ザ・ビートルズ『Meet The Beatles』の内容:アメリカが彼らに出会ったアルバム
これはビートルズ・マニアにはよく知られている話だが、それほどのマニアでない人には少しややこしく感じられるかもしれない。ザ・ビートルズのアメリカでのセカンド・アルバム『Meet The Beatles』は、1964年1月20日にアメリカで発売された。このアルバムには、その2カ月前に出た英国盤のセカンド・アルバム『With The Beatles』の収録曲が大部分収められていた。
『With The Beatles』の残りの曲は、その後に発売となる次の米国盤アルバム『The Beatles’ Second Album』に収録される。この『The Beatles’ Second Album』は、“セカンド・アルバム”と題されているが。実はアメリカで出た3枚目のアルバムだった。というのも最初の米国盤アルバム『Introducing… The Beatles』は既にインディー・レーベルのヴィージェイから出ていたからだ。一方そのヴィージェイから出た最初のアルバムは、2枚目のアルバムの1カ月あとにようやくチャート入りしている。さて、まだ話について来れているだろうか?
<関連記事>
・『Meet The Beatles!』と出会ったアメリカの反応
・『Let It Be』はどうやってできたのか:ゲット・バック・セッションと屋上ライヴ
・ザ・ビートルズの映画はいかにしてシネマの未来に影響を及ぼしてきたのか?
選りすぐりの内容
要するに、『Meet The Beatles』は「ビートルズに会おう」という題名の通りの働きをしていた。つまり、このアルバムで初めてザ・ビートルズに触れたアメリカのファンがたくさんいたのである。UKのパーロフォン・レーベルに遅れて米国盤を発売することになった米キャピトル・レーベルは、その遅れを挽回するため、このアルバムを選りすぐりの内容にしていた。
英国盤アルバム『With The Beatles』には14曲が収録されており、その多くはジョン・レノンとポール・マッカートニーの共作曲で占められていた。レノン&マッカートニーの作品は14曲中7曲。さらにジョージ・ハリスンの曲が初めて取り上げられている(「Don’t Bother Me」)。残りの6曲はカヴァーで、うち3曲はモータウンの楽曲だった(「Please Mister Postman」「‘You’ve Really Got A Hold On Me」「Money (That’s What I Want)」)。
一方、米国盤アルバム『Meet The Beatles』には全12曲が収録されていた。冒頭の3曲(「I Want To Hold Your Hand(抱きしめたい)」「I Saw Her Standing There」「This Boy」)は英国版『With The Beatles』には未収録の曲。残りの9曲は『With The Beatles』から選ばれており、このとき選ばれなかった3曲(「Postman」「Hold On Me」チャック・ベリーの「Roll Over Beethoven」)は3カ月後に『The Beatles’ Second Album』に収められ、ようやくアメリカでもレコード化されることになった。
『Meet The Beatles』は発売後わずか2週間で全米チャートの首位に到達。そこに11週間留まったあと『The Beatles’ Second Album』に席を譲った。レコードは矢継ぎ早に発売されたが、それでもビートルズの熱狂的なファンたちは満足せず、さらなる新作を待ち望んでいた。
Written by Paul Sexton
- 『Sgt Pepper’s』が後世に与えた影響
- ザ・ビートルズの初めてのマハリシと出会い、そしてエプスタインの死
- Abbey Road:ザ・ビートルズと横断歩道、そして8トラック・レコーダー
- ザ・ビートルズ”The White Album”の制作秘話と9つの楽曲エピソード
- 「ルーフトップ・コンサート」50周年を記念した“立版古”登場
- 映画『ザ・ビートルズ:Get Back』が全米のIMAXで1日限りの特別上映決定
- 『Let It Be』はどうやってできたのか:ゲット・バック・セッションと屋上ライヴ
- ザ・ビートルズの映画はいかにしてシネマの未来に影響を及ぼしてきたのか?
2021年10月15日発売
5CD+1Blu-ray / 2CD / 1CD / 4LP+EP / 1LP / 1LPピクチャーディスク
最新ドキュメンタリー
『ザ・ビートルズ:Get Back』
ディズニープラスにて全3話連続見放題で独占配信中
監督:ピーター・ジャクソン (「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ、『彼らは生きていた』)
出演:ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター
伝説のロックバンド、ザ・ビートルズの3日連続6時間の時空を超えた《体験型ドキュメンタリー・エンターテイメント》が、ディスニープラスで独占配信。巨匠ピーター・ジャクソン監督によって、“Get Back(復活)”を掲げて集まった4人が名盤『Let It Be』に収録される名曲の数々を生み出す歴史的瞬間や、ラスト・ライブとなった42分間の“ルーフトップ・コンサート”が史上初ノーカット完全版として甦る。解散後、半世紀を超えて明かされる衝撃の真実とは?
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン ©2021 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト
立版古/ザ・ビートルズ『ルーフトップ・コンサート』
発売日:2019年01月25日
価格:1,080円(税込)
A4サイズ(ジオラマ完成時は幅18.5 cm x 高さ12.5 cm x 奥行き9 cm)
- ザ・ビートルズ アーティスト・ページ
- ビートルズの『Abbey Road』発売当時の賛否両論と傑作と評される理由
- ザ・ビートルズ『Abbey Road / アビイ・ロード』50周年記念エディション発売決定
- 『Abbey Road』50周年記念、ハリウッド・ブルーバードが通行止めになりあの横断歩道が出現
- ザ・ビートルズ『Abbey Road』が49年252日ぶりに全英アルバムチャート1位に舞い戻る
- 映画『イエスタデイ』公開を受け、ビートルズの名曲の数々が全米チャートに急浮上
- ビートルズの前身バンド、ザ・クオリーメンが集結&ドキュメンタリー映画が公開
- Abbey Road:ザ・ビートルズと横断歩道、そして8トラック・レコーダー
- ザ・ビートルズに多大な影響を与えたバディ・ホリーの「Words Of Love」
- ビートルズがブライアン・エプスタインと交わした初の契約書がオークションに出品
- レノン、クラプトン、リチャーズらによるザ・ダーティー・マックの未発表音源が公開
- ザ・ビートルズの無名時代の録音:トニー・シェリダン&ザ・ビート・ブラザーズ
- ザ・ビートルズ関連記事一覧