コモドアーズ初のR&Bチャート1位となった1976年の『Hot On The Tracks』
コモドアーズの原点は、1960年代のアラバマ州タスキーギ大学にある。もともとこの大学の学生だった彼らは、ゆっくりと着実にステップアップしていった。まず1974年にモータウン・レーベルから出たデビュー作『Machine Gun』はそこそこのヒットを収めた。
その翌年、コモドアーズは「Slippery When Wet」でR&Bシングル・チャートの1位を初めて獲得。続いて1976年6月15日に発表したアルバムで初めてソウル・チャートの首位に立ち、ここから出たシングルは2度目のR&Bシングル・チャート1位に輝いた。まさに、『Hot On The Tracks』というアルバム・タイトルそのままの活躍ぶりだった。
同じくアラバマ州出身のジェームズ・アンソニー・カーマイケルとコモドアーズが共同でプロデュースしたこのアルバムは、このグループがまさに才人の集合体であることを証明していた。曲作りはメンバー6人全員が手がけており、たとえば冒頭の「Let’s Get Started」はメンバー全員が共作者としてクレジットされている。この陽気なファンクの曲は、雑誌Billboardに掲載された論評では「ラテン風のクール&ザ・ギャング」と形容されていた。これは同誌のダンス・チャートでトップ3に入るヒットとなった。
このアルバムから出たナンバー・ワン・シングル「Just To Be Close To You」は、ライオネル・リッチーが作り出した見事なソウル・バラードの初期作品。これはポップ・チャートでも7位まで上がっている。このアルバムでリッチーはさらに4曲を共作しており、そのうち3曲はヴォーカル/ギターのトーマス・マクラリーとの共作(「Girl, I Think The World About You」「High On Sunshine」「Come Inside」)。そしてもう1曲はベースのロナルド・ラプリードとの共作「Fancy Dancer」で、これもR&Bチャートでトップ10入りを果たしている。
またアルバムB面には、トランペットのウィリアム・キングの「Thumpin’ Music」やキーボードのミラン・ウィリアムズの「Captain Quickdraw」が収められていた。そして最後は、ドラムスのウォルター・オレンジの「Can’t Let You Tease Me」で締めくくられている。
『Hot On The Tracks』はR&Bチャートで初登場32位を記録。8月末からは断続的に合計6週間1位の座についている。またポップ・チャートでは初登場97位を記録したあと、最高12位まで上昇。コモドアーズにとって初のトップ20入りアルバムとなった。その後も彼らはヒット作を連発していく。
Written By Paul Sexton
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