常識破りの6分のシングル、クイーンの名曲「Bohemian Rhapsody」を振り返る
ハード・ロック、オペラ、情熱的なバラード、そしてフレディ・マーキュリーが60年代から書き続けていた歌詞。それら全てを一つにまとめ、6箇所の異なるスタジオにおけるレコーディングを経て完成した楽曲「Bohemian Rhapsody」は、6分という長さと同様、着想から完成に至るまでの期間もきわめて長かった。しかしながら今から約40年前の1975年10月31日、この曲はリリースされると同時にイギリスのヒット・チャートの1位になり、数々の記録を打ち立て、クイーンの野心を体現した古典になった。
今では信じ難いが、多くのセクションから構成され、サビもなく、そして通常3分間というシングルの相場をはるかに超える楽曲の長さという点で、この作品に対するレコード会社の上層部やラジオ局のDJの当初の反応は否定的なものだった。クイーンは、この曲はエアプレイされないだろうと告げられた。しかし、「べつに番組で流さなくてもかまわない」と言われながらコピーを渡された当時キャピトル・ラジオで番組を持っていたDJの故ケニー・エヴェレットは、「わかったよ」とは応じつつもこの曲を繰り返しオンエアした。それが功を奏し、この曲を気に入ったファンがレコード店の前で列を作るということになった。まだレコードの発売前にもかかわらずだ。
そして店の棚に並べられるや否や、「Bohemian Rhapsody」は一気にイギリスのヒット・チャートの最上位へ達し、その後クリスマス期間も含めて9週間その場に居座り続けた。
しかし、シングル・リリースの常識のクイーンによる書き換え作業はこれだけではなかった。アルバム『Queen II』のカヴァー・ジャケットのポーズを再現したバンドのメンバーをフィーチャーして撮影されたプロモーション・ビデオを制作することによって、音楽をテレビを通じてアピールする手法が確立され、以降のシングル・リリースのスタイルの先駆となった。キャッチーなプロモーション・ビデオは、ヒット・チャートに名を刻むことを目指す全てのバンドにとっての必須条件になっていったのだ。
当然この曲はクイーンのステージにおけるハイライトにもまった。1975年のツアー「Queen Invite You To A Night At The Opera Tour」(DVD『A Night At The Odeon』にその最終日のステージが収録。同ボックス・セットには彼らが初めてステージ上でこの曲を演奏したサウンドチェック時の様子も追体験できる)で初めてファンに披露されたこの曲は、その年の終わりにはロックの歴史の1ページに確かに刻まれたのだった。
Written By Sam Armstrong
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