ジェネシス1977年の3曲入りEP『Spot The Pigeon』で歌われたサッカーと鳩

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ジェネシスのレコードの中に、こんなものがあるのはご存じだろうか? そのレコードの収録曲のひとつは、テレビ番組について歌った曲。それも、世界で最も古くから続いているサッカー番組として認定された番組についての歌だ。またもうひとつの収録曲は、トラファルガー・スクウェアで観光客にやたらとフンを浴びせかける鳥について歌っている。そのレコードは、ジェネシスが初めて全英シングル・チャートのトップ20に入った記念すべきEPだった。

この3曲入りEP『Spot The Pigeon』は、1977年5月28日に全英チャートに初登場した。サッカー番組についての曲というのは1曲目の「Match Of The Day」のこと。曲名にある「Match Of The Day」は、土曜夜に放送されているサッカー情報番組である(この曲が作られた当時は放送開始から13年目。現在では既に50周年を越えた長寿番組となっている)。曲の中では「土曜日の過ごし方といえば”Match Of The Day”を観るしかない」とフィル・コリンズは歌っている。この曲のプロモ・ビデオは、ロンドンのプロ・サッカー・チーム、クイーンズ・パーク・レンジャーズのホームグラウンド、ロフタス・ロードで撮影された。

また、人間嫌いの鳥についての歌というのは「Pigeons」のこと。この歌には、外務省の屋根にフンを落とし、「紙ばさみやバスの切符」で巣作りをするハトが登場する。そして3つ目の曲「Inside and Out」は7分近くあり、B面すべてを占めている。これは過小評価されがちな曲だが、実質的にスティーヴ・ハケット在籍時のジェネシスが出した最後の曲として注目に値する。

この3曲は、当時ジェネシスが出していた最新アルバム『Wind & Wuthering』(前年の12月に発表)のアウトテイクだった。ジェネシスの面々は、これらの曲がアルバムの雰囲気に合わないと判断し、収録を見送ったのである。「Inside and Out」(ハケットを含むメンバー4人の共作曲。トニー・バンクスが素晴らしいシンセサイザー・ソロを弾いている)は優れた曲なのでアルバムに収録してもよかったはずだ……という意見も一部にはある。とはいえポップな「Match Of The Day」やユーモラスな「Pigeons」は、おそらくEPで出すほうがよかったのだろう。

それまでジェネシスは、1974年の「I Know What I Like (In Your Wardrobe)」でしか全英チャートのトップ40に到達していなかった。一方EP『Spot The Pigeon』はチャート初登場で41位を記録。2週目には14位に急上昇し、それが最高位となった。チャート入りの期間は7週間となっている。

Written By Paul Sexton

♪ プレイリスト『Genesis Best Of


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