ジョー・エリオットによる、デフ・レパードの“ロックの殿堂入り”受賞スピーチ全文

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デフ・レパード(Def Leppard)が、12枚目となるフル・アルバム『Diamond Star Halos』(ダイアモンド・スター・ヘイローズ)を2022年5月27日にリリースすることを発表。

このアルバム発売を記念して、2019年に行われたロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)受賞時のスピーチを全文掲載(*ブライアン・メイによる紹介スピーチはこちら)。

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ジョー・エリオットによるスピーチ

(歓声)ありがとう!今日は僕らを迎えてくれてありがとう。この場に来られて最高です。まず、大親友で兄弟分のブライアン・メイの素晴らしい紹介スピーチに限りない愛と感謝を送ります。大好きですよ、ブライアン。そしてあの映画(『ボヘミアン・ラプソディ』)の素晴らしい成功おめでとう。これ以上ないくらい素敵なあなたにふさわしい成功です。

また、今夜一緒に殿堂入りする他のアーティストの皆さんもおめでとうございます。ロキシー・ミュージック、スティーヴィー・ニックス、そしてゾンビーズといったアーティスト達と今日このステージを一緒にするのは本当に光栄です。彼らは僕たちが長い間遠くから敬意を持って見つめていたアーティスト達ばかりだからです。

両親への感謝

さて、本題に入りましょう。この機会に、今日このバンドがこの場に辿り着くのにとても重要な役割を果たしてくれた何人かの人々に感謝し、いくつかの重要な出来事について話したいと思います。まずは両親たちです。

その昔、僕らは自宅で夢をみながらロックスターに憧れるただのティーネイジャーだったので、親の助けと励ましがなければ、今夜このステージに立つところまで来るのはもっと困難だったと思います。例えば僕の母は、僕が8歳の時に最初の3つのコードを教えてくれたんです。それ以来僕はもう2つほどコードを覚えましたが(笑)、結局最初の3つだけで充分で、後の2つは不要だと気づきました。父は、1978年に最初のレコーディングをするために150ポンド貸してくれたのですが、それがそれ以来僕らが経験してきた激動のキャリアを始めるとても大事なきっかけになったのです。

これは、これまでに親たちがしてくれたことのたった2つの例で、それ以外にも親のサポートやその他にことについて今夜夜通しでお話しすることもできますが、要は親のサポートは最大の重要な要素であり、彼らの助けや資金面の援助などがなければ、言うまでもなく事態はまったく違う形になっていただろうということです。だからありがとう、母さん父さん!本当にありがとう。

メンバーたちとの出会い

このバンドの誕生においてもう一つの大きな出来事は、自分が1977年8月のある夜にバスに乗り遅れたことでした。次のバスを待たずに歩いて帰ろうと決めたことで、以前からギターが巧いと知っていた少年とバッタリ会うことになるのです。彼の名前はピート・ウィリス。ピートはこのバンドの共同創設者の一人で、業界で最高の右利きギタリストの一人でした。残念ながらピートは今日この場にいませんが、このバンドの初期に彼が果たした重要な役割をここで強調しておきたいのです。彼は最高のプレイヤーで、とても茶目っ気のあるユーモアのセンスの持ち主でしたが、このバンドに多くの素晴らしい音楽のアイデアを提供してくれました。

大学の学食でたまたま同じギター雑誌に手を伸ばしたことで知り合ったそのピートが、今は亡くなった偉大なるスティーヴ・クラークを紹介してくれました。その後10年以上の間、スティーヴはこのバンドに計り知れないほどの音楽的貢献をしてくれ、彼の弾く素晴らしくユニークなリフは、僕らが書くことになる重要な楽曲を形作る重要な要素になりました。言うまでもなく彼を愛していますし、日々彼がここにいれば、と思うばかりです。

それまで夢見ることしかできなかったようなレベルまで、僕らを引っ張り上げてくれたのは、クリフ・バーンスタインとピーター・メンシュの2人でした。彼らはマネージメント会社のQプライムを立上げ、僕らのキャリア25年のほとんどの期間、面倒を見てくれました。ピーターが、このバンドがブレイクし始めるまでの何年もの間、充分な資金を提供し続けてくれたことにはいつも感謝しています。そして、見事にブレイクできたのです!

しかし、ブレイクの前にピーターとクリフが行った最も重要な貢献は、僕らの楽曲を、将来のプロデューサーであり、共作者であり、相談相手となるロバート・ジョン・“マット”・ラングに紹介してくれたことでした。マットと初めて一緒に仕事をしたのは、1981年のなかなかいいアルバム『High ‘n’ Dry』でしたが、それまでと全く違う新しい方向にバンドが進み出したのは、1983年のアルバム『Pyromania(炎のターゲット)』の成功で、そこで初めて新しいボスにちゃんと引き合わされました。

ファンへのメッセージと大切にしてきたもの

それから僕らの素晴らしく熱心なファンの皆さんがいなければ、僕らは今夜ここにいません。全くもってそれは疑うべくもないことです。なので、ありがとう、ありがとう、ありがとう!『Pyromania』に続く36年間の期間中、常に僕らに付いてきてくれて、その途中困難なことがあった時もサポートしてくれました。でもその困難なことがあったから、このバンドは今ここにいるのだと思います。僕ら自身のアイデンティティと信念を理解してくれる、しっかりしたファンの皆さんがいてくれたからこそです。

これまでに書いてきた曲の数々は常に僕らの最優先事項でしたし、長年にわたる僕らの的外れなファッション・センスを見れば、僕らが何を大事にしてきたかはわかるでしょう。そして、常にちょっと先に何か悲しい出来事が起きる予感があったものの、僕らはそれに屈しませんでした。確かに、音楽的に何かぐっと前に進んだと思うたびに、僕らは何らかの形で打ち戻されてきたような気がします。

『Pyromania』はとてつもない成功でしたが、リックは人生を一変するような事故に遭いました。彼はそれを乗り越えて、更に強くなって帰ってきました(観衆がスタンディング・オベーションで長い歓声)。皆さん、リック・アレンです!

『Hysteria』は以前から望んでいた、世界的な成功を届けてくれましたが、今度はスティーヴを失いました。でも僕らはそれも乗り越えて、更に強いバンドとして戻ってきました。自分たちのキャリアを通じて、いつもバンドの運命はそういう風に展開してきました。だから皆さん、事実として受入れましょう。アルコール依存症でも自動車事故でもガンでもこのバンドは死ななかったんだから、90年代だってこのバンドには関係なかったんです。

さて、最後に時計を現在に移して、このデフ・レパードという素晴らしいマシーンをこれまで走り続けさせ、そしてこれからも何年も走り続けさせてくれた人たちに感謝したいと思います。僕らのマネージャーのマイク・コバヤシは、2005年から亡くなる2017年まで私たちのマネージャーだったハワード・カウフマンからマネージャーの仕事を引継いでくれました。ハワードは、このバンドがどうなるかまだ判らない時期にこのバンドに新しい命を吹き込むという素晴らしい仕事をしてくれたのですが、マイクはそれを受け継いでやってくれています。だからありがとう、マイク・コバヤシ。

過去から現在に至るまでの、特に今のユニバーサル・レコードの友人のみんな、ありがとう。そして家族のみんな、僕らが地に足を付けて活動できるよう助けてくれる妻や子供たち、ありがとう。そして僕らがこの仕事を続ける大事な理由を与えてくれてありがとう。

そして最後になるけど、仲間のバンドメンバーたちに感謝。血のつながりはないけど、僕らはそれに一番近い関係の兄弟同然の仲で、こいつらがいなければこのバンドはできなかったし、こいつら以外の誰とも一緒にやりたいとも思いませんね。ありがとう!(歓声)

*ブライアン・メイによる紹介スピーチはこちら

Written by uDiscover Team


デラックス(左)、通常盤(右)

デフ・レパード『Diamond Star Halos』
2022年5月27日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music

1CDデラックス収録曲
1. Take What You Want
2. Kick
3. Fire It Up
4. This Guitar (featuring Alison Krauss)
5. SOS Emergency
6. Liquid Dust
7. U Rok Mi
8. Goodbye For Good
9. All We Need
10. Open Your Eyes
11. Gimme A Kiss
12. Angels
13. Lifeless (featuring Alison Krauss)
14. Unbreakable
15. From Here To Eternity
16. Goodbye For Good This Time – Avant-garde Mix *
17. Lifeless – Joe Only version *
*ボーナストラック
*限定盤デジパック仕様

1CD通常盤
1. Take What You Want
2. Kick
3. Fire It Up
4. This Guitar (featuring Alison Krauss)
5. SOS Emergency
6. Liquid Dust
7. U Rok Mi
8. Goodbye For Good
9. All We Need
10. Open Your Eyes
11. Gimme A Kiss
12. Angels
13. Lifeless (featuring Alison Krauss)
14. Unbreakable
15. From Here To Eternity
16. Angels – Striped Version *
17. This Guitar – Joe Only version *
*ボーナストラック



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