ビーチ・ボーイズを魅了したグラミー殿堂入り楽曲、ファイヴ・サテンズ「In The Still Of The Nite」とは?
ビーチ・ボーイズのメンバーはカリフォルニア州ホーソーンで少年時代を過ごした。そうした成長期に、彼らはありとあらゆる素晴らしいサウンドに接した。そんなサウンドから受けた影響は、ブライアン・ウィルソンの頭の中に音楽的DNAとして刻まれることになった。特に、フォー・フレッシュメンやフィル・スペクターなどからの影響は有名だ。
しかしその他にも、ビーチ・ボーイズのメンバーは数々の名盤に親しんでいた。そして1976年、それら名曲に対するトリビュートとしてカヴァー・アルバム『15 Big Ones』を発表する。そこで取り上げられたある曲の元曲は、のちにグラミーの殿堂とロックの殿堂の両方から表彰され、またローリング・ストーン誌の「史上最高の曲ランキング・トップ500」で90位に入っている。その曲とはすなわち、ファイヴ・サテンズの「In The Still Of The Nite」である。これは1956年9月にBillboard誌のシングル・チャートに初登場し、1960年1月4日に再びランク入りしている。
ファイヴ・サテンズはコネチカット州ニューヘブン出身のR&Bヴォーカル・グループだった。このドゥーワップの名曲「In The Still Of The Nite」は、地元ニューヘブンの教会の地下で録音された。曲を作ったのはリード・ヴォーカル担当のフレッド・パリスだったが、不運なことに彼は「In The Still Of The Nite」がチャートに初登場したとき、米陸軍に徴兵され日本に駐留中だった。ファイヴ・サテンズは彼の代役としてビル・ベイカーを起用。「In The Still Of The Nite」は24週チャートに留まり、最高24位を記録した。下で聴けるのはそのオリジナル録音だ。
フレッド・パリスにとって幸いなことだったが、彼は1958年にビル・ベイカーと交代でグループに復帰できた。それゆえ「In The Still Of The Nite」が1960年に再びヒットしたときはファイヴ・サテンズのメンバーとして活動中だった。このとき「In The Still Of The Nite」はさらに4週間チャートに入り、最高81位を記録。翌年には三度シングル・チャート100圏内に達し、最高99位を記録している。この曲は、当時たくさんカヴァーされていた。たとえばサント&ジョニーのインストゥルメンタル・ヴァージョンは1964年に全米チャートで最高58位に到達。他にもディオンやフリートウッズなどがカヴァーしている。
1975年の終わりから’76年の初めにかけて、ビーチ・ボーイズはカヴァー曲の録音を進めていた。それらの曲はやがてアルバム『15 Big Ones』として発表される(このときは‘ブライアン・ウィルソンがついに復帰’という宣伝が大々的に打たれていた)。ここで「In The Still Of The Nite」は愛情を込めてカヴァー録音されており、アルバムの終わりから2曲目に収録された。リード・ヴォーカルはデニス・ウィルソンが担当。オリジナル・ヴァージョンが初めてヒットしたとき、彼は12歳になったばかりだった。そのビーチ・ボーイズのカヴァー・ヴァージョンはこちらから視聴可能だ。
Written by Paul Sexton
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