最後の軍人、小野田寛郎に基づいたキャメルのコンセプト・アルバム『Nude / ヌード〜Mr.Oの帰還』

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1980年代初めには、キャメルの1976年の『Moonmadness(邦題:月夜の幻想曲(ファンタジア))』と1977年の『Rain Dances(邦題:雨のシルエット)』が全英チャートでトップ20入りを果たしたことはすでに思い出になりつつあった。ニュー・ウェイヴ時代となり、彼らのプログレシッヴ・ロックというブランドは好事家が好むものというイメージが定着してしまったのだ。そんな中1981年の1月に発売されたキャメルの『Nude(邦題:ヌード〜Mr.Oの帰還)』は新たに全英チャート入りを果たした。

マルチ・インストゥルメンタリスト兼チーフ・リード・シンガーのアンディ・ラティマーが主に楽曲を書き下ろしたアルバムは小野田寛郎の人生に基づいて制作されたコンセプト・アルバムだった。小野田寛郎は日本軍の少尉であり、第二次世界大戦が終戦したことを知らず、1974年に当時の指揮官が現地へ出向いて任務を解除するまで、フィリピンで約30年間身を潜め続けた人物だ。

「Drafted(邦題:徴兵の時)」「Please Come Home」「Captured(邦題:キャプチャード(保護))」などの曲が収録されたアルバムは、ファンの間でキャメルの最も力強い作品として思い出に残っている。この時点でキャメルはほぼ3ピースのバンドとして活動しており、コリン・バスがベース・ギターと2曲でのリード・ヴォーカル、そしてアンディ・ウォードがドラムを務めていた。ダンカン・マッケイが新たにキーボードで貢献し、さらにアルバムには著名なセッション・プレイヤーであるサクソフォニストのメル・コリンズとチューバ奏者のハービー・フラワーズが参加した。

全英チャート入りを果たしてから、『Nude』は2週目で最高34位を達成し、1979年の前作『I Can See Your House From Here』の45位より良い結果を得た。また、持続力も示し、7週間チャートに在位した。しかし、1970年代を通してずっと控えめではあるが在位していた全米アルバム・チャートには記録を残すことができず、キャメルにとって自国でも最後のトップ40入りしたアルバムとなった。とはいえ、1982年の『The Single Factor』と1984年の『Stationary Traveller』とその後もチャートには登場している。

Written by Paul Sexton



キャメルの『Nude(邦題:ヌード〜Mr.Oの帰還)』

   

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