ムーディー・ブルース創設メンバー、グレアム・エッジのインタビュー第1弾:ムーディー・ブルースの50年間

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Graeme Edge photo: Kevin Kane/Getty Images For The Rock and Roll Hall of Fame

ムーディー・ブルースが、2018年1月10日からフロリダ州のハリウッドからスタートした『Days Of Future Passed 50th Anniversary』ツアーは、バンドの創設者であるレイ・トーマスが最近死去した事により、深い悲しみに染まるだろう。しかし、バンドが結成されてから54年間、彼らは強い力で共に、ライヴで人々を魅了し、現役でライヴを続け、4月にはロックの殿堂入りの道を切り開く。

ムーディー・ブルースが1967年に発売した『Days Of Future Passed』の50周年を記念したデラックス・エディションが、現在発売されていているが、uDiscoverはドラマーのグレアム・エッジに、2回に渡るインタビューを行った。第1弾は、どのようにしてツアーではこのアルバムの曲を全てライヴで演奏するのか。(この対談は、レイ・トーマスが死去する前に収録された)。

グレアム・エッジは、バンドが1964年にイギリス中部で結成してから、現在もバンドに残っている唯一のオリジナル・メンバーであり、ジャスティン・ヘイワード、ジョン・ロッジ、そして他の現役メンバーと共に長い間ツアーし続けている。ツアーは、1月末にラスベガスで行なわれる4公演で終了する。

昨年7月、ムーディーズは、WNET ThirteenとNew York Public Mediaのグレート・パフォーマンス・シリーズという公共放送サービスの特別番組のため、ライヴのナレーションに俳優のジェレミー・アイアンズを迎え、トロントのソニー・センターで1967年に発売されたLPの収録曲を全て演奏した。ドラマーのグレアム・エッジは、「リハーサル中に、やりがいのある事にチャレンジできた」と話している。

またグレアム・エッジは、「通常のライヴでは『Days Of Future Passed』からは2曲しかやらないんだ。アルバムに収録されている3、4曲は、スタジオの外では一切演奏した事がなかった。アルバムのヒット曲である「Nights In White Satin(邦題:サテンの夜)」と「Tuesday Afternoon」の2曲は演奏するのに問題なかったが、他の曲はとにかく練習が必要だったよ。だから、蜘蛛の巣まみれの曲を綺麗に掃除するのは、おもしろい経験だった。50年間たまっていた汚れをとりはらったよ!」。

さらにグレアム・エッジは、現代行われているショーの構成について明かしてくれた。「古くにリリースしたアルバムを全て演奏する際、多くのアーティストは、より良い演出にするために、アルバムには収録されていない他のヒット曲を演目に入れるが、僕達は6、7曲他の曲を演奏してから『Days Of Future Passed』の曲をやる。すると、雷が鳴り響いているような大きな拍手が起こるよ」と笑い、「その後、数曲アンコールをやるんだ」と語った。  

グレアム・エッジは、1967年の10月にバンドがアルバム制作のため、ロンドンのウェスト・ハムステッドにあるデッカ・スタジオに足を踏み入れた時のムーディー・ブルースが感じていた‘先が見えない将来’について話してくれた。1964年にバンドのオリジナル・メンバーで、ベッシー・バンクスの「Go Now」をカヴァーし、チャートの上位にのぼりつめる事ができたが、その後、安定してチャート入りする事がなかなかできなかったのだ。

ジャスティン・ヘイワードとジョン・ロッジがバンドに加入した後も、ムーディー・ブルースのバンドとしての生存が保証されるには程遠かった。「当時の状況を説明するとしたら、僕達は『知らぬが仏』の状態だった」とグレアム・エッジは言う。「僕達はスタジオで10日間過ごす事になった、それを聞いた僕らは『やったぜ、10日間ディズニーランドにいれる。わーい!』と喜んでたんだよ」。

「(ライブ演出について)昔、僕達は2時間半のセットをやっていた。他のバンドも2時間半のセットが与えられ、出番は毎回前後入れ替わっていた。それと僕達は観客に話しかける事も本当に苦手だった」とグレアム・エッジは話しを続けた。「そのため、24時間のライヴ演出を考えたんだ。日中に12時間と夜に12時間演奏をする。‘Tuesday Afternoon’と‘Nights In White Stain’と、たしか ‘Peak Hour’も全て、このために作られた曲だった」。

「同時期にドヴォルザークの「New World Symphony(邦題:新世界より)」のカヴァーをやる機会も与えられていた。親愛なる故ピーター・ナイト(アルバムの編曲家であり、ロンドン・フェスティバル・オーケストラの指揮者)には本当に感謝している。彼は、僕達の新しい楽曲作りに協力してくれたよ」。

「1967年は、そんな時代だった」と、グレアム・エッジは思いを呟いた。「現代は、小さな制作会社と大きな配給ネットワークで成り立っている。昔は、自社内でスタジオ、広告部署、アート部署、プレスなどがあり、全て一つ屋根の下で行われていた。だから、企業が全てのリスクを背負っていたんだ」。

発売50周年記念のCD2枚組みとDVD付きの『Days Of Future Passed』デラックス・エディションでは、1967年のステレオ・ミックス完全オリジナル版がCDとして初めてリリースされる事となり、1972年にリリースされた4チャンネルステレオのオリジナル・テープを5.1chサラウンドに変換した楽曲が含まれている。これら楽曲は、1972年にもミキシングされたが、オリジナルのマスター・テープが劣化してしまった。現在、このテープは修復されている。

DVDは、1968年1月にMIDEMトレード・フェスティバルでムーディーズが3曲演奏した未公開シーンが収録されている。悲しくも先日亡くなってしまったレイ・トーマスがデザインしたポスターも、このアルバムの特典に含まれている。再製されたアルバムを自ら試聴する前に、グレアム・エッジはこう語った。「ジャスティン・ヘイワードにこのアルバムの音について聞いてみた。なぜならば、彼がイタリアで全ての楽曲をミキシングしてくれたから。彼は、実に素晴らしい仕上がりになっていると言っていたよ」。

グレアム・エッジのインタビュー第2弾では、バンドと彼自身の忍耐力、ロックの殿堂入りへの経緯について語っている。

Written by Paul Sexton



ムーディー・ブルース『Days Of Future Passed』(50周年記念盤)

  

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