タワレコメン選出/初来日も決まったCUCO(クコ)とは? 21歳のメキシコ・ルーツ、マルチ・プレイヤーの魅力

Published on

2019年7月に発売となったメジャー・デビュー・アルバム『Para Mi』がタワーレコードがオススメする「タワレコメン」に選出、Coachella、Lollapaloozaといった米主要フェスへの出演、そして11月には自身初となる来日公演が決定したCuco(クコ)。現在21歳のCucoの魅力やバックグラウンドについて、音楽ライターの栗本 斉さんにインタビュー、そして執筆いただきました。


今、LA周辺のポップミュージック・シーンにおいて、最も注目されているアーティストといわれているのがCuco(クコ)だ。彼は米国生まれのアメリカ人だが、ルーツはメキシコにあり、ラテン・ミュージックやヒスパニック・カルチャーの影響も大きい。その上で、ドリーミーなベッドルーム・ミュージックを生み出しているという異色の存在。また、既存のプロモーションではなく、ヴェイパーウェイヴやチルウェイヴ、シティポップなどの動きと寄り添うようにして、インターネットやSNSを通じて彼の音楽が広まっていったのも新しい。

数年前であれば、オルタナティヴな存在として知る人ぞ知るミュージシャンで終わっていただろうが、今や国内外各地のフェスから引っ張りだことなり、ワンマン・ライヴも即完売するほどの人気ぶり。そして、ついに初のフル・アルバム『Para Mi』でメジャー・デビューを果たし、11月には来日公演も決定。日本でもその波が押し寄せてこようとしている。ここではCucoに独占インタビューを敢行。彼のルーツや音楽の不思議な魅力、そして彼の創作における秘密に迫ってみた。

 

―メキシコにルーツがあるそうですね。

メキシコ系アメリカ人の三世なんです。家族も音楽が好きだったから、この環境は何かしら影響はあると思います。特に幼い頃はメキシコ音楽をよく聴いていました。ロス・パンチョスやペドロ・インファンテなどは大好きでした。メキシコ音楽以外だと、ヒップホップやブラック・ミュージックもよく聴いてました。

―あなたは多数の楽器を弾きこなすマルチ・プレイヤーですが、楽器はどのようにして習得したのでしょうか

8歳の時にギターを弾き始めたのがきっかけ。当時はクイーンにハマっていたから、自分もあんなギターが弾いてみたくなったんです。そこから楽器をいろいろと弾くようになって、ハイスクールに入ってからレコーディングやプロデュース・ワークを勉強しました。といってもほとんど独学で、YouTubeをたくさん見て習得したんです。

―なぜルーツであるラテン系の音楽ではなく、今のような音楽性になったのでしょう

自宅のベッドルームで音楽を作っていたからじゃないでしょうか。僕は10歳頃からそのやり方を始めました。自分が出来るやり方で音楽を作っていたら自然とそうなっていったんです。なぜひとりで音楽を作るのかというと、自分が作りたい音楽を理解しているのは、自分自身しかいないから。バンドだと他のメンバーに説明しても通じないかもしれないですし、それぞれの好みも違うだろうし。

―実際の曲作りの手順を教えてください

まずはギターやパソコンでメロディを作り、アレンジをして曲を仕上げます。そして、最後に歌詞を書きます。歌詞はほとんど英語なんですが、たまにスペイン語が出てくることがあります。それはなぜなのか、何を意味しているのかはわからないけれど、きっと家庭で話されている言語だから、無意識に出てくるんでしょうね。

―ウェブやSNS上で音楽を発表し始めたということですが、なぜそういうスタイルになったのでしょうか

自分の音楽を披露できる唯一の場所が、ウェブだったからです。理由はそれだけですね。とにかく世の中にリリースしたかったんです。自分の音楽がどう受け取られるかはどうでもよかった。ただ、作ったものを外に出したかっただけなんです。

―ウェブに自身の音楽を発表し始めてみて、どんな反応がありましたか

「あなたの音楽が好きです」とか言ってもらえると、すごく嬉しかったです。そんな反応がもらえるなんて、とてもクレイジーだと思ったんです。もちろんネガティヴなコメントもあったかもしれないけど、それはそれでいいんです。あまり気にしていません(笑)

―サンタモニカ市立大学ではジャズの歴史を学んだそうですね

それまで、音楽はやっていても音楽史をきちんと音楽を学んだことがなかったから、勉強してみたいと思ったんです。自分が作る音楽にはあまり影響していないけれど、とにかくその知識をつけ付けたかったんです。勉強したことによって、もっと音楽に感謝するようになったし、音楽への愛が深まりました。

―最初の『Wannabewithu』や、翌年に発表した『Songs4u』、初のEP『Chiquito』といったメジャー・デビュー前の作品は、どういう思いで作った作品なのでしょうか

あまり深くは考えていませんでした(笑)。音楽を作りたいという想いだけで作ったんです。ただ、頭の中にある自分が作りたいと思うサウンドを形にしていくだけで、そうやって作った曲がたまると、それがEPやアルバムになる。そんな感じですね。作る上での目標?それはわからないですね(笑)。あまりゴールみたいなものは設定しないんです。

―なぜ、メジャー・レーベルと契約しようと思ったのでしょうか

僕の音楽に可能性を感じて、信じてくれる人たちに出会ったからですね。メジャーになったことで、僕には見つけられなかったプロジェクトを見つけてきてもらうことができたし、やっぱり自分自身だけでは出来なかったことがたくさん出来るようになりました。それはすごく自分の活動にプラスになっています。

―初のメジャー作品であり、初のフル・アルバム『Para Mi』のコンセプトは

『Para Mi』というのはスペイン語で“僕のために”という意味なんですが、まさにそのタイトルがコンセプト。僕自身に深く関係し、僕自身にとって意味のある曲が詰まっているのがこのアルバムなんです。これまでとの違いは、きっと聴いてもらえるとわかると思いますが、これまでよりも成長して大人っぽくなっているんじゃないですかね。サウンドもこれまでとは違う新しいスタイルを取り入れています。

 

―本作を通して何か新しい発見や、学んだことはありましたか

自分にもアルバムというフォーマットで作品が作れるんだということがわかりました。僕の場合、アルバムを作ろうと思って音楽制作をするということはないんだけれど、自分が作った曲の数々を使ってアルバムを作ることができるというのがわかったのはよかったと思います。

―今の音楽シーンにおいて自身の作品はどういう位置付けだと思いますか。また、共感できるアーティストやシーンがあれば教えて下さい

どういう位置付けなのかは、僕ではなくて聴いてくれたみんなが決めることなんじゃないですかね。共感できるアーティストやシーンも、僕自身には正直いうとわかりません。僕は本当にたくさんの音楽を常に聴いているから、好きなアーティストもたくさんいすぎて、誰に共感するのかを今すぐ考えるのはちょっと難しいですね。

―まもなく来日公演を行いますが、どのようなライヴになる予定ですか

良いショーになると良いですね。楽しいライヴになるはずです。僕自身もどんな内容になるかはまだわからないけど、サイケデリックなショーにしようとは思ってます。とにかく来日公演を楽しみにしています!

 

 

Interviewed & Written by 栗本 斉


Cuco 『Para Mi』
2019年7月
CD / iTunes

来日公演:2019年11月18日(月)@代官山UNIT
OPEN 18:00 / START 19:00




 

Share this story


Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
モバイルバージョンを終了