マルーン5の大ヒット・シングル10曲とそれらにまつわる最高の瞬間
マルーン5は至るところで、新作を大ヒットさせ、クラシックな名作を世に送り出し、びっくりするようなコラボレーションをやってのけ、あるいは単純に人々を驚かせたりしているが、アダム・レヴィーンとその仲間達は、尽きることのない創造力を駆使しながら自らも楽しんでいるようだ。マルーン5というバンドの最高の瞬間を振り返ることは、すなわち21世紀のポップ音楽の発展を辿ることでもある。彼らはジャンルを超越したさまざまなスタイルを混ぜ合わせた音楽を大いに楽しみつつ、ソーシャル・メディアや熱心なファンの力を借りながら、驚くべき瞬間の数々を歴史に刻んできたのだ。
2019年にはスーパーボウルのハーフタイム・ショーに登場したマルーン5の大ヒット・シングル10曲とそれらにまつわる最高の瞬間をご紹介しよう。
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10. ファンに協力を要請して「Daylight」のミュージック・ビデオを制作する
煌びやかなグループが、ありとあらゆる栄光を手にする場合もあるが、2012年11月にリリースされたマルーン5の4枚目のスタジオ・アルバム『Overexposed』に収録されていた「Daylight」は、彼らが遅咲きがためにバンドとしての息は長いことを証明している。
アルバムからのサード・シングル「Daylight」は、バンドのメロディアスな魅力を披露した、よりソフトなタイプの曲であり、マルーン5はこのシングルで全米TOP10ヒットを記録した。プロデューサーのヨナス・アカーランドは、ファンが自分達の考えや思いを共有できるプラットフォームの「ザ・デイライト・プロジェクト」を駆使して、画期的なミュージック・ビデオを作り上げた。フロントマンのアダム・レヴィーンは、ヒットメーカーのマックス・マーティンとともに制作した「Daylight」について、『Overexposed』収録曲の中で最も好きなトラックとして何度も言及している。
9. 「This Love」が世界的な大ヒットとなる
バンドのデビュー・シングル「Harder To Breathe」は、チャート上位に食い込んだものの、彼等が国際的に有名となった初のラジオ・ヒットで、この先も数十年にも渡ってプレイリストなどでフィーチャーされるであろう曲は、このセカンド・シングル「This Love」だ。アダム・レヴィーンとキーボーディストのジェシー・カーマイケルが共作したこの楽曲は、2004年度最も聴かれた曲ランキングで3位を獲得し、バンドにグラミー賞最優秀ポップ・パフォーマンス賞をもたらした。アダム・レヴィーンの当時の恋愛関係について書かれた「This Love」は、ソウルフルなメロディー、不屈の意志、そしてバンドのカリスマ的フロントマンの自信に満ち溢れた印象的なヴォーカルという、マルーン5の特徴が全ておさめられている。ミュージック・ビデオは少々洗練されたものだったが、この「This Love」で彼らはMTVアワードの最優秀新人賞を獲得し、これが彼らの未来を予言するものになった。
8. 「Payphone」のミュージック・ビデオで巨額の予算を使い、世の親御さんを狼狽させる
2012年頃、マルーン5のミュージック・ビデオが公開されることは、音楽業界の大きな話題の一つとなっていたが、ラッパーのウィズ・カリファがフィーチャーされた「Payphone」には、ハリウッドの大作映画のような多額の予算が投じられた。そして、バンドの音楽が現代のポップ・スタイルを見事に取り込んでいたことを示した良例である。「Payphone」はポップとアーバンのプレイリストにピックアップされる一方で、その露骨な歌詞とハラハラするようなビデオの内容は、世の親達を狼狽させたが、このミュージック・ビデオで、マルーン5は間違いなく世界いちビッグなバンドへの道を、着実に歩んで行った。
7. 新婚夫婦に忘れられないような結婚祝いプレゼント「Sugar」を贈る
平和なポップ・スタンダードの楽曲と、バンドの洒落たヴィジュアルが凝縮されたシンプルながらも印象的なミュージック・ビデオを切り離して考えるのは不可能に近い。「Sugar」は素晴らしいバンドの演奏が次々と登場するという、実にシンプルなアプローチの作品だ。マルーン5がウェディング・バンドとして出演し、2014年発表の『V』の収録曲「Sugar」に親しみ易さを与えている。アルバムからのサード・シングルだったにも拘わらず、「Sugar」はアルバムで一番のヒット曲となった。マイク・ポスナーとの共作であり、『The Voice』等のテレビ・ショーでも演奏されたが、その内容がどんなに素晴らしくても、我々がまた観たいと思うのは、この素晴らしいビデオによるところが大きいだろう。
6. 「エレンの部屋」での一度の演奏で「Don’t Wanna Know」を大ヒットさせる
ケンドリック・ラマーは『Red Pill Blues』からのこのファースト・シングル「Don’t Wanna Know」にゲスト参加したが、ポケモンに影響を受けた風変わりなミュージック・ビデオの中には登場しなかった。楽曲を共同プロデュースしたベニー・ブランコは、コンテンポラリー・ダンスからの影響や、ソウルやR&B、そして全ての曲の基盤になっているロックという、マルーン5作品に見られる対照的な側面を見事に橋渡ししている。アメリカの大人気番組「エレンの部屋」で「Don’t Wanna Know」を初めて生パフォーマンスしたことも手伝い、バンドは2016年に再び全米TOP10ヒットを手にした。
5. 「She Will Be Loved」でその多才ぶりを証明する
最初のヒット曲に続く作品を発表するという挑戦に、多くのバンドが失敗する中、マルーン5は「This Love」を凌ぐ「She Will Be Loved」を発表し、それまでのオルタナティヴ・ロック・ファン層以外のより広い層のオーディエンスを魅了した。この曲はどこよりも先にオーストラリアのシングル・チャートで首位を獲得(これは本国アメリカでバンドが「Makes Me Wonder」にて初めてシングル・チャート1位を手にする3年前のことだった)。俳優のケリー・プレストンが、アダム・レヴィーンとの入り組んだ三角関係に陥る役を演じたミュージック・ビデオを監督したのはソフィー・ミュラーだ。この作品はオーストラリアで先にヒットしたことで、同国のシンガーのケイト・セベラーノが、この5年後にアルバム『So Much Beauty』に「She Will Be Loved」を収録し、マルーン5の楽曲をカヴァーした初のアーティストのひとりとなった。
4. テレビ番組『Live On Letterman』で行なわれた「One More Night」のパフォーマンスが、みんなの良い手本となる
『Overexposed』からのセカンド・シングル「One More Night」は、テレビからライヴまで、広範囲に渡って大々的に宣伝されたが、マルーン5がカメラの前で見せた最高の瞬間だったのは、ニューヨークで生出演した『Live On Letterman』でのパフォーマンスだ。シェルバックとマックス・マーティンと共作したこのシングルの、アダム・レヴィーンの強烈なセックス・アピールを前面に押し出しているドラマティックなミュージック・ビデオもまた、彼らのキャリア史上最も印象的なビデオのひとつである。キーボーディスト兼ギタリストのジェシー・カ―マイケルが『Overexposed』制作時にバンド活動を休止したため、しばらくの間グループのライヴ・パフォーマンスをサポートしたPJモートンが、一時的に彼の代理を務めていた。この曲でマルーン5は再び全米シングル・チャートで首位を飾り、イギリスではTOP10入りを果たした。
3. 「Makes Me Wonder」が全米チャート史にその名を刻む
そのグループが長続きするか否か、分かる瞬間がある。「Makes Me Wonder」はマルーン5初の全米1位シングルであり、この曲が収録された2007年のアルバム『It Won’t Be Soon Before Long』は、バンドが大きなギア・チェンジを行なったことを、世界中に示す作品となった。バンドのソウルとファンクからの影響が、初めて強く前面に出されたこのキャッチーな楽曲は、全米シングル・チャート64位から首位へと一気にジャンプアップするという、当時のチャート史上屈指の急上昇を達成し、全米チャート史にその名を刻んだ。この曲で再び、グラミー賞最優秀ポップ・パフォーマンス賞を受賞した彼らは、現代音楽の影響をサウンドに取り入れ、変化することに前向きな革新的ソングライター集団として世に知られるようになった。「Makes Me Wonder」のサビは、過去のダンスフロア・サウンドから拝借されたものかも知れないが、現代音楽の未来をもしっかりと見据えていた。
2. 「Girls Like You」が21世紀へ向けた強力な声明となる
マルーン5がラッパーのカーディ・Bをゲストに迎えた、アルバム『Red Pill Blues』からのサード・シングルでバンド4曲目の全米チャート1位シングル「Girls Like You」は、この先何十年も人々の鼻唄で歌われる耳にこびりついて離れないタイプの強力な楽曲である。シンプルで頭から離れないサビがどんどん増していくこの楽曲は、近年最大のラジオ・ヒットのひとつとなった。アダム・レヴィーンと共に多数の有名人が登場する独創的なミュージック・ビデオは、現代における相手への接し方を見つめ直した。説得力のある意見を主張する女性達に対するシンプルで控え目な賛美を歌った「Girls Like You」は、間違いなくマルーン5最高の瞬間にひとつに挙げられる。
1. 「Moves Like Jagger」がミック・ジャガー本人から支持を得る
マルーン5のことを知らないという人がいたとしても、数々の記録を破り、世界で最も売れたシングルのひとつであり、マルーン5のリストのトップを飾るこの曲「Moves Like Jagger」のことは知っているだろう。2010年に発表されたアルバム『Hands All Over』の再発盤からのラスト・シングルとしてリリースされたこの楽曲では、アダム・レヴィーンが審査員として出演している『The Voice』の審査員仲間であるクリスティーナ・アギレラがゲスト参加している。一方で、ヨナス・アカーランドが手掛けたミュージック・ビデオもまた、現在でも度々オンエアされる秀逸な作品である。楽曲タイトルにも登場するミック・ジャガーはこのオマージュを「非常に嬉しいこと」と述べてつつ、「この曲から印税が貰えたら嬉しいんだけど」と、ジョークを飛ばしている。
Written by Mark Elliott
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亡き友、マネージャーに捧げる最新アルバム
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