ゲイリー・ムーアの20曲:北アイルランド出身のギター・ヒーロー
もし優れたギタリストが、それ以前の音楽を取り入れそこから受けたインスピレーションを唯一無二のパフォーマーになるために使うのだとしたら、ゲイリー・ムーア はその最高の部類に入る。我々はこの記事で2011年2月6日に他界した北アイルランド出身のギター・ヒーローに敬意を捧げよう。
58歳だった彼の死は、非常にショッキングな出来事であった。しかし、彼は40年近くに及び、音楽という遺産を残してくれた。もちろん、スタジオでもステージ上でも偉大なギタリストであるという名声も。我々が厳選したプレイリストをここに発表する。ゲイリー・ムーアの持つ魅力をこの20曲にまとめられていることを願う。
今回のプレイリストには、主に彼のソロ作品にスポットライトを当て、スキッド・ロウ、Gフォース、そしてシン・リジイといったバンド時代の大量の曲は割愛した。プレイリストは1978年のアルバム『Back On The Streets』から始まる。ゲイリー・ムーアのソロ・デビュー作であり、シン・リジィのヴォーカルで彼の友人のフィル・ライノットと組んだロマンチックなシングル「Parisienne Walkways(パリの散歩道)」が全英チャートで10位を達成した際には、彼の熱烈なギターはより多くの人々に広まった。
そこからゲイリー・ムーアは、妥協しないブルースを注入したロック作品を30年間に渡って出し続ける。その中には、1980年代にトップ40入りを果たした『Corridors of Power』と『Victims of the Future』、1987年発表の『Wild Frontier』も含まれる。次なるステージは、1990年発表の『Still Got The Blues』と共に訪れた。このアルバムでは彼が尊敬するミュージシャンへの広い敬意が、アルバート・キングやアルバート・コリンズ(「That Kind Of Woman」)、ジョージ・ハリスンの参加によって強調されていた。
1992年には、もうひとりのヒーロー、B.B.キングと共に絶頂期を迎えた。B.B.キングはよくゲイリー・ムーアを褒めたたえており、ゲイリー・ムーアと共にアイヴォリー・ジョー・ハンターの代表曲「Since I Met You Baby」(ムーアにとって全英チャート最高位の4位を獲得した『After Hours』収録)を演奏した。
それからゲイリー・ムーアは、ジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーと組んで、強力な3人組BBMのメンバーとなり、1993年に『Around The Next Dream(邦題:白昼夢)』を発表した。
ゲイリー・ムーアのレコーディングの冒険は、『Back To The Blues』や『Old New Ballads Blues』といったアルバムで2000年代に入ってからも続き、2008年の最後のアルバムとなった『Bad For You Baby』で幕を閉じた。それはゲイリー・ムーアにとって、ブルースへの回帰ではなかった。彼は一度もブルースを離れたことなどないからだ。そして彼が愛した音楽に対する貢献は、計り知れないものであった。
Written By Paul Sexton