1位にはならなかったが長年愛され続けるジョン&ヨーコの「Happy Christmas」
全英チャートには妙なジンクスがある。現在クリスマス・ソングの名曲として知られる曲の多くが1位を獲得していないのだ。ザ・ポーグスの「Fairytale Of New York(邦題:ニューヨークの夢)」は、初めて発売されたときは2位止まり。ウィザードの「I Wish It Could Be Christmas Every Day」はトップ3にさえ入らず、最高4位がやっと。そして同じく最高4位に留まったのが、もはやクリスマスの定番となっている「Happy Christmas (War Is Over)(邦題:ハッピー・クリスマス (戦争は終った))」である。クレジットを正確に引き写せば録音したのは「ジョン&ヨーコ/プラスティック・オノ・バンド/ザ・ハーレム・コミュニティ・クワイア」だった。
これはジョン・レノンがザ・ビートルズを離れて出した7枚目のシングルで、作曲にはアコースティック・ギターが使われていた。1971年10月にデモ録音され、アメリカではその年のクリスマス向けシングルになったが、その段階ではイギリスで発売されなかった。その原因は、ジョン・レノンがザ・ビートルズの音楽出版社ノーザン・ソングズと衝突したことにあった。それが響いた結果、イギリスでの発売は1年も先になってしまったのだ。
とはいえアメリカでも「Happy Christmas」の発売時期が通常のクリスマス曲と比べて遅く、クリスマスの直前の12月1日だったため、ラジオで放送される機会があまりなかった。キャッシュボックス誌のシングル・チャートではかろうじてトップ40にランク入り、一方Billboard誌では、シングル・チャートではなく別のクリスマス・シングル・チャートで扱われたため、さらに目立たない場所に追いやられていた(ただし、そのクリスマス・チャートでは最高3位に達している)。
ようやく翌年になってイギリスで発売されたこの曲は、1972年12月9日、全英シングル・チャートに初登場し、23位を記録。順位はその後16位に上がったが、急上昇したのはクリスマス直前のチャートでのことだった。この年の最後の2週間は4位を維持している。
クリスマス・ソングではよくあることだが、「Happy Christmas」は何度もチャートに返り咲いている。特に1980年、ジョン・レノンの悲劇的な死のあとは2位にまで上昇。そのあとも幾度となくチャート入りを記録している。最近では2007年にトップ40入りを果たしている(最高40位)。
Written by Paul Sexton
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