ジョージ・ハリスン初のA面シングル「Something」とジョージが一番好きな同曲のカバーヴァージョン
ジョージ・ハリスンが書いたザ・ビートルズのレパートリーの中で初めてシングルA面に選ばれたのが「Something」だった。これはザ・ビートルズを代表する傑作バラードのひとつとなった。1969年10月31日、この曲はイギリスでニュー・シングルとして発売された。カップリング曲は「Come Together」だった。
この両A面シングルは、もうひとつの理由でも注目に値する。ここに収められた2曲は、どちらも数週間前に出たアルバム『Abbey Road』の収録曲だったのである。発売済みのアルバムの曲をザ・ビートルズがシングルとして発売するのは、これが初めてのことだった。この「Something」は全英チャートでは最高4位に留まっている。一方アメリカでは、1969年11月に「Come Together」がチャートの1位に達した。しかしこの当時のBillboard誌のシングル・チャート集計ではシングルの曲がそれぞれ別個にリストアップされており、「Something」のほうは最高3位止まりだった。
その後、この美しいラヴ・ソングは数え切れないくらい多くのアーティスト/グループにカヴァーされることになった。ここでは、そうした数々のカヴァーの中から選りすぐりのヴァージョンをお届けしよう。この中には、フランク・シナトラの感動的なヴァージョンも収められている。これは1979年12月に録音され、翌年にアルバム『Trilogy』で発表された。フランク・シナトラは「Something」を「史上最高のラヴ・ソング」と誉め讃えているが、残念なことにジョン・レノン&ポール・マッカートニーの曲と間違えて紹介している。
1969年終り前には、ジョー・コッカーや、ペギー・リー、トニー・ベネットらのアーティストが魅力的にこの曲をカヴァーした。1970年には、より多くのカヴァーがうまれ、想像しうるあらゆるスタイルでカヴァーされた。その中には、モータウンのマーサ・リーヴス&ザ・ヴァンデラスによるものもある。
このプレイリストには、ソウルのゴッドファーザー、ジェームス・ブラウンが吹き込んだ素敵なヴァージョンも入っている。これは作者のジョージ・ハリスン自身も絶賛していた。「個人的に一番好きなのは、ジェームス・ブラウンがカヴァーしたヴァージョンだよ」と彼は語っている。「あれはジェームスのシングルB面に入っていた。うちにあるジュークボックスには、そのシングルを入れてあるんだ。あのヴァージョンは実に素晴らしいね」。
Written by Paul Sexton
「Something」のカバーを13曲集めたプレイリストはこちら
ザ・ビートルズ『Abbey Road』