エリック・クラプトン唯一の全米1位シングルは、ボブ・マーリー「I Shot The Sheriff」のカバー
エリック・クラプトンは実に独特の才能の持ち主であり、他人を当てにすることなく生きてきた。しかし他の偉大なミュージシャンに出会えば、その人を積極的に世間に紹介してきた。J.J.ケイルがその良い例だ。エリック・クラプトンに曲をカヴァーしてもらい、メディアに評価してもらったことで、J.J.ケイルは多大なる恩恵を受けた。それと同じように、ジャマイカのスター、ボブ・マーリーが世界的な大スターの座に登りつめたときも、エリック・クラプトンによる「I Shot The Sheriff」のカヴァーは大きな役割を果たしていた。
1974年9月14日付けの全米アルバム・チャートを見ると、エリック・クラプトンのアルバム『461 Ocean Boulevard』がスティーヴィー・ワンダーの『Fulfillingness’ First Finale(邦題:ファースト・フィナーレ)』に首位の座を譲っている。しかし同じ週の全米シングル・チャートでは、エリック・クラプトンがカヴァーしたボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの「I Shot The Sheriff」がアメリカの新たな大人気曲となっていた。
スティーヴィー・ワンダーの『Fulfillingness』には、かなり不似合いなことにベテラン・ヒットメーカー/ソングライターのポール・アンカがバック・コーラスで参加していた。ポール・アンカはこの前の週までバラード曲の「(You’re) Having My Baby(邦題:二人のきずな)」でチャートの首位を獲得していたが、この週になるとその座をエリック・クラプトンに譲っていた。この週はアンディ・キムの「Rock Me Gently」が4位から3位に、ダニー&マリー・オズモンドの「I’m Leaving It All Up To You(邦題:愛の散歩道)」が5位から4位にそれぞれ上昇し、バリー・ホワイトも「Can’t Get Enough Of Your Love(邦題:あふれる愛を)」で5位に達している。翌週にはバリー・ホワイトが、またさらにその翌週にはアンディ・キムがそれぞれ首位を獲得した。
エリック・クラプトンは長いキャリアの持ち主だが、彼が出したシングルのうち全米チャートの1位にまで達したのはこの「Sheriff」のカヴァーだけだ。ボブ・マーリーのオリジナル・ヴァージョンは、エリック・クラプトンがカヴァーする数カ月前に出たウェイラーズのアルバム『Burnin’』(1973年)に収録されていた。エリック・クラプトンのカヴァーでは、イヴォンヌ・エリマンがバック・コーラスを担当している。このクラプトンのヴァージョンはアメリカやその他の国のポップス系ラジオ局で大人気になったが、アメリカのソウル系ラジオ局でもかなり放送されていた。その結果、ビルボード誌のR&Bチャートでも33位まで上昇している。
Written by Paul Sexton
- エリック・クラプトン アーティスト・ページ
- フロリダで最も有名な住所、エリック・クラプトン初の全米1位『461 Ocean Boulevard』
- エリック・クラプトン『No Reason to Cry』
- エリック・クラプトンの20曲
- エリック・クラプトン関連記事一覧