ディスコ・シーンでドナ・サマーの地位が上昇した『Four Seasons Of Love』
1976年の秋、ドナ・サマーがリリースした新作アルバムには、夏だけではなく、春、秋、冬も含まれていた。ボストン出身のドナ・サマーは1975年に発売したメジャー・デビュー盤『Love To Love You Baby(邦題:愛の誘惑)』のヒットがきっかけで生じた人気をそのまま維持し、その1976年10月11日に自身4枚目となるスタジオ・アルバム『Four Seasons Of Love』をリリースした。
1975年に賛否両論となった官能的なメジャー・デビュー作『Love To Love You Baby』がヒット。この作品で彼女は共同プロデューサーでライティング・コラボレーターだったジョルジオ・モロダーとピート・ベロッテとの仕事の基盤を築いた。アルバム『Love To Love You Baby』のタイトル・トラックは全米シングルチャート2位を記録し、1976年初めには野心的なコンセプト・アルバム『A Love Trilogy』をリリースする。
メジャー2作目のアルバムとなった『A Love Trilogy』は、前作と同じくミュンヘンにあるプロデューサーたちのミュージックランド・スタジオで『Love To Love You Baby』録音の直後に制作された。アルバムはタイトル通り三部構成からなり、A面は1曲17分の「Try Me, I Know We Can Make It」で埋め尽くされた。B面にはバリー・マニロウの「Could It Be Magic(邦題:恋はマジック)」のドナ・サマーのヴァージョンが収録され、ディスコとポップのベスト・セラーとなった。
『A Love Trilogy』の発売後は、ドナ・サマーは新たにスターダムに躍り出て多くのプロモーション活動を行った。そして1976年の半ばにチームは再びミュージックランドに戻り『Four Seasons Of Love』の制作に取り掛かった。今回のコンセプトは四季に沿ってラヴ・ストーリーを語るというもので、楽曲タイトルも「Spring Affair」、「Summer Fever」、「Autumn Changes」、そして「Winter Melody」で、クロージングは「Spring Reprise」と名付けられた。
最初のシングルだった「Spring Affair」は全米ポップ・チャートではあまり成果が出ず、58位を記録、R&Bチャートでは最高24位であった。「Winter Melody」はもう少し成功し、アダルト・コンテンポラリー・チャートでトップ10入りを果たす。また、イギリスではトップ30のヒットとなった。
アルバム『Four Seasons Of Love』は全米アルバム・チャートでは29位までしか到達しなかったものの、半年もの間、チャートにとどまった。そして過去2作同様にゴールド認定を受け、急成長していたディスコ・シーンに置いて最もクリエイティヴなアーティストとしてドナ・サマーの評判はさらに上昇した。そして次にドナ・サマーがチャートに戻ってくるのは、まさにその時を代表する曲「I Feel Love」を発表した時だ。
Written by Paul Sexton
ドナ・サマー『Four Seasons Of Love』