ビリー・レイ・サイラスがリミックスに参加したLil Nas X「Old Town Road」の全米チャート・ジャンル論争
カントリー・シンガーとして長きに渡って活躍するビリー・レイ・サイラスが新鋭ラッパー、Lil Nas Xのヴァイラル・ヒット「Old Town Road」のリミックスに参加した曲が、全米”カントリー”・チャートに相応しい楽曲なのかという論争の渦中にある。
先月、ビルボードは、全米シングル・チャートとR&Bチャートにも入ったこの曲を、カントリー・チャートから除外する決断を下した。ヒップ・ホップのビートをベースに、バンジョーがフィーチャーされ、リリックでは乗馬やカウボーイ・ハット、そしてフェンディのスポーツ・ブラについて綴られているこの曲のオリジナル、そして今回のリミックス・ヴァージョン共に、ジャンルの境界線が曖昧なのだ。
「Old Town Road」は、iTunesやサウンドクラウドといったプラットフォームではカントリーとして分類されていたために、この決断がジャンル問題、そして人種問題までにも延焼した論争に火を付けた。これを受けて、ビルボードはローリング・ストーン誌にこう答えている。
「検討を重ねた結果、Lil Nas Xの‘Old Town Road’がビルボードのカントリー・チャートに含まれるのは適切ではないと判断しました。楽曲のジャンルを分類する上で、いくつかの吟味すべき要素がありますが、その中でも音楽的構成は最優先事項です。‘Old Town Road’はカントリーやカウボーイとの関連性を組み込んだ楽曲ではありますが、カントリー・チャートの対象になるほど今日のカントリー・ミュージックの要素を十分に含んではいません」。さらに、ビルボードの広報担当者はWEBメディアのジーニアスの取材に対し、この決断は「アーティストの人種とは一切関係ないものです」と述べた。
一方、Lil Nas Xはタイム誌の取材に対し、この曲はカントリーとトラップ、そしてサブジャンルとしてサザン・ヒップホップの要素を十分に含んでいるはずだ、と語っている。「この曲はカントリー・トラップなんだ。どれかひとつでも、どちらかでもない。両方さ。だから両方のジャンルのチャートに入るべきだ」。
リミックスに登場するビリー・レイ・サイラスもまたこの議論に参入し、こうツイートしている。「‘Old Town Road’に関して巻き起こっている論争を見守っている。この曲がカントリー・チャートから外されたことを知ったウェイロン・ジェニングスは僕に、“光栄なことだと思ったらいいよ”って言ってくれたけど、何かすごいことをやってのけたっていう意味だろ。アウトローは掟破りなのが常なのさ。こちら側の世界へようこそ!」
Written By Paul Sexton
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