映画にも使われる「Born To Be Wild」に続くステッペンウルフのヒット曲「Magic Carpet Ride」

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ステッペンウルフは時代の精神を捉えるのが抜群に上手かった。1969年に公開され、たった一作でその後の70年代の映画産業に新しい指針を打ち出した革新的カウンターカルチャー映画「イージー・ライダー」の中で主題曲ばりに起用されたおかげで、彼らの2枚目のシングルであるタフでハードな「Born To Be Wild(ワイルドでいこう)」は世代のアンセムとなった。反抗する若者といえばこの曲というほどに世界中で知られた作品だが、しかしステッペンウルフがこの「Born To Be Wild」に次いで世に送り出したヒット曲は、同曲に優るほど、息の長い人気を誇る1曲になった。

1968年9月、「Born To Be Wild」からわずか3か月後の1968年9月にリリースされた「Magic Carpet Ride」は、10月5日に全米チャートのトップ100に登場。最終的に同チャート3位をマークした。彼らにとって2枚目のトップ5入りを果たした曲で、Hot100に16週間居座り続けている。グループが非常に脂の乗っていた時期の作品で、同年リリースの彼らの2枚目のアルバム『The Second』や、マーロン・ブランド出演になるほぼ無名のおしゃれセクシー映画『キャンディ』のサウンドトラック(1968年12月リリース)に収録されている。

「Magic Carpet Ride」は、ステッペンウルフのベーシスト、ラシュトン・モーヴによるフィルを中心にサウンドを作り上げ、その歌詞はフロントマンのジョン・ケイが、デビュー・アルバム『Steppenwolf』で得たロイヤリティで購入したばかりのステレオ・セットに着想を得て思いついたと言われている。この曲は、最初にこれを使用した映画こそ褒められたものではなかったものの、その後、何度となく先鋭的な映画の劇中に使用されてきた。過ぎ去った時代を喚起させるための即効薬として用いられたこともあれば、インディ系の無骨なギャング映画の背景設定のために再解釈がなされて使用されたこともある。特に後者には印象深いものが多い。

1999年公開の『オースティン・パワーズ:デラックス』では、レトロなナイトクラブのシーンで「Magic Carpet Ride」をフィーチャーしており、2001年のヒップスター・コメディ『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』では敢えて原曲のカウンターカルチャー要素を敬意を込めて遊んでみせている。しかし、より本気度の高い映画ファンにとって最も記憶に残っているのは、クエンティン・タランティーノの1992年の賛否を呼んだヒット作品『レザボア・ドッグス』に使用されたカヴァー・ヴァージョンだろう。これは、ナッシュビルに拠点を置くベドラムというグループによるカヴァー・ヴァージョンだったが、自分達は新世代の映画製作者を生み出すことになった革新的なインディー・ヒット作品の2つで重要な役割を果たしたのだと、ステッペンウルフは言い切っていい。彼らにそうした思いがあるのかどうかはわからないが、この曲の持つ素晴らしさは間違いなくそれに見合うものだ。

By Sam Armstrong



ステッペンウルフ『The Second』

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