ジョージ・ハリスンの久しぶりの全米1位「Got My Mind Set On You」
5年間の沈黙を破り、ジョージ・ハリスンは1987年のシングル「Got My Mind Set On You (邦題:セット・オン・ユー)」で全米のヒット・チャートに登場、見事にカムバックを果たした。伝染性抜群のこの曲は、ジョージにとって3曲目にして最後のアメリカにおいてのソロでのナンバーワン・ヒットとなった。また、元ザ・ビートルズのメンバーがアメリカで1位を獲得した作品としても、現時点ではこの曲が最後のものとなっている。
ヒット・チャートへのエントリーは、1982年暮れにかけて「Wake Up My Love (邦題:愛に気づいて)」が全米シングル・チャートで中ヒットを記録して以来初のものだった。そして、いわゆるヒット曲と呼べるものとしては、ジョン・レノンへのトリビュート曲としてポール&リンダ・マッカートニーおよびリンゴ・スターをフィーチャーしてリリース、1981年に2週間に渡って2位の座についていた感動的な作品「All Those Years Ago(邦題:過ぎ去りし日々)」以来だ。いかにもジョージらしい「Got My Mind Set On You」だが、実は60年代前期の知られざる佳曲だ。
ルディ・クラーク作曲になる「Got My Mind Set On You」の、ジェイムス・レイによるオリジナル・レコーディングは、Dynamic Sound レーベルから1962年にリリースされた。前年の末に「If You Gotta Make A Fool Of Somebody」でヒット・チャート22位を記録したのにもかかわらず、ヒット・チャートに登場することがなかったレイのヴァージョンだが、1963年にフレディ&ザ・ドリーマーズがこの曲をカヴァーして彼らにとってのイギリスで初のヒット曲にしている。
ジョージの「セット・オン・ユー」は、1988年7月16日にシングル・チャートで1位を獲得しているが、これはザ・ビートルズがロックの殿堂入りする1週間前という巡り合わせであった。この曲によって、何百万人ものハリスン信望者達は、1982年リリースのアルバム『Gone Troppo』以来となる、後にトラヴェリング・ウィルベリーズでのバンド・メイトになるジェフ・リンとの共同制作になる新作アルバム『Cloud Nine』を是非とも全曲聞かずにおれないと刺激されたのだった。
Written By Paul Sexton
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