インエクセスの20曲:5,000万枚を超える世界的成功とマイケル・ハッチェンスの悲劇的な死

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シドニーのタフなパブとクラブで自身の楽曲を身に着けたINXS(インエクセス)は、厳しい客ばかりのロックン・ロールの学校を卒業し、1987年のマルチ・ミリオンセラー・アルバム『Kick』で、ゆっくりと燃え続けていた彼らの炎を世界的に爆発させた。1997年にフロントマンのマイケル・ハッチェンスが他界するまで、様々な顔を持つオーストラリアの6人組は、世界中のアリーナを完売にし、世界で計5,000万枚を超える驚異的なセールスを達成し、時の流れに耐えうる素晴らしいカタログを残した。その中から、INXSを20曲で紹介するプレイリストを作成するのは簡単ではないが、非常にやりがいのある作業である。

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彼らの地元、西部オーストラリアのパース出身のザ・ファリス・ブラザーズが、INXSの前身となるものであった。1977年、3兄弟の次男、アンドリュー・ファリス(キーボード)が、高校時代の友人でヴォーカリスト/共同ソングライターのマイケル・ハッチェンスと、ギャリー・ゲイリー・ビアーズ(ベース)、アンドリューの兄のティム・ファリス(ギター)、カーク・ペンギリー(ギター/サックス)を迎えてバンドを結成。それからファリス兄弟の末っ子でドラマーのジョンが加わり、完全なバンド編成になった。ジョン・ファリスの高校卒業後、INXSに改名した彼らは、シドニーに移住し、小さなクラブを演奏して回った。その結果、彼らは地元のレコードレーベル、デラックス・レコーズとの契約を獲得する。

低予算で制作されたものの、INXSの1980年のセルフタイトル・デビュー・アルバムは、彼らの将来を確約する出来で、彼らの初のオーストラリアでのトップ40ヒット曲「Just Keep Walking」を生んだ。XTCのようなニュー・ウェイヴ・ポップを彷彿とさせる刺激的な曲だ。1981年に発表された『Underneath The Covers』は、音楽的にはデビュー作と似通っていたが、マイケル・ハッチェンスとアンドリュー・ファリスのソングライティングにおける成長が表れていた。また、雰囲気のある「Stay Young」が、オーストラリアのチャートで初のトップ30入りを果たし、それが切っ掛けで、彼らはオーストラリアのWEA、イギリスのポリグラム、北米のアトコ(後にアトランティック)と、世界的にレコード契約を結んだ。

1982年、この好機を利用し、INXSはアルバム『Shabooh Shoobah』で、キャリア最高に強力な曲の数々を作曲した。最初から最後まで素晴らしいこの作品は、オーストラリアのアルバム・チャートでトップ5に入り、堂々たる「The One Thing」や、激しいアンセム「Don’t Change」など、ファンの間で永遠の人気を誇る曲を世に送り出した。特に「Don’t Change」は、後にグー・グー・ドールズやザ・キラーズのブランドン・フラワーズ等、数多くのアーティスト達にカヴァーされた。

マイケル・ハッチェンスのカリスマティックなヴォーカルと、ミック・ジャガーのようなダイナミックなパフォーマンスが称賛を集める中、1984年に発表された『The Swing』は、彼らが国際的な成功に一歩近づくのを助けた。このアルバムには、祝賀的な「Burn For You」や、華やかな「Dancing On The Jetty」、ナイル・ロジャースがプロデュースした、ファンキーで粋な「Original Sin」など、素晴らしい曲の数々が他のハイライト曲と並んで収録されていた。

INXSの5枚目のアルバムで、アトランティック・レコードからの初のリリースとなった『Listen Like Thieves』は、セックス・ピストルズロキシー・ミュージックの作品を手がけたクリス・トーマスがプロデュース。全米アルバム・チャートで最高11位を記録し、ダブル・プラチナムを達成して、彼らの世界的ブレイク作となった。自信とキャッチーでポップなサビに溢れた『Listen Like Thieves』は、ダンスフロア向けの優れたポップ・アンセムを多数取り揃え(「This Time」や、注目を惹く「What You Need」)、ソウル風のラウドな「One X One」等、サプライズとなる曲もいくつか収録していた。

1987年、INXSは、彼らの長年の影響(しなやかなファンクと、セクシーで、ザ・ローリング・ストーンズのようなロックと、モダンなダンスフロアのサウンド)を見事に磨き上げ、クールでスタイリッシュで、完全にユニークなアルバム『Kick』を発表。バンドを世界的なスターダムに押し上げた最高傑作となったダイナミックなアルバムは、アメリカだけで400万枚を超えるセールスを達成した。デルタ・ブルース風の「Mystify」、昔の映画のようなバラード「Never Tear Us Apart」等、ヒット確実の曲が揃っており、彼らの代表曲となったセクシーなファンク「Need You Tonight」は、全米1位を記録した。

 

1990年、スタイル的には統一されているものの、それでも素晴らしいアルバム『X』は、再びマルチ・プラチナムとなった。元々マイク・ブルームフィールドと付き合いのあったチャーリー・マッスルホワイトによるアーシーなハーモニカによってパワーアップした、セクシーなファースト・シングル「Suicide Blonde」は、今でも刺激的だが、「Disappear」と素晴らしい「Bitter Tears」もそれに劣らぬ出来であり、都会の孤独について鮮やかに語る「The Stairs」は、バンドのダイナミックなパフォーマンスと、マイケル・ハッチェンスの非常に情熱的なヴォーカルをとらえている。

音楽のトレンドが急速に変化していき、グランジとオルタナティヴ・ロックがメインストリームを席巻する1992年、彼らの8枚目のアルバム『Welcome To Wherever You Are』が発表された。INXSは彼らのサウンドの幅を広げることで時代に挑戦し、多様性と新しい発明が詰まった名作を作った。アルバムのキーとなる曲の中には、東洋風の「Questions」、勢いのあるアンセミックな「Heaven Sent」、華々しいポップの「Baby Don’t Cry」(この曲はシドニーで、60人のオーストラリア人オーケストラと共に演奏された)が含まれていた。

『Welcome To Wherever You Are』で、INXSは、1980年のAC/DC以来、イギリスで1位のアルバムを達成したオーストラリア出身バンドとなった。このアルバムは、いくつかのキャリア最高の評価を受けた。イギリスの『The Independent』誌は、「突出した最高傑作」と評した。彼らはすぐに、次のアルバムのレコーディングに取りかかった。アトランティックからの最後のスタジオ・アルバムとなったこの作品は、イタリアのカプリ島で制作された。再検討を重ねて完成した『Full Moon, Dirty Hearts』は、鮮やかでエネルギッシュなアルバムで、ブルース風の堂々たるアルバム・タイトル曲「Full Moon, Dirty Hearts」と、クリッシー・ハインドと伝説的なレイ・チャールズをゲストに迎えた「Please (You Got That…)」が、特に際立っている。

1994年の『The Greatest Hits』で、アトランティックとの契約を終えたINXSは、約15年間の作曲とレコーディングとツアーの日々から休みを取った。しかし、彼らはその後マーキュリー/ポリグラムと新しく契約を結び、1997年に『Elegantly Wasted』でカムバックした。

カナダ人プロデューサーのブルース・フェアバーン(エアロスミスザ・クランベリーズ)が手がけたこのアルバムで、彼らは再び、ワイルドな生々しさや入り組んだファンク・グルーヴにインスパイアされたサウンドを磨き上げている。最も優れていた曲は、「Searching」と巨大なグルーヴの「Don’t Lose Your Head」の2曲で、彼らがまた長らく活動をするために戻ってきたことが感じられた。

しかし、1997年11月、マイケル・ハッチェンスは悲劇的な死を遂げる。彼らの世代で最も偉大なフロントマンだった親友を失った悲しみに暮れたメンバー達は、90年代後半から2000年代の前半まで、音楽シーンから退くしかなかった。

マイケル・ハッチェンスは、現実的には誰にも替わりを努められないシンガーであったが、2005年、INXSはカナダ生まれのヴォーカリスト、J.D.フォーチュンを迎えたアルバム『Switch』で、待望の復帰を果たした。2010年には、マイケル・ハッチェンスのトリビュート・アルバム『Original Sin』のために、ブランドン・フラワーズ、トリッキー、ニック・ハーパー等のゲスト・ヴォーカルと共に初期の曲を再度レコーディングした。この2枚のアルバムの発表により、すでに伝説のロックン・ロール・バンドであるINXSが成長を続けてくれていること、そして、この先何十年も新しいファンを楽しませてくれるであろうということが、はっきりしたのである。

By Tim Peacock



INXS(インエクセス)『Live Baby Live』

2019年11月15日発売
CD / LP / iTunes

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