アップル・レコードの発展に貢献したバッドフィンガーの2作目『No Dice』
アップルのレーベルの発展にとって最も重要なグループのひとつがザ・ビートルズの弟子、バッドフィンガーだった。バッドフィンガー名義の2枚目のアルバム『No Dice』はイギリスで1970年11月27日に発売された。
彼らがアイヴィーズという名前で活動していた1969年に「Maybe Tomorrow」でアップルからデビューを果たした。この曲は、当時評判が急上昇していたプロデューサーのトニー・ヴィスコンティとビートルズのサイドマン、マル・エヴァンズの共同プロデュースによる作品だった。アイヴィーズからバッドフィンガーと改名して1970年初めにアルバム『Magic Christian Music』をリリース。これにはポール・マッカートニーが制作とプロデュースをしたメジャー・ヒット・シングル「Come And Get It(邦題:マジック・クリスチャンのテーマ)」が収録されていた。
そして同年の年末には次のアルバム『No Dice』を発表。このアルバムには2作目となるヒット・シングル「No Matter What(邦題:嵐の恋)」、そして1972年にハリー・ニルソンによって世界的なヒットとなった「Without You」のオリジナル・ヴァージョンが収録されていた。
『No Dice』は、ギタリストのロン・グリフィスの代わりにジョイー・モーランドがメンバーとしてバッドフィンガーに加入したアルバムだ。「No Matter What」やその他の楽曲を書いたピート・ハムが主要な楽曲の制作に貢献していたものの、ジョイー・モーランドは共同ではあるがアルバムに収録されている4曲を書いた。トム・エヴァンズはプロデューサー業をもう一人のビートルズのコラボレーターであるジェフ・エメリックとともに行った。
不思議なことに、バッドフィンガーは『No Dice』で全英チャートを逃しただけでなく、故郷ではアルバムのランキングにすら入らなかった。しかしアメリカでは、『Magic Christian Music』が55位を達成し、17週チャート入りしており、このアルバムに至っては最高28位を記録、15週チャート入りを続け、バンドの最高記録となった。「Come And Get It」の7位の成功を経て、「No Matter What」もトップ10入りし、8位に続いた。そのシングルの貴重なプロモーション・ビデオをこちらから視聴できる。
Written by Paul Sexton
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バッドフィンガー『No Dice』