史上最もセクシーな楽曲50選
フランス人シンガーのセルジュ・ゲンスブールが愛人ブリジット・バルドーの為に曲を書いたのは、1967年の冬だった。彼等はこの曲をミシェル・コロンビエのアレンジによりパリでレコーディングしたが、ブリジット・バルドーの夫ギュンター・ザックスがこのことを聞きつけ、レコードのリリース中止を要求し…その通りになった。セルジュ・ゲンスブールは当時、「俺は従った」と言い、「これは非常にピュアな音楽だ。俺は人生で初めてラヴ・ソングを書き、それが悪く受け止められただけ」と付け加えたと伝えられている。
1968年、セルジュ・ゲンスブールとイギリス人女優のジェーン・バーキンは『スローガン』という映画のセットで出会い、すぐに親しくなった。カップルは「Je t’aims…moi non plus」をアーサー・グリンスレイドのアレンジにより、ロンドンのマーブル・アーチ近くのパイズ・スタジオでレコーディングした。ジェーン・バーキンいわく、「喘ぎ声の時ちょっと調子に乗り過ぎちゃって、落ち着きなさいって言われちゃったの。完全に息を止めてしまった瞬間があったくらいよ。いまレコードを聴いてみれば、この一瞬の間(ま)にきっと気づくと思うわ」。
シングルは1969年2月にフォンタナ・レーベルからリリースされ、そのジャケットは“Interdit aux moins de 21 ans / 21歳未満は聴けません”という言葉が書かれたシンプルなものだった。これが実際のセックスの音をレコーディングしたものなのか否かと、当時マスコミの憶測が飛び交った時、セルジュ・ゲンスブールは怒りながら、もしふたりが本当にやっていたのなら、45回転盤ではなくLPにしただろうと示唆した。シングルはイギリス・チャートで2位を記録した後、フォンタナに回収された。セルジュ・ゲンスブールはメジャー・マイナー・レコードと契約を交わし、再リリース版はナンバー・ワンに輝いた。これはイギリスで初めてナンバー・ワンになった発禁シングルであり、初めてチャート1位になった外国語によるシングルだった。
多くのラジオ局で放送禁止になったにも拘らず、この曲は世界中でよく売れ、1969年2月27日の週にはイギリス・チャートのトップに輝き、ビルボード・チャートで58位を記録した。ドイツ、オーストリア、オランダ、アイルランド、ノルウェー、そしてスイスでは3位になった。
言うまでもなくBBCが放送禁止にしたイギリスでは、キーボーディストのティム・マイクロフトが率い、自ら“サウンズ・ナイス”と名乗るスタジオ・バンドが、「Love At First Sight」なるカヴァー・ヴァージョンをリリースした。グループ名の“サウンズ・ナイス”とは、このインストゥルメンタル・カヴァーを聴いたポール・マッカートニーが発した言葉だった。
これは史上最もセクシーなレコード50選のリストを作成するのに当たり、我々に強いインスピレーションを与えてくれた作品だ。我々が見逃したものがあったら、ご意見ぜひお聞かせください。
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