ジョンとヨーコ、そしてクラプトン、クラウス・フォアマン、アラン・ホワイトによるトロントでのライブ
1969年の間、ジョン・レノンとオノ・ヨーコは、最低でも3回以上、米国のアルバム・チャートに登場している。夏には、プラスティック・オノ・バンドの「Give Peace A Chance(邦題:平和を我等に)」が世界中のシングル・チャートにランク・インし、彼らは米国チャートに名を残し、新しい年代を築き上げてきた。
ジョン・レノンとオノ・ヨーコがアップル・レコードからリリースした2つの未完成アルバム、『Two Virgins(邦題:『未完成」作品第1番トゥー・ヴァージンズ)』と『Life With The Lion(邦題:『「未完成」作品第2番ライフ・ウィズ・ザ・ライオン』)は、米国チャートの最高位は、それぞれ124位と174位と控えめな順位だった。続く彼らの3枚目のアルバム『Wedding Album』は、1969年の終わりに3週間のみ同米国チャート登場、最高で178位となった。そして彼らは同年9月に行なわれたトロント・ロック・アンド・ロール・フェスティバルでレコーディングされたアルバムを12月にリリースした。それが『Live Peace In Toronto 1969(邦題:平和の祈りをこめて)』であり、このアルバムは、ジョン・レノンとオノ・ヨーコではなく、プラスティック・オノ・バンドとしてリリースされ、1970年1月10日の米国チャートにランク・インした。
ライヴ・アルバムの多くは、スタジオでレコーディングされたものに比べると、一般的にクオリティの低い音源になりがちだが、このアルバム『Live Peace In Toronto 1969』は、様々な素晴らしい理由によって良い出来となった。このライヴ音源の元となったトロントの音楽フェスティバルは、ジョン・レノンだけではなく、リード・ギターにエリック・クラプトン、ベースはザ・ビートルズの旧友であるクラウス・フォアマン、そして将来イエスのドラマーとなるアラン・ホワイトをゲスト・パフォーマーに迎えたプラスティック・オノ・バンドにより、さらに注目を集める事となった。
さらにライヴは、一般的に馴染み深い演目で大きく構成されていた。『White Album』とも呼ばれている、ザ・ビートルズのセルフ・タイトルのアルバムに収録された、ジョン・レノンの曲である「Yer Blues」(公式には、ポール・マッカートニーが作曲)や、このライヴ・アルバムがリリースされた頃ヒットとなった、ジョン・レノンの悲惨な薬物中毒の禁断症状を歌った「Cold Turkey(邦題:冷たい七面鳥)」が演奏。また、既にアンセムとなっていた「Give Peace A Chance(邦題:平和を我等に)」も演奏された。(この曲は、45年間以上、イギリスのフットボール試合で応援歌として歌われている)。
もともと『Live Peace In Toronto 1969』は、ジョン・レノンの好きなロックン・ロール楽曲を収録していた。カール・パーキンスの「Blue Suade Shoes」の次に、モータウン・レコードのヒット・シングルとなり、ザ・ビートルズのメンバーが昔から好きなバレット・ストロングの「Money (Thats What I Want)」、そして、ラリー・ウィリアムスの「Dizzy Miss Lizzy」が収録されている。ロックン・ロールがテーマとなったこのアルバムは、チャック・ベリー、リトル・リチャート、ファッツ・ドミノ、ボ・ディドリー、ジーン・ヴィンセント、ジェリー・リー・ルイスや、当時の旬なバンドであったザ・ドアーズ、シカゴ、そしてアリス・クーパーなどを含む、このトロント・ロック・アンド・ロール・フェスティバルには完璧なラインアップとなった。
アルバムのB面には、オノ・ヨーコの「Don’t Worry Kyoko (Mummy’s Only Looking For Her Hand In The Snow)(邦題:京子ちゃん心配しないで)」と「John John (Let’s hope for Peace)(邦題:「ジョン・ジョン(平和に願いを)」が収録されている。驚く事に『Live Peace In Toronto』は、イギリスのチャートには一切ランク・インしなかったが、アメリカでは、32週に渡り10位にランクインしたヒット作となった。
Written by Paul Sexton
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