クイーンのラブ・ソング10選:愛について歌う普遍的な名曲とメンバーのコメント【全曲動画付】
クイーンの曲の中でタイトルに「Love」が入っている曲は15曲あり、リードシンガーのフレディ・マーキュリーは会話の中でいつも「Love」を使っていた。フレディはかつてライブソングについてこう語っている。
「僕が書いている曲のほとんどはラブ・バラードで、悲しみや拷問のようなもの、痛みをテーマにしたものだけど同時に軽薄で、そして毒舌的でもある。それが基本的に僕の性格なんだと思う。僕は真のロマンチストだから」
バレンタインデーを記念して、世界的ヒット曲「Somebody to Love」や「Crazy Little Thing Called Love」など、クイーンのラブソング10曲を取り上げた。これらの曲はバンドの真の精神と素晴らしいフロントマンであるシンガーが、作品を通して感情と脆弱性を示すことを決して恐れなかったことを明らかにし、この10曲は普遍的な愛の感情を扱った時のクイーンの魅力を思い出させてくれるだろう。
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1. Funny How Love Is (1974)
フレディは、1974年のセカンド・アルバム『Queen II』に収録された「Funny How Love Is」のような楽観主義的な歌から、愛が危険であることについてエッジの効いた曲を書いたり、インタビューで自身の恋愛をロシアンルーレットに似ていると言及していた1980年代半ばまで、愛についての姿勢が年々変わっていった。
「Funny How Love Is」は、愛がどのように遍在しているかを明るく楽観的に映し出した曲だ。録音では最初の5テイクまではピアノを中心としたアコースティックな曲だったが、フレディの友人でプロデューサーのロビン・ケーブルを介して「Wall of Sound」な重工的なトラックへと進化していった。
「あのアルバムは、俺たちが初めて本格的な音楽制作に取り掛かった頃のもので、それまでの限界を超えた時だった」とロジャーはコメントしている。「Funny How Love Is」は非常に高い音域のヴォーカルで歌われており、それがフレディがライブで歌うことを嫌がった理由となっている。クイーンの有名なラブソングは他にもあるが、「Funny How Love Is」はバンドの旅立ちの時の無邪気さと楽観主義を捉えている。
2. You Take My Breath Away (1976)
クイーンは波打つようなスタジアム・ロックのヒット曲で有名だが、繊細さも兼ね備えたバンドである。彼らの最もハートフルなラブソングの一つは、1976年のアルバム『A Day at the Races』に収録されている「You Take My Breath Away」だ。フレディはこの楽曲をレコーディングする前、1976年9月にロンドンのハイド・パークで行われた20万人の観客の前でこの曲を試している。「とてもエモーショナルで、ゆったりとしたナンバーだよ。自分の声がこんなに突き抜けるとは思っていなかった」と彼は振り返っている。観客の反応にとても満足した彼は、この曲がアルバムに収録されることを確信したのだった。
フレディがアルバム『A Day at the Races』のためにこの曲をレコーディングしたとき、彼は「You Take My Breath Away」をピアノを中心としたストレートな曲として残し、自分自身のヴォーカルでの多重録音を担当した。このシンプルさが、ゆっくりとした心に響くバラードの中で、愛情を求める気持ちを表現している。「何千人もの人に愛されていても、一番孤独な人間なんだ」とフレディこの曲について語っている。
3. Good Old-Fashioned Lover Boy (1977)
クイーンによる音楽の魅力の一部は、時にそれが単純に楽しいということだ。フレディとバンドはラグタイム音楽を愛しており、それが彼らの初期のサウンドに影響を与えた。ロマンスの夜を待ち望むスリルを歌ったこの曲には、1920年代の人気俳優ルドルフ・ヴァレンティノや、ロンドンの象徴的なリッツ・ホテルでワインを飲むことへの言及が含まれている。
「Good Old-Fashioned Lover Boy」はアルバム『A Day at the Races』に収録され、1970年代後半の彼らのライヴの定番となった。この曲がレコーディングされた日、バンドはとても良い気分だったので、プロデューサーのマイク・ストーンにいくつかの部分を歌ってもらっている。
4. One Year of Love (1986)
ベーシストのジョン・ディーコンは、バンドの中で自分を「静かなメンバー」と表現していたが、彼の内気な性格は強力なソングライティングの才能を裏付けており、ロマンティックな曲「One Year of Love」でそれを証明している。この曲はもともと1986年の映画『ハイランダー 悪魔の戦士』のサウンドトラックの一部として作曲され、後にアルバム『A Kind of Magic』に収録された。
ギタリストのブライアン・メイはこの曲には参加しておらず、ローリング・ストーンズやジーノ・ワシントン、ジョージー・フェイムらと共演したことのあるミュージシャン、スティーヴ・グレゴリーのサックスがフレディのパワフルなヴォーカルとともに美しい音色を奏でている。フレディの心のこもった歌声はジョンによるロマンティックなイメージにぴったりで、特に「One sentimental moment in your arms/is like a shooting star right through my heart(あなたの腕の中での感傷的な瞬間は、私の心に流れる星のようなもの)」のような歌詞では、この曲の魅力を存分に発揮している。
5. You’re My Best Friend (1975)
ジョン・ディーコンは、シェフィールド出身で教師を目指していた女性であり妻ヴェロニカ・テツラフのことを歌った感動的なラブソング「You’re My Best Friend」も書いている。ブライアンはこう振り返る「ジョンはそれほど多くの曲を書かなかったけど、書いた時は大ヒットしました。“You’re My Best Friend”はアメリカのラジオで最もプレイされた曲の一つになったんです」。
「Bohemian Rhapsody」に続くシングルとしてリリースされたこの曲は、モータウン風の甘いアレンジと見事なハーモニーが特徴。このシングルはイギリスでヒットし、後にアメリカでは100万枚以上の売り上げを記録してプラチナに認定された。ロジャー・テイラーの巧みなドラミング、ベース、スネア、ハイハットは、ジョン・ディーコンのフェンダー・ベースと相性が良かった。ジョンはこの曲でエレクトリック・ピアノWurlitzer EP-200も演奏し、ブライアンは有名なレッド・スペシャルのギターでいつもの魔法をかけた。1979年にリリースされたクイーンのライヴ・アルバム『Live Killers』には、2分間の軽快なヴァージョンが収録されている。
6. Save Me (1980)
クイーンのメンバーは全員がソングライターであり、彼らは愛を祝福する曲だけでなく、恋愛の失敗についても書いていた。例えばロジャー・テイラーは、失敗した恋愛をテーマに“車は口答えしない”というオフビートな「I’m in Love with My Car」を書き、ブライアン・メイはごまかし以外の何物でもなかった恋愛をテーマにした「Save Me」でソングライティングの才能を発揮した。アルバム『The Game』に収録されているこの曲では、ブライアンは心を揺さぶるようなギターソロを披露し、パワーバラードのように高揚感のある曲に仕上げている。
ブライアンは、結婚生活が崩壊していた友人のために痛みを伴う歌詞(「毎晩私は泣いている/私はまだ嘘を信じてて」)を書いたと語っている。また、ブライアンは後に、野生動物の保護を目的とした募金活動を行っている慈善団体「Save Me Trust」にこの楽曲の名前を使用している。
7. Love of My Life (1975)
「愛ということについてであれば、拷問や痛みでも通り抜ける。それが僕が与えられた才能で、自分の歌の中でやりたいことはそれだけ。自分の歌の中で僕自身を最高の方法で表現したいだけなんだ」と、マーキュリーは著書『フレディ・マーキュリー 自らが語るその人生』の中で語っている。彼の最も心を揺さぶる別れの曲の一つは、アルバム『Night at the Opera』からの「Love of My Life」だ。これは彼のかつての恋人メアリー・オースティンのことを歌っていると考えられている。ブライアンはこう語る「彼女はフレディの生涯の恋人だったと言ってもいいでしょう」。
この曲のスタジオ・バージョンはフレディによるクラシック音楽の影響を反映したもので、ブライアンがハープを担当している(フレディは後に「ブライアンの指が落ちるまで無理やり弾かせようと思ったのを覚えているよ!」とジョークを言っている)。この曲のライヴ用のアレンジでは、フレディはソロで歌い、ブライアンは12弦ギターを弾いていることが多かった。フレディはこう語る。
「どこで“Love of My Life”をやっても、観客は本能的に自分たちが歌わなければって思ってくれていたよ。驚くべき光景だった。観客みんなが役割を分かっていて、僕が指示する必要はなかったんだ。観客がそのように反応してくれるのが好きだったよ」
8. I Was Born to Love You (1995)
フレディは、愛について書くことは「無限の可能性を秘めている」と語り、1985年のソロアルバム『Mr. Bad Guy』に収録された「I Was Born to Love You」と「Love Me Like There’s No Tomorrow」の2曲は、彼の最も大切なラブソングだった。どちらも強い感情に満ちた、とても個人的な曲だとブライアンは語る。ブライアンはフレディによる評価に同意し、1991年11月にマーキュリーが亡くなった後、「I Was Born to Love You」のクイーン版を新たに作ることに「こだわっていた」と語っている。
1995年、クイーンの残りのメンバーはアルバム『Made in Heaven』のために「I Was Born to Love You」を作り直し、オリジナルのフレディのヴォーカルに新たな楽器パートを加え、ディスコの影響を受けたこの曲をロック・ソングへと変貌させた。クイーンのヴァージョンは、フレディの壮大なヴォーカルを中心に、バーチャルなライヴ・トラックとして仕上げられた。ブライアンはこう振り返る。
「ロジャー、ジョン、私の3人は、私が作ったテンプレートに沿って、いくつかの追加アレンジを加え、ヴォーカルに自由度を加え、さらにはフレディのアドリブをいくつか使いながら、自分自身のパートをライヴで演奏しました」
クイーンによる「I Was Born to Love You」はフレディの人生への情熱を楽しく思い出させてくれる1曲となっている。
9. Somebody to Love (1976)
クイーンのアクロバティックなヴォーカル・ハーモニーは、大ヒット曲「Bohemian Rhapsody」で最高潮に達したが、『A Day at the Races』に収録された「Somebody to Love」でのハーモニーはそれに次ぐものだ。フレディは「アレサ・フランクリンのようなラブソングを書きたかった」と語っており、その結果、ゴスペルを取り入れた「Somebody to Love」が生まれた。
「Somebody to Love」はヴォーカルを中心にした大がかりなプロダクションで、これはクイーンの非常にヘヴィな側面でもある。フレディはこう語っていた。
「だからこそ、“Somebody to Love”はライヴでやるには最高のキラー・ナンバーなんだ。最初にあの曲をやった時は、早く終わらせたいと思っていたから、とても早くやったんだ。この手の曲はライヴではアレンジを変えなければならない。160人のゴスペル・クワイアをステージ上で再現するにはどうしたらいいのかって」
10. Crazy Little Thing Called Love (1979)
フレディはエルヴィス・プレスリーを敬愛しており、「Crazy Little Thing Called Love」がアメリカで1位になった時は特に喜んだ。この曲でエレキギターを弾き、ジョンとロジャーと一緒に手拍子で参加したブライアンは「フレディはエルヴィスが大好きでした。これはある意味ではフレディによるエルヴィスへのオマージュなんです」と語る。
フレディはミュンヘンのホテル・バイリッシャー・ホフで泡風呂に入っていたときにこの曲を思いつき、書きあげるのに10分もかからなかったと語っている。その後、プロデューサーのラインホルト・マックとミュンヘンのビール祭りを散歩した後、彼らはミュージックランド・スタジオに戻り、アルバム『The Game』のためのラフなヴァージョンを制作した。
バンドの他のメンバーが集まってくると、彼らはそのデモを気に入り、数時間後には1950年代のポップ・ミュージックの豪華な一片のような楽曲を完成させた。フレディはこう語る「僕の曲は商業的なラブソングで、そこに自分の感情的な才能を注ぎ込むのが好きなんだ。基本的に僕が強く感じているのは愛と感情だから、そのような曲を書いている」。「Crazy Little Thing Called Love」は、バレンタインデーに踊りたくなるような素晴らしい高揚感のある曲だ。
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Written By Martin Chilton
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