的な存在であるデヴィッド・ストーン・マーチンが手掛けたジャケットのデザインは、レコード盤2枚と殆ど変わらない。
セッションに参加した演奏者たちはずば抜けていた。トランペット奏者のチャーリー・シェイヴァース、史上最も有名なサックス奏者3人であるベニー・カーター、ジョニー・ホッジスと、“バード”として親しまれたチャーリー・パーカー、2人の偉人テナー・サックス奏者のフリップ・フィリップスとベン・ウェブスター、そして最高のリズム・セクションが集まった。ピアノにオスカー・ピーターソン、ギターにバーニー・ケッセル、ベースにはレイ・ブラウン、そしてドラムにはJ.C.ハード。チャーリー・パーカーのその伝説的な地位によって、再発盤は『Charlie Parker Jam Session』と名付けられた。
オープニング・トラック「Jam Blues」の冒頭の数小節を聴いただけで、特別な楽しみが待っていることがわかるだろう。彼等の世代にしかできない方法でバンドはスウィングしている。ソロからソロへと続き、才能溢れるバーニー・ケッセルの素晴らしいギター演奏も含まれている。美しい「Ballad Medley」にはそれぞれのミュージシャンが選んだ曲が含まれており、実に素晴らしい。すべてのチャーリー・パーカー・ファンにとってのハイライトは「Funky Blues」で、それはぴったりのタイトルと言える。パーカーの卓越した演奏を聴くと、まるで52丁目にある煙が立ち込めたクラブで行われている深夜のセッションを立ち聴きしているような気分になる‥その場にいることができたら‥そしてシェーバーの最高のソロを忘れてはならない。
カーターと、ベン・ウェブスターの息が混じるテナー演奏も素晴らしい。そして最後に一つだけ付け加えたい。オスカー・ピーターソンの演奏は上品なだけだと思っているなら、このアルバムを聴けば彼が完璧なジャズ・プレイヤーであることを知るだろう。もっと彼は称賛に値するミュージシャンであることは間違いない。
スウィングの素晴らしさが分からない人でもこのアルバムを聴けば説得できるだろう。しかし何よりも『Charlie Parker Jam Session』を聴くと、ブルースとジャズは互いに近い存在であることを知るはずだ。
Written By Richard Havers
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