ドナ・サマー「She Works Hard for the Money」:女性の共感を呼んだ働く女性のためのアンセム

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Cover: Courtesy of Island Def Jam Music Group

1983年当時、ドナ・サマーは正真正銘の世界的スターだった。彼女は、ミリオン・ヒットとなった1975年のシングル「Love You Love You Baby」に続き、次々とヒット曲をチャートに送り込み、グラミー賞を受賞するなど70年代後半にスターダムを駆け上がっていた。

そして80年代に入り、名プロデューサー、クインシー・ジョーンズと組んで制作セルフ・タイトルのアルバムからは2曲がグラミー賞にノミネートされた。

それでも、常にインスピレーションを探し求めていたドナは、ウェスト・ハリウッドのレストラン“チェイスンズ”で開催されたフリオ・イグレシアスのグラミー賞アフター・パーティーに出席していた時、彼女のアイコニックな名曲「She Works Hard for the Money(情熱物語)」の着想を得たある人物に遭遇した。

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「彼女はお金のために一生懸命働いているんだから…」

1986年に米TV番組“You Write The Songs”に出演したドナは、その日のエピソードをこう振り返っている。

「マネージャーのスーザン・ムネオと一緒にお手洗いに行ったら、そこに女性がいたの。角をのぞき込んでみると、彼女は頭を傾けて座り、周囲には気づかずただ眠っていた。私は彼女を見て、哀れな気持ちでいっぱいになった。この女性はお金のために一生懸命働いて、一晩中この臭い場所で過ごさなければならないって思ったの」

ドナはすぐにその出来事から何かを得たことに気付き、曲のタイトルを書き留め、翌日プロデューサーのマイケル・オマーティアンに持っていった。それが、同名の11作目のスタジオ・アルバムのために書き下ろされた最後の曲だった。

この曲のサビではドナはこう歌う。

She works hard for the money
So you better treat her right
彼女はお金のために一生懸命働いているんだから
ちゃんと扱ってあげないと

さらに「コーナー・スタンドのオネッタ/Onetta there in the corner stands」という歌詞でトイレ係のオネッタ・ジョンソンに敬意を表した。また、このアルバムの裏ジャケットには、オネッタ・ジョンソンとドナ・サマーがおそろいのウェイトレスの衣装でポーズをとる写真が使われている。

 

その成功とMVの内容

ドナ・サマーは「She Works Hard For The Money」で米ビルボードのHot R&B Songsチャートで3年ぶりに首位に返り咲き、 全米シングルチャート(Hot 100)と Dance Club PlayチャートでもTOP3入りを果たした。最優秀女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス賞にノミネートされた1984年のグラミー賞授賞式では、ドナがこの曲のライヴ・パフォーマンスでオープニングを飾っている。

ブライアン・グラントが監督した同曲のミュージック・ビデオも話題を呼んだ。清掃員からウェイトレスまで、家庭でも家事をこなしている働く女性たちを映し出したこのビデオは、MTV史上初の黒人女性アーティストによるヘビーローテーション作品となった。

曲もビデオも世界中の女性リスナーの共感を呼んだ「She Works Hard For The Money」は、働く女性のためのアンセムとして世代を超えて愛され続けている。

Written By Rhian Daly


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