ダイアナ・ロス初主演映画『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』のサントラ
ダイアナ・ロスの初主演映画『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実(Lady Sings The Blues)』は、1972年10月12日に封切られた。ここでダイアナはビリー・ホリデイを演じたが、それはモータウンの歌姫にとって大胆な選択だった。当時の彼女は正式にソロ・デビューしてからまだ2年足らず。シュープリームス脱退後に出した4枚のソロ・アルバムのうち、全米チャートのトップ40入りを果たしたのは1枚しかなかったという状況だったのだ。
しかしこの映画のサントラ盤は、ダイアナにとって唯一の全米チャート1位獲得のアルバムとなった。このアルバムが1位に到達した1973年4月7日は、奇しくもビリー・ホリデイの58回目の誕生日だった。この2枚組LPで、ダイアナは「God Bless The Child」「Strange Fruit(奇妙な果実)」、そしてアルバム・タイトル曲「Lady Sings The Blues」といったビリーの名曲をカヴァーしている。
ビリー・ホリデイは悲劇的なほど若くして亡くなっており(享年44歳)、このアルバムが出たときは彼女が亡くなってから既に13年が経過していた。この映画とサントラ盤がビリーへの関心を再び掻き立てたのは間違いない。1970年代きっての大スターが伝記映画で主演したことで、ビリーにも新しいファンがついたのである。
『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』のサントラは、ビルボード誌のアルバム・チャートに11月末に初登場した。同じ月には、映画が全米で公開。アルバムはゆっくりと人気に火が付き、チャートへの初登場から20週後、つまり4カ月以上あとにようやく1位にたどりついた。1位到達の直前には、この映画はアカデミー賞で5部門にノミネートされ、ダイアナは主演女優賞の候補となっている。しかしこの年のアカデミー賞で主演女優賞を獲得したのは、『キャバレー』のライザ・ミネリだった。
『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』のサントラは全米チャートに54週間留まった。またこれが火付け役となり、ビリーの他の作品も再び注目を集めるようになった。その証拠に、当時の全米チャートにはビリーのレコードが3枚もランク入りしている。『The Billie Holiday Story』(1944~1950年の音源を収録)は1972年のクリスマスの週にチャート入りし、最高85位まで上昇。チャート入りの期間は21週間に及んだ。また『Strange Fruit』(1939~1944年の音源を収録)は翌年1月にチャートに入り、最高108位を記録。さらに『The Original Recordings』(1935~1958年の音源を収録)も2月にチャートに入り、最高135位に達している。
Written By Paul Sexton
『Lady Sings The Blues』
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