ストーンズとマディ・ウォーターズの唯一の共演:チェッカーボード・ラウンジの奇跡の一夜
シカゴのサウス・サイドにあるチェッカーボード・ラウンジは、ブルースの有名ライヴ・ハウスだった。この店はもともとは43番街の物騒な地域にあったが、2005年により上品なハイド・パーク地区に移転した。その近くには現在もオバマ大統領が家を構えている。
チェッカーボード・ラウンジが開店したのは1972年のことで、最初の出演者はバディ・ガイだった。やがて1981年11月22日、歴史に名高いライヴがここで行われた。マディ・ウォーターズ・バンドのステージに、ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッド、イアン・スチュワートが参加したのである。このステージには、さらにバディ・ガイ、ブルース・ハープの名手ジュニア・ウェルズ、ギターのレフティ・ディズも参加。まさにブルース漬けの一夜となった。
当時ザ・ローリング・ストーンズは全米ツアーの真っ最中。前の晩にはミネソタ州セントポールでコンサートを行い、シカゴではローズモント・ホライゾンで11月23日からライヴを3公演行う予定だった。この夜、彼らは休みをとる代わりにチェッカーボード・ラウンジに赴き、マディ・ウォーターズに敬意を表すことにした。マディ・ウォーターズはザ・ローリング・ストーンズの名前の元になった曲「Rolling Stone」の作者であり、若い頃のザ・ローリング・ストーンズの面々に多大なる影響を与えたミュージシャンだった。
チェッカーボード・ラウンジのオーナーだったL・C・サーマン(2014年死去)は、こう語っている。「ザ・ローリング・ストーンズがシカゴに来る1週間前に、彼らのロード・マネージャーが会場の下見に来たんだ。そのマネージャーは、‘ストーンズがここでマディ・ウォーターズとライヴをやりたがっている’と言った。そうしてこちらに500ドルくれた。それで、その話が本当だとわかった」。ライヴの前日には、バディ・ガイとジュニア・ウェルズにも声が掛かった。この店のステージは小さく、またPAも安物の借り物だったが、それでもこの夜のライヴはかなりの見物になった。
ザ・ローリング・ストーンズがマディ・ウォーターズとライヴで共演したのは、あとにも先にもこれ一度きり。また、シカゴという場所も実にお似合いだった。なにしろ、マディ・ウォーターズは40年前からこの街に住んでいたのだから。「Baby Please Don’t Go」の演奏中に、ザ・ローリング・ストーンズはステージに登場。そこからマディ・ウォーターズと一緒に「Hoochie Coochie Man」、「Long Distance Call」、「Mannish Boy」を演奏していった。そして「Champagne & Reefer」でこの夜のライヴは締めくくられた。バディ・ガイ、キース・リチャーズ、ロニー・ウッド、マディ・ウォーターズが一緒にギターを弾くようなステージは、どんな場所であろうと聖地であったはずだ。
2015年9月、‘ブルースの本場’と自ら銘打っていたチェッカーボード・ラウンジはついに閉店した。ここのステージに立ったミュージシャンの中には、エリック・クラプトン、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、チャック・ベリー、ロバート・プラントも含まれている。
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<Disc 1収録曲>
1. Sympathy For The Devil
2. No Expectations
3. Dear Doctor
4. Parachute Woman
5. Jigsaw Puzzle
6. Street Fighting Man
7. Prodigal Son
8. Stray Cat Blues
9. Factory Girl
10. Salt Of The Earth
<Disc 2収録曲>
01. Sympathy For The Devil (mono)
02. “ハロー!ミック・ジャガーです” 1968年4月17日ロンドン – 東京
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②CD
『Chicago Plays the Stones』