ミニー・リパートン「Lovin’ You」:スティーヴィー・ワンダーが変名で参加した大ヒット曲

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ミニー・リパートンは1979年に31歳の若さでガンで亡くなった。その悲劇的な物語はまた別の機会に語ることにしよう。ここでは、その4年前に彼女が出した一番の大ヒット曲を採り上げたい。ミニーが全米チャートの首位に送り込んだ「Lovin’ You」は、全英チャートでも大ヒットになったのである。

シカゴ生まれのミニー・リパートンは、ソロ歌手として、またロータリー・コネクションのメンバーとして長年下積み生活を送ったあと、1970年に自身のアルバム『Come To My Garden』を発表。しかしこのアルバムは、期待していたような成功は収められなかった。それからミニーは半引退状態となったが、やがてエピック・レーベルと新たに契約を結び、スティーヴィー・ワンダーから熱烈な応援を受けた。そうして出した復帰作がアルバム『Perfect Angel』だった。

ミニーは以前スティーヴィーと一緒にツアーを行い、彼のアルバム『Fulfillingness’ First Finale』では「Creepin」と「It Ain’t No Use」でヴォーカルを担当していた。それと同時期に発売された『Perfect Angel』で、スティーヴィーは共同プロデューサーを務めている(もうひとりのプロデューサーは、ミニーの夫であり共作者でもあるリチャード・ランドルフ)。ただしここでスティーヴィーは「エル・トロ・ニグロ」という変名を使っており、制作会社のクレジットも「スコーブ・プロダクション」となっていた。

 

アルバム『Perfect Angel』は1974年夏に全米チャートに入った。しかしミニーとリチャードが共作した夢のような曲「Lovin’ You」が翌年にシングル化されたとき、スティーヴィーは以前ほどふざけた変名は使わなかった。そのシングルには彼の名は記されていなかったものの、アレンジャーとして「ワンダーラヴ」という名前がクレジットされていた。

ミニーはとてつもなく高い音域まで歌える歌手だった。その素晴らしい歌唱力は、この「Lovin’ You」で存分に発揮されている。またワンダーラヴが手がけたアレンジには、印象的な鳥のさえずりも含まれていた。「Lovin’ You」はたちまち大ヒットとなり、1975年4月に全米シングル・チャートの首位に到達。それと同時に世界各国でもヒットを飛ばしていった。イギリスでは、同じ年の5月3日から2週間に渡って最高2位を記録している。彼女の1位到達を阻んだのは、イギリスのポップ・グループ、マッドがカヴァーした「Oh Boy」(オリジナルはバディ・ホリー)だった。

Written By Paul Sexton


「Lovin’ You」収録
ミニー・リパートン『Perfect Angel』

♪ プレイリスト『The Greatest Soul 45s


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