ジョン・レノンの『Imagine』:“英国版ボブ・ディラン”と評された名作のチャート推移と当時の評価

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Peter Fordham © Yoko Ono Lenno

 1971年の後半、ジョン・レノンは、「Imagine」の歌詞の通り、世界中の人たちの様子を本当に想像することができた。なぜなら当時、ジョンとプラスチック・オノ・バンドが発表したアルバム『Imagine』を買い求める人たちが世界中に数多く存在したからである。

このアルバムは、同年の10月下旬に英米両国のヒット・チャートの首位を獲得という特筆すべき偉業を達成する。ただし、チャート入りを果たした9月18日付け時点でのアメリカのチャートにおける成績は驚くほど控えめなものだった。

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このアルバムはイギリスでリリースされる1ヶ月前にアメリカで発表されているが、チャートでの初登場の順位は163位という地味なものだった。しかしながらレノンの母国イギリスでは10月30日に初登場1位を飾り、その日にはアメリカでもチャート初登場から7週目にして首位に立った。これを後押ししていたのがシングル・カットされたアルバムのタイトル・トラックで、こちらは同じ週に20位から6位に上昇している。

興味深いことに、アルバム『Imagine』はその週のカートリッジ・テープのチャートでもトップに躍り出て、ロッド・スチュワートの『Every Picture Tells A Story』から首位を奪っている (メイン・アルバム・チャートでも同様の成り行きを辿っている) 。またイギリスのアルバム・チャートでも、『Imagine』は『Every Picture Tells A Story』から首位の座を奪い取っていた。

ビルボード誌に掲載された『Imagine』のアルバム・レビューは、熱狂的なものだった。このレコード評では、「レノンは本物のイギリス版ボブ・ディランになった」と述べ、さらに「『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』を超えた」と付け加えている。またニュー・ミュージカル・エクスプレス (NME) 誌でこのアルバムのレビューを担当したアラン・スミスもかなりの絶賛ぶりだった。下記がその内容だ。

「このアルバムは実に優れている。すばらしい。近作の背筋が凍るような自己吐露から一歩離れ、それでいて妥協することなく一般受けする路線に向けて大きく飛躍している。ここに収められた曲には構成、方向性、メロディーがあり、ガッツ、繊細さ、そして気品もある」

アメリカのレコード購買層がレノンに対して抱いていた愛情と尊敬の気持ちの表れとして、『Imagine』はリリースから1ヶ月も経たないうちにゴールド・ディスクに認定された。1991年11月にキャピトル・レーベルが記録を更新した際、このアルバムは同じ日にプラチナ・ディスクとダブル・プラチナ・ディスクの双方に認定されている。

Written By Paul Sexton


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