ニック・ドレイク『Five Leaves Left』解説:商業的な成功をおさめなかった名盤デビュー・アルバム
ヒット・チャートに残された記録を紐解いたところで、ニック・ドレイク(Nick Drake)のキャリアを把握することはできない。なぜなら、彼はヒット曲とは無縁だったのだからだ。
私たちは典型的なほど繊細だったシンガー・ソングライターを今では当然のように尊敬しているが、不幸にも彼の短すぎる人生の中で、英国でもアメリカのチャートでも彼が生きている間には商業的な成功がチャートに表れることはなかった。アルバム志向のラジオ局からスーパーマーケットまで、あちこちで彼の音楽を耳に今日とは大違いだ。
今回は、私たちはニック・ドレイクのあまりにも短かったレコーディングをしていた間の始まりとなる彼のデビュー・アルバム『Five Leaves Left』を紹介しよう。
<関連記事>
・ニック・ドレイクの20曲:煙の向こうにいた苦悩した天才
・ニック・ドレイク『Pink Moon』:うつ病の中、2日間で完成した傑作
収録曲
素晴らしいアコースティック音楽の開拓者、ジョー・ボイドによってプロデュースされたこのアルバムは1969年7月3日、アイランド・レコードからリリースされた。アルバムには時代を卓越した心に残る作品「Time Has Told Me」や「River Man」「Way To Blue」などが収録された。
袋入りになっていたリズラの手巻きタバコの紙の端に書かれていたメーカーのメッセージから名付けられたアルバム『Five Leaves Left』は、1968年の夏から翌年にかけてレコーディングされた。アルバムには、ロバート・カービーによる美しいアレンジメントはもちろん、フェアポート・コンヴェンションのリチャード・トンプソンによるギターに、ダニー・トンプソンによるベースなども収録されている。
後の再評価
『Five Leaves Left』は今やクラシックとして世界的に認知されるアルバムとなり、2003年ローリング・ストーンズ誌が選ぶ“史上最も素晴らしいアルバム500枚”の280位として登場、UKのチャンネル4テレビによる2005年の世論調査で85位、そしてNME誌の歴代74位に輝いた。1975年、NME誌のニック・ケントはアルバムを「ヴァン・モリソンの『Astral Weeks』やラヴの『Forever Changes』のように聴く者の特定の感情を刺激するアルバムの一枚だ」と説明した。
確かに、ニック・ドレイクの並外れた才能に対して一般人の関心がないのは、批評家からの評価が足りていないからではなかった。発売当時インターナショナル・タイムスに新譜として『Five Leaves Left』のレヴューを行ったマーク・ウィリアムズはこの新人(ニック・ドレイク)の声はドノヴァンのものと比較されると次のように主張していた。
「しかしドノヴァンは彼の曲がなければ成功しないが、ニックもそうだ。彼らは美しく、踊る、金色の葉のような内省的な詩に沿って伝わるリズムのある完璧なそよ風だ」
Written by Paul Sexton
ニック・ドレイク 『Five Leaves Left』
1969年7月3日発売
iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
- ニック・ドレイクの20曲:煙の向こうにいた苦悩した天才
- ニック・ドレイク『Pink Moon』:うつ病の中、2日間で完成した傑作
- 特集記事:ブリティッシュ・フォーク:最重要な4組のアーティスト
- 史上最高のシンガー・ソングライター・アルバム25選