ボン・ジョヴィ「Wanted Dead Or Alive」解説:カントリー/ブルース/ロックが融合した名曲

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Cover: Courtesy of Island Def Jam Group

アウトローのイメージは、ロックンロールとカントリー・ミュージックの両方で頻繁に喚起されるが、ボン・ジョヴィ(Bon Jovi)は名バラード「Wanted Dead Or Alive」で、この2つのジャンルをシームレスに融合させることに成功した。

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リッチーの実家で作り上げた楽曲

1986年のマルチ・プラチナム・アルバム『Slippery When Wet』から放たれた3曲の全米トップ10ヒットのうちの3つ目のシングル「Wanted Dead Or Alive」は、ボン・ジョヴィのトレードマークとも言えるアンセミックなサウンドから、スタイル的に逸脱していた。同曲は、アルバムの色褪せないNo.1ヒット「Livin’ On A Prayer」と「You Give Love A Bad Name」と同時期の鍛錬されたソングライティング・セッションから生まれた。ジョン・ボン・ジョヴィは2009年のトーク番組“Inside The Actor’s Studio”の中でこの曲の制作についてこう振り返っている。

「ギタリストのリッチー(・サンボラ)が当時住んでいた彼の母親の実家に行って、“Slippery When Wet”のための楽曲を書いていたんだ。週に5日、少なくとも1日6時間か8時間くらいは部屋にこもって作曲していた。毎日だいたい1曲、時には2曲を完成させていたよ。“Wanted Dead Or Alive”は、そんなある1日で書き上げた2曲のうちの1曲だったことを覚えている」

 

歌詞と楽曲

「Wanted Dead Or Alive」の制作にあたり、リッチー・サンボラがすでに曲の複雑な最初のリフを用意していたことで、2人の作業は有利に進んだ。彼のギターのルーツっぽい、ナッシュヴィル風のテイストは、ボン・ジョヴィにオールド・ウェスタン風のイメージを盛り込んだ歌詞を書くようインスピレーションを与えた。

実際、この曲に登場する以下のような歌詞は、ワイルド・ウェストのカウボーイが敵を射止める能力と、現代ロックンロールのアウトローがオーディエンスの心を掴むための探求との間にある鮮明な類似性を重ね合わせている。

I walk these streets, a loaded six-string on my back
この通りを行くんだ 背中に6弦のギターを背負って
I play for keeps ‘cause I might not make it back
俺はいつも本気さ もう戻らないかもしれないから
I’ve been everywhere, still I’m standing tall
あらゆる場所に行った そして俺は今も胸を張って生きている
I’ve seen a million faces and I’ve rocked them all
たくさんの人たちに出会い みんなをロックしてきたんだ

もちろん、アルバム『Slippery When Wet』の成功によって世界的なスーパースターへと変貌を遂げようとしていたボン・ジョヴィは、もはや「Wanted Dead Or Alive」でロマンチックに描かれた孤高のアウトサイダーではなかったが、それはさほど問題ではなかった。

この曲のロマンチックなアウトローのイメージは、今でもあらゆる層のポップ・ファンを惹きつけ、その精巧に作られたラジオ・フレンドリーな曲調は、誕生以来そのレガシーを確実なものにしてきた。実際、この曲は『特捜刑事マイアミ・バイス』、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』、『ヴァンパイア・ダイアリーズ』といったTVシリーズで繰り返し使用され、その都度新たな聴衆と繋がってきた。そして今ではボン・ジョヴィの代表曲のひとつとみなされている。ジョン・ボン・ジョヴィは2009年のインタビューでこう語っている。

「“Wanted Dead Or Alive”は、僕らのツアー生活に直接インスパイアされた曲なんだ。言うなれば、僕たちはまるで若い盗賊団のように町に現れ、お金や女の子、酒を盗んで、日が昇る前に立ち去っていった。それがどのロックバンドにも共通するライフスタイルだった」

Written By Tim Peacock


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