サム・スミスのベスト・ソング20:オリジナルからコラボ、人の心を動かすラブ・ソング【動画付】

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2012年以降、シンガー・ソングライターのサム・スミスはうらやましいほどのスケールでヒット作を出してきた。サムは自分がゲイであることを2014年にカミングアウト。そして、自らの性的志向と体のイメージの不安定さに悩まされた幼少期からの苦しみを作品の中で描いてきた。

その天賦の美声によって、サムのラヴ・ソングは無数の人の心を動かし、その結果スタンダードとなり、数多くの名曲を生み出している。その中から、今回はベスト・ソング20曲を選んでみよう。

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20位:  How Will I Know

ホイットニー・ヒューストンの名曲の、このゴージャスなカヴァー・ヴァージョンを聴くと、サムの声の力がよくわかる。にぎにぎしい80年代中期のオリジナル版とは異なり、こちらは抑制された優しい声で歌われており、曲そのものに潜んでいた繊細で情感たっぷりのメロディが浮き彫りになっている。

これは、サムのデビュー・アルバム『In The Lonely Hour』の「Drowning Shadows」の”プレミアム・エディション”(2015年末に発売)に収録された。

 

19位:  Together  (ディスクロージャー、ナイル・ロジャース、ジミー・ネイプスとの共演)

これは、2013年後期にディスクロージャーの『Settle』のリミックス・アルバム企画でプロモーション・シングルとして発売された。ベテラン・ミュージシャンであるシックのナイル・ロジャースやサムの長年の相棒ジミー・ネイプスとのコラボレーションでレコーディングされたこの「Together」は、懐かしのスタジオ54を思わせるサウンド。サムのヴォーカルは、浮遊するファンク・ポップに安定感をもたらしている。

 

18位:  One Last Song

この「One Last Song」は、サムのセカンド・アルバム『The Thrill Of It』からの2枚目のシングルのリード・トラックに選ばれた。「One Last Song」は初めて聴く者の耳にも、長く慣れ親しんだ懐かしい曲のように聞こえる。

このレトロな雰囲気は過去の名曲たちからいただいたものかもしれないが、楽曲そのものはタイラー・ジョンソン(エド・シーランやテイラー・スウィフトなどの作品に貢献している)との共作で作られた新曲だ。このナッシュヴィル風のメロディのおかげで、これはサム・スミスのすばらしいシングルのひとつとなった。

 

17位:  Fire On Fire

スティーヴ・マックは、ウェストライフ、セリーヌ・ディオン、カルヴィン・ハリスといったアーティストを手がけてきた折り紙付きのポップ・ソングの作り手。2018年、彼はこの曲をサムと共作し、Netflixのリメイク版アニメ『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち』に提供した。

録音は、ロンドンの有名なアビー・ロード・スタジオでBBCコンサート・オーケストラとの共演で行われた。このドラマティックなバラードは、マックのトレードマークである大胆な決めフレーズが特徴となっている。

 

16位:  Have Yourself A Merry Little Christmas

サム・スミスがクリスマス・ソングのスタンダード・ナンバーに挑戦した唯一の例。オリジナル・ヴァージョンはジュディ・ガーランドの映画『若草の頃』の挿入歌だった。それ以来たくさんのカヴァーが録音されており、その中でもフランク・シナトラのヴァージョンが決定版となっている。

サムが2014年に出したカヴァー・ヴァージョンはアメリカのポップ・チャートで成功し、原曲と同様、スタンダード・ナンバーとして広く認知されることになった。

 

15位:  Burning

これは『The Thrill Of It All』のリード・トラックとしてシングル・カットされ、ヒット・チャートでも好成績を収めた。この曲のハックニー・ラウンド・チャペルでのライヴ演奏はゴスペル色が濃厚で、すばらしい効果を挙げている。サムは抜群のテクニックがあるヴォーカリストだが、それにもかかわらず、暖かみや親しげな雰囲気を作り出せる希有な声の持ち主である。

 

14位:  Leave Your Lover

アルバム『In The Lonely Hour』の中でも”告白調”という表現が最も似合うトラックのひとつ。「この“Leave Your Lover”という曲は、僕が去年恋した人についての歌」とサムはインタビューで語っている。「この曲のメッセージはかなり悲しいものなので、曲そのものは可愛らしくしようと思った」。

アルバムのテーマとなっている失恋は、この曲ではミドル・テンポの軽めのバラードというかたちで歌われている。一方、印象的なプロモーション・ビデオ(モデルのデイジー・ロウも出演している)は強烈な三角関係を描き出していた。ここでサムは、自らの性的志向について初めて語ることになった。

 

13位:  Omen (ディスクロージャー feat. サム・スミス)

再びディスクロージャーと共演した「Omen」は、彼らのセカンド・アルバム『Caracal』からの2枚目のシングルのリード・トラックになった。脈打つようなEDMのダンス・ビートは、当時のサム自身の方向性からは少し離れた曲調だった。とはいえこれは、2012年にリリースされた両者の初のコラボレーションの成果「Latch」の延長線上にあった。

「Omen」はイギリスのヒット・チャートでトップ20に入り、米国のダンス・チャートでは首位を獲得している。

 

12位:  Pray  (feat. ロジック)

ラッパーのロジックを起用した「Pray」は、”War Child”という海外でのチャリティ活動に参加した経験がきっかけとなって生まれた。この曲を作ったチームでは、ティンバランド(ミッシー・エリオットやジャスティン・ティンバーレイクとの活動で有名)が仕切り役となっていた。ここでもゴスペルからの影響が大きな効果を挙げている。2018年にリリースされた「Pray」は、世界中で大ヒットを記録している。

 

11位:  La La La (ノーティ・ボーイ feat. サム・スミス)

サムはノーティ・ボーイが2013年に出したこのヒット曲にゲスト参加し、一躍注目を集めた。軽いダンス・ポップのリフがラジオで大反響を呼んだ結果、この曲はイギリスのヒット・チャートの首位に達した。しかしプロモーション・ビデオにはサムは参加していない。「La La La」はこの年のイギリスを代表する大ヒット・シングルとなり、ブリット・アワードにもノミネートされている。

 

10位:  Latch (ディスクロージャー feat. サム・スミス)

「Latch」は「目立たない大ヒット」と言うべき曲。2012年、これはイギリスで50万枚以上売れたが、チャートのトップ10には入らなかった。アメリカでは最終的にチャートのトップ10に入り、ダンス・チャートの首位を獲得している、ただしそれは、最初に発売されてから何年もあとの話だった。こちらのプロモーション・ビデオにもサムは登場していない。しかしディスクロージャーの出世作はいまだに新鮮に聞こえる。

 

9位:  I’m Not The Only One

『In The Lonely Hour』からの第3弾シングルとなったこの曲は、小粋なソウル・バラード。スタンダードになる要素がズラリと揃っている。軽いシャッフル調のアレンジは、サムの堂々たる歌声の背景として申し分ない。印象的なプロモーション・ビデオには、『glee/グリー』で有名なディアナ・アグロンや『The Mindy Project』のクリス・メッシーナらが登場。そのビデオでは、曲のヒントとなった荒れ模様の夫婦関係が描かれていた。

こうしたビデオも反響を呼び、「I’m Not The Only One」はイギリスのヒット・チャートのトップ3、アメリカのチャートのトップ5にランクインしている。ただしサムは、この「I’m Not The Only One」をシングルとしてリリースすることにためらいを感じていた。

「ラジオで流してもらえそうな、もっと安全な選択をすることもできた」と認めながらも、サムはこう主張している。「みんなに知ってもらいたかった。僕がラジオで大ヒットを出すためだけにシングルを出す人間ではないことを」。

しかしサムの主張は間違っていた。結局この曲もラジオで大人気になったのだから。

 

8位:  Money On My Mind

サム・スミスのファンが爆発的に増えるきっかけとなったのが、「Money On My Mind」だ。ここでサム・スミスは自らの個性をはっきりと確立した。このいつまでも続くサビはサムの代名詞となった。

ラスベガスで撮影されたプロモーション・ビデオではサムが主役となり、世界一の歓楽街の過剰さを描き出している。これはデビュー・アルバムからの2枚目のシングルのリード・トラックになり、2014年2月に英チャートのトップに立った。

 

7位:  Lay Me Down

いい曲は、自ずと広く知られるようになるものだ。この「Lay Me Down」は、2013年に最初に発表されたときは最高46位に留まったが、アルバム『In The Lonely Hour』のヒット後に再発され、トップ20入りを果たした。そこで話は終わらない。チャリティ番組『Comic Relief』のためにジョン・レジェンドとのデュエットで吹き込まれた3つ目のヴァージョンは、全英チャートの首位に達している。

 

6位:  Too Good At Goodbyes

大ヒットしたファースト・アルバムに続くセカンド・アルバムのリリースには度胸が必要だ。ファンの期待が高まる中、デビュー作がまぐれあたりでなかったことを証明しなければならない。シングル「Too Good At Goodbyes」は、ファースト・アルバムのソウルフルな要素にシャープでモダンな音作りを組み合わせることで、セカンド・アルバム『The Thrill Of It All』のヒットを確実なものにした。

ここでもゴスペル風のサビが大きな効果を発揮している。2017年、「Too Good At Goodbyes」は全英チャートの首位を獲得し、サム・スミスの代表曲のひとつとなった。

 

5位: Like I Can

やはり『In The Lonely Hour』からシングル・カットされた「Like I Can」は、それまでの勝ちパターンから外れた曲で、このアルバムのイメージを広げることになった。このモータウン風のシャッフルの曲は、従来のゴスペル色の強いバラードからギア・チェンジした軽快な仕上がりだった。これはアメリカでは大ヒットにならなかったが、2014年末にイギリスのヒット・チャートのトップ10にランクインしている。

 

4位: Dancing With A Stranger (feat. ノーマニ)

元フィフス・ハーモニーのヴォーカリスト、ノーマニとスタジオで偶然であったことから、このコラボレーションが生まれた。「Dancing With A Stranger」は、2019年初頭に世界各国でヒットを飛ばしている。これは2018年の「Promises」の大ヒット後にサムが手がけた最初の曲のひとつで、これからサムが向かおうとしている方向性を示唆しているのかもしれない。

 

3位: Promises (カルヴィン・ハリス&サム・スミス)

このハウス/ダンス・ポップのハイブリッド作品は、2018年の夏を代表するヒット曲になった。イギリスのヒット・チャートではサムにとって7度目の首位獲得シングルとなっている。これはスーパースターDJ/プロデューサーのカルヴィン・ハリスとのコラボレーションから生まれた曲で、アメリカでもクラブで大ヒットとなった。

プロモーション・ビデオではLGBTQのダンス・カルチャーが前面に出ており、「Vogue」時代のマドンナと共演したケヴィン・ステアも登場している。

 

2位: Writing’s On The Wall

とても信じられないことだが、2015年に発表された「Writing’s On The Wall」は英チャートの首位を獲得した初めてのジェームズ・ボンド映画の主題歌となった。その後、ゴールデン・グローブ賞やアカデミー賞も受賞し、サム・スミスの代表曲としての地位を確固たるものにした。

この曲は、長年のコラボレーターであるジミー・ネイプスとの共作曲。サムは、「ボンド映画の主題歌を担当したのは自分のキャリアの中でもハイライトのひとつ」と語っている。

 

1位:  Stay With Me

このゴスペル・バラードで、サムの人気はアメリカでも爆発した。アメリカのヒット・チャートでは最高2位を記録。ピアノが奏でる繊細なメロディと強力な決めフレーズは、実に効果的だった。ここで歌われているのは、一夜限りの関係でできた心の空白。

この「Stay With Me」はグラミー賞の”Record Of The Year (最優秀レコード賞)と”Song Of The Year (最優秀楽曲賞)”も受賞。サム・スミスの代表曲のひとつになった。

 

Written By Mark Elliott


最新アルバムサム・スミス『Gloria』
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サム・スミス『In The Lonely Hour』
2014年5月26日発売
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