デビューから4作連続100万枚を突破したボストンの『Walk On』
70年代や80年代に数百万枚を売り上げていた時代は過ぎ去ってしまったが、1994年6月25日、ボストンはAORのタンクにはまだまだ燃料がたっぷり詰まっていることを証明した。バンド・メンバーの変更を乗り越え、3年ほどかけて完成させた4作目のアルバム『Walk On』が全米アルバム・チャートで最高7位を獲得したのだった。
このマサチューセッツからやってきたバンドは過去20年で最も売れたロック・アルバムの数々を世に送り出している。1976年のセルフ・タイトルのデビュー作は全米だけで1,700万枚、続く1978年のセカンド・アルバム『Don’t Look Back』は700万枚、そして1986年に発表された3作目『Third Stage』は400万枚を売り上げている。しかし、1994年までには、アリス・イン・チェインズやサウンドガーデンなどの新鋭バンドがチャートの上位を占めるようになり、アメリカの音楽シーンは大きく変わっていた。エイス・オブ・ベイスの純然たるポップスやエルトン・ジョンの『The Lion King』サウンドトラックなども商業的に大成功を収めるかたわらに、トラディショナルなロックのマーケットもしっかり存在し、ピンク・フロイドの『The Division Bell』はその年の売り上げTOP10アルバムに入っていた。
『Walk On』は、2曲を共作していたヴォーカルのブラッド・デルプが、後のツアーには戻って来たものの、以前のバンド仲間だったバリー・ゴードローの新バンド、RTZに加わるためにボストンを離れるというメンバー・チェンジの中で制作された作品だった。代わりに新たなヴォーカルとして加わったフラン・コスモによる「I Need Your Love」はバンド最後の全米TOP 100入りシングルとなり、ロック・ラジオ・チャートでもTOP5入りのヒットを記録した。
ビルボード誌は彼らの『Walk On』のレビューでこう考察している。「ボストンには残念だが、評論家ではなく、人々がアルバムを買うのだ。過去18年間、彼らのとてつもないパワー・ポップ・サウンドを貪り喰った数千万というファン達が、メディアによるやじをまとめて押し流してしまっているのだ」そんなファン達によって、この年の9月にはこのアルバムは100万枚を達成した。
Written By Paul Sexton
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