クイーンの楽曲ベスト20ランキング:世界を魔法にかけた名曲たち(全曲視聴動画付き)

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伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、人々を魅了するクイーンの音楽に脚光を当てた。1971年に結成されたクイーンは、史上最も成功したグループのひとつになった。並外れたリード・シンガーのフレディ・マーキュリーは20世紀のパフォーマーとしても指折りのカリスマ性を持ち、彼らの”ライヴ・エイド”での名演は今でも語り継がれている。

クイーンはフレディ以外に、ブライアン・メイ(ギター/ヴォーカル)、ジョン・ディーコン(ベース)、ロジャー・テイラー(ドラム/ヴォーカル)というメンバーから成る。

本記事ではクイーンの楽曲トップ20のランキングを作成した。ここに入っていないお気に入り曲ももちろんあるだろう。コメント欄でぜひ教えてほしい。

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20位「Father To Son (父より子へ)」(1974年)

QUEEN II』には「Seven Seas of Rhye (輝ける7つの海)」や「Ogre Battle」等々の佳曲も収録されているが、「Father To Son (父より子へ)」はこのセカンド・アルバムの中でも傑出している。ブライアン作の同曲では彼の代名詞といえる激しいギターが印象的だが、フレディも巧みなピアノを聴かせる。このパワー・バラードの歌詞は父が子にもつ責任を歌った刺激的なもので、父の日にぴったりの楽曲である。

 

19位「Innuendo」(1991年)

「Innuendo」は同名のアルバム(1991年に亡くなったフレディの生前にリリースされた最後の作品)からのリード・シングルである。全英1位に輝いたこの曲は、スイスのスタジオでのジャム・セッションから生まれている。ブライアンとドラムのロジャー、ベースのジョンがあるビートに合わせて演奏していたところから楽曲の骨子が出来たのだ。フレディとロジャーがそこに歌詞をつけ、大胆なオーケストラ・アレンジを施した。

さらに、フラメンコ・ギターのソロにはイエスのギタリスト、スティーヴ・ハウが参加している。「Innuendo」は後期の野心的な楽曲のひとつで、フレディのヴォーカルがすばらしい。同アルバムは偶然にも、体を蝕む病に立ち向かうフレディの勇気を示した「The Show Must Go On」で幕を閉じる。彼はまた、勇敢にも「These Are The Days Of Our Lives (輝ける日々)」のビデオにも出演してみせている。

 

18位「Fat Bottomed Girls」(1978年)

クイーンは1978年作『JAZZ』のいくつかの楽曲で新境地を開拓した。ブルージーなロック・ナンバー「Fat Bottomed Girls」はフレディの楽しげな歌が印象的で、ライヴの人気曲になった。同曲は「Bicycle Race」と一緒にシングル・カットされたが、ウィンブルドン・グレイハウンド・スタジアムを裸のモデルたちが自転車で走る後者のビデオは波紋を呼んだ。その「Bicycle Race」は、フレディがツール・ド・フランスを観戦した後に書いたといわれている。

 

17位「I Want To Break Free」(1984年)

ジョン作のキャッチーなポップ・ソングは、そのMVを巡って論議を巻き起こした。メンバー全員が女性の服を着るコンセプトは、イギリスの長寿ドラマ『コロネーション・ストリート』のパロディで、ロジャ-が提案したものだ。ブライアン曰くアメリカでは思わぬ反発を受けたといい、MTVでも放映が禁止された。

 

16位「A Kind Of Magic」(1986年)

「A Kind Of Magic」は同名アルバムの先行シングルとして発表され、ロジャーの作曲の好調さを印象付けた。彼はその1年前に「Radio Ga Ga」を書き、アルバム『A Kind Of Magic』には「Don’t Lose Your Head」も提供している。

キャッチーなこのヒット曲はもともと映画『ハイランダー 悪魔の戦士』の主題歌(劇中でクリストファー・ランバート演じる登場人物が”It’s a kind of magic”というフレーズを口にする場面もある)として書かれ、覚えやすい歌詞をヒントにフレディがポップな良アレンジを施した。ミュージック・ビデオは『ハイランダー 悪魔の戦士』の監督であるラッセル・マルケイが手がけた。

 

15位「Tie Your Mother Down」(1977年)

ブライアンがクイーンのために書いた楽曲は数知れない。ジョンはブライアンが書いた中でお気に入りの曲としてファンキーな「Dragon Attack」を挙げている。そんなブライアン作の楽曲の中で最も有名なもののひとつが「Tie Your Mother Down」だ。

5作目のアルバム『A Day At The Races (華麗なるレース)』のレコーディング時、クイーンは世界的なロック・バンドになろうとしていた。そんな中で、ノリの良い「Tie Your Mother Down」はライヴの定番曲となった。フレディは、この楽曲の歌詞を思いついた時のブライアンは「意地悪な気分だったんだろう」と冗談交じりに話している。

 

14位「One Vision」(1986年)

アルバム『A Kind Of Magic』には表題曲のほか、「Who Wants to Live Forever」や「Friends Will Be Friends」など力強い楽曲が並ぶ。だが原点回帰作としての同作を決定づけたのは「One Vision」だった。自信に満ちた同曲からは、1985年7月の”ライブ・エイド”の大成功以降のバンドの団結がひしひしと感じ取れる。イギリスのシングル・チャートでは7位まで上昇した。

 

13位「I Want It All」(1989年)

1989年の「I Want It All」制作時、ブライアン・メイの結婚生活は終わりを迎え、彼は女優のアニタ・ドブソンと付き合い始めていた。「全部ほしい、今すぐほしい / I want it all and I want it now」というのはアニタ・ドブソン(ドラマ『イーストエンダーズ』への出演で知られる)の言葉で、ブライアンはそれをヒントにパワフルなアンセムを書き上げた。

同曲は80年代のイギリスで一部に色濃くあった貪欲さや野心をうまく反映している。ブライアンがフレディと一緒に歌うパートがあるが、

僕はひとつのことしかできない男/一度の人生ではやることが多すぎる
I’m a man with a one-track mind/So much to do in one lifetime

といった歌詞はリスナーの琴線に触れるものだった。この曲はイギリスのチャートで3位を記録している。

 

12位「You’re My Best Friend」(1976年)

名ラヴ・ソング「You’re My Best Friend」はジョン・ディーコンが妻のヴェロニカ・テツラフに向けて書いたもので、1976年にヒットとなった。ジョンは同曲でウーリッツァーの電子ピアノ(フレディは「ひどい楽器だ」と酷評していた)を弾いている。フレディの死後、ジョンは一線から退き、ロンドン郊外で妻や子どもと静かに暮らし始めた。

 

11位「Hammer To Fall」(1984年)

クイーンは驚くべきパフォーマンスをみせた”ライブ・エイド”のステージで、3曲目に「Hammer To Fall」を演奏した。力強い同ロック・ナンバーは、ソ連とロナルド・レーガン政権下のアメリカで冷戦の緊張が高まる中でブライアンによって書かれた。核戦争の危機は「キノコ雲の影で / in the shadow of the mushroom cloud」といった歌詞で表現されている。

 

10位「Don’t Stop Me Now」(1979年)

華やかな「Don’t Stop Me Now」には、フレディの多才さやヴォーカリストとしての力量が存分に発揮されている。この曲はアルバム『JAZZ』の収録曲として制作され、1979年にトップ10入りするヒットとなった。

アルバムのレコーディングはフランスで行われ、フレディは異国での社交を楽しんだという。フロントマンとして自信に満ち、自作の楽しげなこう歌詞を歌い上げる

They call me Mr Fahrenheit/I’m travelling at the speed of light
連中は僕をミスター・ファーレンハイトと呼ぶ/僕は光の速度で移動する

この曲でフレディは、楽しみを求めることを自由に賛美しているのだ。

 

9位「Was It All Worth It」(1989年)

クイーンの1989年作『The Miracle』収録の「Was It All Worth It」は、ロック・スターが人生を内省的に振り返る感動的な楽曲だ。同曲のレコーディング後、フレディはメンバーにエイズと診断されていることを明かした。ロジャーによればフレディはこう話したという。

「この話はしたくない。ただ活動を続けて、くたばっちまうまで働きたいんだ。みんな、手を貸してほしい」

 

8位「Somebody To Love」(1976年)

「Somebody To Love (愛にすべてを)」には、ソウルフルでゴスペル風の名ポップ・ナンバーを生み出すクイーンの力が表れている。精神的な救済を歌ったフレディによる歌詞は、アルバム『A Day At The Races』の先行シングルとしてこれ以上ないもので、シングルとしては全英2位を記録。フレディは敬愛するアレサ・フランクリンを意識してこの曲を書いたとされる。

 

7位「We Are The Champions」(1977年)

フレディ・マーキュリー作の「We Are The Champions (伝説のチャンピオン)」は、世界で最も有名なロック・アンセムのひとつだ。2005年の調査では、世界一の人気曲に選ばれている。スポーツ・ファンにとってもお馴染みで、1994年のワールド・カップでは公式テーマ・ソングにもなった。

「祝福の歌なんだ」とドラマーのロジャーは話す。「”We Are The Champions”でいう”僕たち / We”はみんなのことで、僕たちバンドだけのことじゃない」。

同曲のビデオはロンドンのドルリー・レーンにある会場で撮られ、クイーンのファン・クラブ会員1,000人以上が集まった。ロジャーによれば、50テイクも撮ってようやく完成したらしい。

 

6位「Another One Bites The Dust」(1980年)

ロサンゼルスでクイーンのライヴを観たマイケル・ジャクソンは楽屋を訪れた。そこで彼は、8枚目のアルバム『The Game』に収録されていたジョン・ディーコン作の「Another One Bites The Dust (地獄へ道づれ)」がポップ・チャートでヒットするだろうと話した。

1980年10月にシングル・カットされた同曲は、3週間に亘り全米シングルチャートで首位を記録した。ブライアンはこう語っている。

「僕たちが世界一のバンドになった瞬間はそれまでにもあった。“Another One Bites The Dust”はある種、それを確固たるものにしたんだ。突然R&B界に進出したんだからね」

 

5位「Under Pressure」(1981年)

フレディ・マーキュリーとデヴィッド・ボウイによる世紀のデュエットは、スイスのモントルーにあるマウンテン・スタジオでの即興ジャム・セッションから派生したものだ。フレディとボウイはどちらが大きい歌声を出せるかと競って遊んでいた。そこへジョン・ディーコンが跳ねるようなベースラインを弾き始めると、フレディのスキャットをはじめ他が自発的に加わった。ボウイは、彼とフレディはお互いの歌を聴かず、決め事をせずに即興演奏と合わせてメロディを歌おうと提案した。ブライアン・メイはこう回想する。

「まずは僕たちがひと通りバック・トラックを作った。バック・トラックが出来るとデヴィッドはこう言った。『よし、じゃあ僕たちはヴォーカル・ブースに入って、思い浮かんだままそれぞれにメロディを歌おう。それを後で組み合わせよう』って」

この驚くべきポップ・ソングは全英1位となった。ボウイは1992年、フレディの追悼コンサートで同曲を演奏している。

 

4位「Crazy Little Thing Called Love」(1980年)

フレディがミュンヘンのバイエリッシャー・ホフ・ホテルで泡風呂に浸かりながら書いた「Crazy Little Thing Called Love (愛という名の欲望)」は、大ヒット曲になった。「僕は愛の深い人間だ。この曲では愛のことを歌っているのさ」とフレディは話している。クイーンによるこの往年の名曲は、多くのミュージシャンにもカヴァーされ親しまれている。ロバート・プラント、ドワイト・ヨアカム、ダイアナ・ロス、マイケル・ブーブレ、ショワディワディらはその一部だ。

 

3位「Killer Queen」(1974年)

上流階級の娼婦を題材にした絢爛な楽曲。「Killer Queen」は、アルバム『Sheer Heart Attack』に収録され、綿密なハーモニーを生み出すクイーンの息を飲むような技量を見せつけた。シングルとしては1974年10月にチャートの2位となり、アメリカでは初のヒット曲となった。この曲にはクイーンが評価される所以であるエネルギーが満ちている。

「ノエル・カワードが歌いそうな曲だろう」とフレディは冗談を言う。ブライアンは同アルバムが、バンドが求めるサウンドを見つける上でのターニング・ポイントになったと感じているようだ。「Killer Queen」における重ね録りのギター・パートではなんと12回ものオーヴァーダビングが施されている。

 

2位「We Will Rock You」(1977年)

「We Are The Champions (伝説のチャンピオン)」と「We Will Rock You」は、文化的にも重要なアンセムになった。アルバム『The News of the World (世界に捧ぐ)』に収されているこの2曲は、両A面でシングル・カットされ、全英2位、全米4位となった。

2000年にはヴォーカル・グループの5iveが「We Will Rock You」をカヴァー。同ヴァージョンではギターにブライアン・メイ、ドラムにロジャー・テイラーがそれぞれ参加し、チャートで1位を獲得した。ブライアンはこう話す。

「“We Will Rock You”で僕たちはロック・アンセムのバンドとして確立されたんだ。冗談じゃなく『アンセムズ』というアルバムを作るべきだったかもね」

 

1位「Bohemian Rhapsody」(1977年)

6分間の壮大な曲「Bohemian Rhapsody」はフレディ・マーキュリーの作で、アルバム『A Night At The Opera (オペラ座の夜)』に収録された。同曲はまさに現代音楽の傑作といえる。独創的な同曲を歌うフレディのヴォーカルには気迫がこもり、聖歌隊のようなサウンドになるまでオーヴァーダビングが繰り返された。

ABBAのビョルン・ウルヴァースはこう話す。「“Bohemian Rhapsody”を聴いたときは、嫉妬で青ざめた。ロックやポップを普通の道から外したオリジナリティの塊のような曲だ」。印象的なマルチ・アングル・ショットを含む見事なビデオは、ブルース・ゴワーズの演出によるものだ。

「Bohemian Rhapsody」はクリスマスに全英シングルチャートで1位を2度獲得した唯一の曲でもある。最初は1975年のクリスマスに首位となり、その16年後、フレディがこの世を去ったクリスマスに頂点へ返り咲いていた。同曲は1977年以降、260万枚以上を売り上げ、2018年12月には最もストリーミング再生された20世紀の楽曲になった。

Written By Martin Chilton



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