1枚で2組の偉大なバンドの演奏が楽しめるCCRの『Willy And The Poor Boys』
わずか10ヶ月のあいだに3枚のスタジオ・アルバムをリリースし、そのすべてがプラチナ・アルバム認定以上のセールスを記録する。そんなことのできるバンドが現在、たとえ1組でも存在するだろうか? 1960年代も終わろうとする頃、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルはこれを成し遂げた。彼らは驚異的なペースでアルバムを発表し、その全てをヒットさせたのである。そして1969年12月13日、1960年代が終わろうというタイミングで、4枚目のアルバム『Willy And The Poor Boys』もヒット・チャートに送り込んでいる。
グループのリード・シンガー、ジョン・フォガティがプロデュースを担当したこのアルバムには「Down On The Corner」と「Fortunate Son」といったクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルの代表曲に加え、レッドベリーの「Cotton Fields」や、多くのアーティスト/グループが取り上げてきたトラディショナル・ナンバー「Midnight Special」といった楽曲のカヴァー・ヴァージョンも収められていた。
アルバム・タイトルは収録曲の一つ「Down On The Corner」の歌詞の一節。「down on the corner, out in the street, Willy and the Poor Boys are playin’ /Bring a nickel, tap your feet(通りの角を曲がったあたりで、職にあぶれたウィリーとプアボーイズが演奏している/少しばかりカンパして足を踏み鳴らして楽しもう)」に由来する。
このアルバムにはクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルのメンバーに加え、ブッカー・T・ジョーンズ、スティーヴ・クロッパー、ドナルド・“ダック”・ダン、アル・ジャクソンから成るブッカーT&ザ・MGズの面々も参加。つまり『Willy And The Poor Boys』は、1枚分の価格で2組の偉大なバンドの演奏が楽しめる贅沢なアルバムというわけである。
『Willy And The Poor Boys』はアメリカのチャートで最高位3位を記録。6週に亘ってそのポジションに留まり、ダブル・プラチナムに認定された。しかしながら、普通なら大成功と言えるこの成績は、1969年に至るまでCCRの勢いを思えば、決して満足のいくものとはいえなかった。『Willy And The Poor Boys』の数ヶ月前にリリースされた前作『Green River』の実績(4週ものあいだチャートの首位を維持し、トリプル・プラチナ・アルバムに認定されている)と比較すれば、それも止むを得ないことだったのである。
『Willy And The Poor Boys』のツアーの開始に先立って、アメリカでは同アルバムに収録されている「Down On The Corner」と「Fortunate Son」を併録した両A面シングルがリリースされている。このグループのレコードにはめずらしいことではなかったが、これら2曲は揃ってチャート入りを果たし、「Down On The Corner」は最高位3位、「Fortunate Son」は最高位14位をマークした。
アルバム『Willy And The Poor Boys』の方もまた、世界的なヒット作になり、フランスではアルバム・チャートの首位を獲得。イギリスでは翌1970年春に至って、最高位10位を記録している。クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルのアルバムがイギリスのアルバム・チャートでトップ10圏内に入るのは、これが初めてのことだった。
Written By Paul Sexton
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル
『Willy And The Poor Boys』
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