ベック、モダン・ロックの最前線を躍進する音速の実験家
1970年7月8日に生まれたの音速の実験家、本名ベック・デヴィッド・キャンベルはここまで目覚ましい作品を作り上げてきた。革新的且つ個性的な彼の作品は、初期のインディー時代から『Mellow Gold』でのブレイクを経て、2017年の『Colors』まで、毎回リリースされる度に進化を遂げている。
それは、これまでの数え切れないコラボレーションやゲスト出演、そして、彼の作曲した楽曲を参加アーティストがそれぞれ独自の解釈を通してレコーディングした2012年発表のコンピレーション・アルバム『Song Reader』よりも以前に始まっていた。
彼のサウンドへの探求が華々しく開花した瞬間、彼はほぼ間違いなく、その才能と共に最前線を躍進するアウトサイダーとなった。彼の楽曲「Loser」がヒットを記録した時、他の誰より彼自身がその事実に驚いていた。「初めてヒットしてるって知った時、何かのジョークだと思ったよ」、1994年のオプション・マガジンの取材にベックはこう語っている。
「だからしばらくは気にしてなかったんだけど、大手ラジオ局が楽曲をオンエアしたり、チャートに入ってきたりして、ようやくそれが現実なんだってわかったんだ。でもやっぱりその事実が受け止め切れずに、7ヶ月間くらいはそれに対して何かすべきなのか、もしくはやり過ごすべきなのかを考えてた」
幸いにも彼はそれをしっかり受け止め、その後現代音楽シーンにおいて最も有名な作品のひとつを作り上げた。グラミー賞で3部門を受賞したアルバム『Morning Phase』リリース後は、先行シングル「Wow」や「Dreams」、そしてサッカー・ゲーム”FIFA 2017″に起用された「Up All Night」で次なるアルバムへと向かっていった。
2017年10月に『Colors』を発表する前にも、彼を尊敬してやまないレディー・ガガのアルバム『Joanne』に収録されている「Dancin’ In Circles」で魅力的なコラボレーションを披露している。2018年7月からは、新作を引っ提げての北米ツアーがデトロイトから開幕し、10月までの日程が予定されている。その後の彼の予定といえば?かつてないほど新作が待ち望まれていることだろう。
Written By Paul Sexton