チャック・ベリー「Rock & Roll Music」解説:ビートルズ以外にも多くのカヴァーを生んだ名曲

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Photo: Michael Ochs Archives/Getty Images

1957年11月18日、チャック・ベリー(Chuck Berry)による必聴ロックンロール・ナンバーの一つが注目を集め始めた。キャリア初期の名曲を次々に発表して快進撃を続けていた彼はこの日、多大な影響力を誇る一曲「Rock & Roll Music」をR&Bチャートに送り込んだのだ。

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このころ、チャックがヒット曲を世に放ち始めてからは2年の月日が経っていた。そして、チェス・レコードからリリースされたこの新曲は、R&Bチャートにランクインする彼の楽曲として実に10曲目となった。だが特筆すべきは、ポップ・チャートに彼の楽曲が入るのはこれがまだ5曲目だったということだ。

「Maybellene」のB面曲であった「Wee Wee Hours」や、同じシングルのAB面だった「Too Much Monkey Business」と「Brown Eyed Handsome Man」などの楽曲は、R&Bファンたちの支持を集めて同ジャンルのヒット・チャートにのみランクインしていた。

しかし、たまらないほど魅力的な「Rock & Roll Music」はヒット間違いなしの一曲だった。そのため、あらゆるラジオ番組の制作者に取り上げられ、両方のジャンルで大ヒットを記録したのだ。実のところ、同曲はR&Bチャートより1週早くポップ・チャートに初登場しており、最高で8位まで上昇。同チャートには19週ものあいだとどまったが、これはR&Bチャート(こちらでの最高位は6位)での9週より期間としては断然長かった。

ご存知の通り、同曲は数え切れないほどの若手アーティストに大きな衝撃を与えた。結果として彼らは、自らのキャリアの中で同曲をこぞってカヴァーしたのである。特によく知られているのは、ザ・ビートルズが1964年作『Beatles For Sale』でこれを取り上げたことであろう。このヴァージョンでは、エネルギーと真心のこもったジョンのリード・ヴォーカルと、はつらつとしたポールのピアノが印象的に残る。

また、あまり知られていないところでは、チャックと同じロックンロールの先駆者の一人であるビル・ヘイリーも、コメッツを率いて後年に同曲を録音。彼のヴァージョンは1973年発表の『Just Rock & Roll Music』に収録されている。

さらに同年には少女たちの憧れの的だったデヴィッド・キャシディもこの曲を録音しているし、ハンブル・パイも1975年作『Street Rats』にこれを収録した。

そして、そのあとで「Rock & Roll Music」に新たな命を吹き込んだのはビーチ・ボーイズだった。彼らは1976年、アルバム『15 Big Ones』で同曲を取り上げ、全米シングル・チャートのトップ10にも送り込んだのだ。近年では、ブライアン・アダムスも2014年のアルバム『Tracks Of My Years』でこの曲を演奏している。

チャック自身も、彼に関する1987年のドキュメンタリー映画『チャック・ベリー/ヘイル・ヘイル・ロックンロール』の中で同曲を力強く蘇らせている。この作品の中で彼は、偉大なシンガーであるエタ・ジェイムズをリード・ヴォーカルに迎え、彼女とコール・アンド・レスポンス形式でこの曲を歌い上げているのだ。つまり、どんな形で演奏しても、「Rock & Roll Music」がとっておきのロックンロール・ナンバーであることに変わりはないのである。

Written By Paul Sexton



チャック・ベリー『The Great Twenty-Eight』
1982年発売
iTunes Store / Apple Music / Spotify / YouTube Music




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