ザ・フーの唯一の全米シングルTOP10ヒット「I Can See For Miles」
ザ・フーのファンに質問だ。ザ・フーが1965年の春にイギリスで成し遂げ、その後、2年半を要しアメリカでもようやくやり遂げたことはいったい何か? 正解はシングルをチャートのトップ10に送り込む入りすることだ。彼らは1967年11月、アメリカでようやっと念願を果たしたのである。そしてその際に全米トップ10入りした曲が、同年10月に全米チャートにランク・インした「I Can See For Miles(邦題:恋のマジック・アイ)」だった。
ザ・フーは、1965年の4月にファースト・シングル「I Can’t Explain」が8位になったことで本国イギリスでのトップ10入りを果たしていたが、同曲はアメリカではわずか93位止まりで、その後2年間にリリースした3枚のシングルもすべて鳴かず飛ばずだった。「My Generation」は74位で姿を消し、「Happy Jack」はかろうじて24位でトップ40入りしたものの、「Picture Of Lily(邦題:リリーのおもかげ)」は51位という結果に終わっていたのである。
1967年9月30日のBillboard誌は、デッカの工場では、ほかのどのレコードよりもザ・フーの「I Can See For Miles」のプレスを優先していると報じた。ザ・フーは、スマザーズ・ブラザーズが司会を務めるCBSネットワークのテレビ番組に出演した際に、この曲を披露し、その際の悪名高いパフォーマンスで世間の注目を集めていた。レーベルはこの機を逃してはならないと、同曲を急遽リリースしたのだった。
「I Can See For Miles」は、エルヴィス・プレスリーの「Big Boss Man」の1ランク下の72位で米チャート圏内に登場。その後順調に売り上げを伸ばし、11月18日にはトップ10入り、その1週間後には9位をマークし、2週に亘ってその位置をキープした。全米年間チャートでも、この曲は96位にランク。また、2004年にローリング・ストーン誌の”オールタイム・グレイテスト・ソング500″では258位に選ばれている。
しかしながら何より驚かされるのは、ザ・フーがそれ以降一度もアメリカでトップ10ヒットを放っていないという事実だ。ちなみにトップ10圏内に最も近づいたのは1970年に12位を記録した「See Me Feel Me」で、これはイギリスではチャート入りすらしなかった1曲である。
Written by Paul Sexton
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ザ・フー『WHO』
2019年12月6日発売
CD / iTunes
Track List
All This Music Must Fade
Ball And Chain
I Don’t Wanna Get Wise
Detour
Beads On One String*
Hero Ground Zero
Street Song
I’ll Be Back
Break The News**
Rockin’ In Rage
She Rocked My World
All songs written by Pete Townshend except
*Pete Townshend/Josh Hunsacker **Simon Townshend
Produced by Pete Townshend & D. Sardy
Roger Daltrey vocal production Dave Eringa
Mixed by D. Sardy