ハモンド・オルガンができるまで:発明家ローレンス・ハモンドの半生

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かつて、ある発明家がいた。彼は自動車用のオートマチック・トランスミッション、3Dメガネ、時計の同期モーター、赤外線機器などを発明した。しかしここで彼を取り上げるのは、そうした発明品の件ではない。我々ロック、ポップス、ジャズのファンが彼を尊敬している理由は、彼自身の名前が付いた発明品にある。その人の名はローレンス・ハモンド。彼こそが、ハモンド・オルガンを発明した人物である。

ローレンス・ハモンドは1895年1月11日にイリノイ州エヴァンストンで生まれた。あのオルガンを完成させる前に、彼は既にたくさんの発明品を作り上げている。第一次世界大戦中にはコーネル大学で機械工学を学び、その後は独力で素晴らしい革新的な技術をたくさん開発していった(たとえば防音箱にスプリング・モーターを格納した無音時計など)。

やがてローレンス・ハモンドはオートマチック・トランスミッション・システムを作り出すが、それはルノー社に採用されずに終わる。しかし彼はそこからさらに同期モーターを開発し、それが独自の時計やオルガンの基礎となっていった。30代前半にして、彼はハモンド・クロック社を設立。この会社はのちにハモンド・インストゥルメント社となり、1953年にはハモンド・オルガン社と改名している。

1930年代、ローレンス・ハモンドは実験室の中で蓄音機のターンテーブルから発生する音に注目し、電気的な合成音から音楽的な音色を作り出すための研究を始める。そして1934年、ジョン・M・ハナートの力を借りながら、ハモンド・オルガンの原型を作り上げた。これは、ローレンス・ハモンドの発明した同期モーターによって91個の小さなトーンホイールが回転して音を出す仕掛けになっていた。

また鍵盤の上には倍音調整用のドローバーがあり、それを使えば音色のヴァリエーションを無数に作り出すことができた。このオルガンは1935年から出荷が始まり、その結果、たくさんのキーボード奏者(特に有名なB-3オルガンの使い手)がハモンドに多大なる恩義を被ることになった。

ローレンス・ハモンドの誕生日を祝うために、今回は彼の素晴らしい発明品が大活躍する名曲をプレイリストにまとめてみた。ジミー・スミス、ブッカー・T&ジ・MG’s、プロコル・ハルムその他の名演をどうかお楽しみください。

Written by Paul Sexton


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