フォー・トップスが大躍進した全米全英1位獲得曲「Reach Out I’ll Be There」
1966年10月15日、フォー・トップスは彼らの代表曲となる楽曲「Reach Out I’ll Be There」で全米シングル・チャート1位を獲得した。この16ヶ月前に彼らが「I Can’t Help Myself (Sugar Pie,Honey Bunch)」で1位を獲得したときには既に全米のお気に入りグループになっていた。しかし「Reach Out I’ll Be There」は、プロデューサー・チームの ホランド=ドジャー=ホランドのヒット工場からの新しい楽曲であり、ある種の啓示的な曲でもあった。
もこの楽曲はドラマに満ち溢れ、生々しい感情が表現され、メジャー・キーからマイナー・キーへと大胆にシフトし、オーボエ、フルート、アラビアン・ドラムなど普段は使われない楽器が使用され、そしてフォー・トップスの素晴らしい歌声が加えられたことでマジックが起き、彼らの代表作となった。リーヴァイ・スタッブスのヴォーカルはラジオからこの曲が流れてきた瞬間にリスナーを興奮させた。50年以上経った今でもそれは続いている。
1966年8月にシングル「Reach Out I’ll Be There」がリリースされたとき、フォー・トップスの人気が下降気味だと言われることもあった。彼らのその前のシングルは、スティーヴィー・ワンダーとの共作「Loving You Is Sweeter Than Ever」で彼らのソウル・ファンを非常に満足させ、ソウル・チャートで最高位12位を獲得、また、イギリスでも21位を獲得し、当時の彼らの最大のヒット曲となった。しかし、全米ポップ・チャートでは45位までしかあがらず、次回作にはクロスオーヴァーでヒットすることへのプレッシャーがのしかかっていたのだ。そういったプレッシャーはあったものの「Reach Out I’ll Be There」で彼らは大躍進をすることになる。
「Loving You Is Sweeter Than Ever」の次の曲を決めるために、モータウンで行われていた週に1度のクオリティ・コントロール・ミーティングで、創設者のベリー・ゴーディはこの曲をレコーディングするように指示している。「Reach Out I’ll Be There」は全米シングル・チャートに82位で登場し、たった4週間でTOP10入りをはたし、さらにそこから3週後に1位を獲得した。
「Reach Out I’ll Be There」は世界的に成功した曲にもなった。オランダ、アイルランド、カナダでもTOP10入りを果たした。しかしどこよりも、イギリスのオーディエンスとフォー・トップスとの関係を強固なものとし、10月の終りの全英シングルチャートで1位を獲得している。
Written by Paul Sexton
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フォー・トップス『Reach Out』