ユーロヴィジョン・ソングコンテスト1位となり世界が変わったABBA「Waterloo / 恋のウォータールー」

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5月 4, 2020

Rob Miller

1973年のクリスマスの6日前、アバのアグネッタ、ビョルン、ベニー、アンニ=フリッドはスウェーデン・ストックホルムのメトロノーム・スタジオにいた。この年の2月、アバはビョルン、ベニー、スティッグ・アンダーソンの共作曲「Ring Ring」でユーロヴィジョン・ソング・コンテストの予選の3位に入っていた。

「今度はもっと高い順位を目指し、本選（翌年の4月6日にイングランドで開催）への出場権を獲得しよう」

このときアバの面々はそんな風に考えていた。そしてそんな思いを胸にレコーディングした曲「Waterloo（恋のウォータールー）」で、状況は一変することになる。

翌年の2月、この新曲はユーロヴィジョン・ソング・コンテストのスウェーデン地区予選で1位となり、見事スウェーデン代表となった。この「Waterloo」（当初のタイトルは「Honey Pie」というものだった）は、1815年のワーテルロー（Waterloo）の戦いでナポレオンが降参したように、女の子がロマンスに降参するという内容だった。

4月の本選では「Waterloo」は2位のイタリア代表に6ポイント差で優勝を果たす。この年はフランス代表が欠場していたため、アバはナポレオンの故郷であるフランスの威信を傷つけずに済んだ。「Waterloo」はフィンランドとスイスがトップの点数を付けたが、イタリアやイギリスを含む5つの国からは”ゼロ・ポイント (nil points)”と評価された。

ユーロヴィジョンの歴史の中で、アバは珍しい優勝者となった。母語ではなく英語で歌った曲で1位を獲得したのはこれが初めてだったのである。この年のコンテストでは、英語で吹き込んだことがおそらく有利に働いたのだろう。そしてそれは、全英チャートでも間違いなく有利に働いた。イギリスで3月12日に発売された「Waterloo」は4月20日にチャートに入り、2週間後の5月4日には首位を獲得し、2週間1位となった。こうしてイギリスでアバの人気が沸騰し始めたのだ。

そしてアバは、イギリス以外のチャートでも旋風を巻き起こしていく。「Waterloo」はベルギー、デンマーク、フィンランド、西ドイツ、アイルランド、ノルウェー、南アフリカ、スイスで1位を獲得。またオーストラリア、フランス、オランダ、スペインではトップ3に入り、アメリカでも最高6位を記録する大ヒットとなったのだった。

意外かもしれないが、故国スウェーデンでは「Waterloo」は1位を獲得し損ねている。スウェーデン語ヴァージョンは最高2位、英語ヴァージョンも最高3位に留まったのである。しかしながら、故国での彼らの人気が今ひとつだったというわけではない。彼らのスウェーデンにおける人気は圧倒的で、アバのアルバム『Waterloo（恋のウォータールー）』は同国のチャートで1を獲得したのだった（当時スウェーデン・チャートはシングルとアルバムの売り上げを合わせて集計していた）。

このアルバム『Waterloo』は現在デラックス・エディションで再発されており、オリジナル・アルバムの全曲と併せ、ボーナス・トラックが8曲追加されている。その8曲の中には、「Waterloo」の各国語ヴァージョン（スウェーデン語、フランス語、ドイツ語）、および英語ヴァージョンのリミックスが含まれている。さらには、「Honey, Honey」のスウェーデン語ヴァージョン、米国盤アルバムに収録されていた「Ring Ring」のリミックス、「Waterloo」に次ぐ第2弾として発売された「Ring Ring」のシングル・ミックス、「Hasta Mañana（邦題: 落葉のメロディ）」のスペイン語ヴァージョンも収められている。

Written By uDiscover Team

アバ『Waterloo』