ザ・フーが一晩で“リーズ”の名を一躍有名にした“音楽史上、最高のライヴ・ロック・アルバム”『Live At Leeds』

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1970年2月14日、ロックの歴史が大学のキャンパスで繰り広げられた。その日はバレンタイン・デーだったが、イギリスで最も偉大なロック・バンドであるザ・フーがイギリスのリーズ大学でパフォーマンスを行うとなれば、そんなことは関係ない。ニューヨーク・タイムズ紙は、アルバム『Live At Leeds』がリリースされると「音楽史上、最高のライヴ・ロック・アルバム」と称した。

イギリス国内でライヴをする時に、各地の大学でツアーを行うことは通例だったが、当時のリーズのキャンパスはその中では頻繁に利用される会場ではなかった。例えば、初期ムーディー・ブルースは1965年にリズム&ブルースのグループとして活動していた頃に演奏しているが、リーズを有名にしたのは、ザ・フーの一夜のパフォーマンスだった。


その2週間後にピンク・フロイドもリーズでパフォーマンスを行った。その年の後半には再びザ・フーが戻り、ピンク・フロイドも1971年に再度訪れた。ザ・ローリング・ストーンズが税金対策で国外に発ち、アルバム『Exile On Main St.(邦題:メインストリートのならず者)』をリリーする前に行った“Goodbye Britain”のツアーの日程にもリーズは含まれた。

ザ・フーは1970年にすでにライヴ・バンドとして際立つほどの評判を得ていたが、前年の夏のウッドストックでのパフォーマンスがそれをさらに推し進めたのだ。当時の彼らのライヴ・セットには、初期のモッズの頃のR&Bカヴァーと、コンセプチュアル・ロックの提唱者へと発展していく中で生み出した楽曲がミックスされていた。

そのため、リーズの公演にはベニー・スペルマンの「Fortune Teller」やモーズ・アリソンの「Young Man Blues」、そしてサニー・ボーイ・ウィリアムソンの「Eyesight To The Blind」のカヴァーが含まれていた。同時に、「I Can’t Explain」や「Happy Jack」などの初期のヒットや、ピート・タウンゼントの新しい作品『Tommy』も豊富に演奏した。ライヴの最後には「My Generation」、「Magic Bus」などを含むメドレーが披露されている。


1970年後半に、ロジャー・ダルトリーは週刊音楽誌のサウンズ誌に、アルバムにとても満足していると話した。「1回のライヴですごく意義のあるアルバムになった。(オーヴァー)ダビングしたものはほとんどなくて、どちらかと言うと、何かを足すよりも抜くことの方が多かった。バッキング・ヴォーカルを2か所追加したけど、それはマイクが倒れたからだけで。本当にありのままが収録されているよ。どちらかと言えば聴いていて気が散るから、歓声も結構抜いたぐらいだよ」。

アルバム『Live At Leeds』は5月にリリースされ、イギリスでもアメリカでもトップ5入りを達成した。2010年には、ザ・フーのファンはようやくリーズの24時間後にハル・シティ・ホールで行われた次のライヴが作品となった『Live At Hull』を手にすることができた。ザ・フーはいつもライヴをレコーディングし、オリジナル・アルバムのために素材を集めていたが、ハルでのライブは音響の問題が生じたため、当時あの場にいなかった限り、ファンはそれを聴くまで40年以上も待たなければならなかったのだ。

Written by Paul Sexton



ザ・フー『Live At Leeds』

  


ザ・フー『WHO』
2019年12月6日発売
CD / iTunes



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