現在94歳の伝説的歌手のトニー・ベネットが、アルツハイマー病であることを公表
現在94歳の伝説的歌手、トニー・ベネット(Tony Bennett)が、アルツハイマー病と診断されたことを明らかにしたと彼の妻スーザンが今週、AARP誌の取材に語っている。
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トニー・ベネットは2月1日朝にこうツイートしていた。
「人生は贈り物です、たとえアルツハイマーであっても。スーザンと家族のサポートに感謝します」
トニー・ベネットの妻スーザンと長男のダニーが同誌に語ったところによると、彼は2015年頃に初期症状が出始め、2016年にアルツハイマー病と診断されたという。
「彼の記憶や意識がますます薄れていく瞬間に、彼の病状が進行していることを悟ります」とスーザンはAARP誌の取材に語った。
トニー・ベネットは現在、短期的な記憶喪失に苦しんでいるが、重度の見当識障害や長期的な記憶喪失など、アルツハイマーの致命的な症状は見られていない。トニー・ベネットを診断した神経科医のガヤトリ・デヴィは次のように語っている。
「彼は94歳という年齢で、認知症を患っていない多くの人々ができないことをしています。彼は、認知障害を持った方々にとってまさに希望の象徴なのです」
アルツハイマー病の診断を受けたにもかかわらず、トニー・ベネットは自身最後の作品となるかもしれない、レディー・ガガとの2作目のデュエット・アルバムのリリースを計画している。
トニー・ベネットとレディー・ガガは、2014年のアルバム『Cheek to Cheek』で初めてコラボレーションを果たし、“グレイト・アメリカン・ソングブック”(アメリカ古来の流行歌やジャズのスタンダード・ナンバー)のレコーディングを行った。
よく知られているナンバー(ナット・キング・コールのスタンダード「Nature Boy」のカヴァー)から、知られざる名曲(トニー・ベネット自身の「Firefly」)に至るまで、アルバム『Cheek To Cheek」での魅惑的且つ流麗なミックスは、両アーティストにそれらのスタンダートを過激に作り変えることなく革新するスペースを与えた。
最初のコラボ・アルバムの成功を受けて、トニー・ベネットのアルツハイマーの症状が進行していたため、レディー・ガガと彼は2018年から2020年にかけて続編のレコーディングに取り掛かり始めていたという。
AARP誌のインタビューの中で、息子のダニーは、トニー・ベネットの病気を世間に公表する前にレディー・ガガと話をしたことを明かしている。
「彼女はいつも父のことを気にかけているので、彼女が(病気を公表することを)受け入れてくれるかどうかを確認したかったんです。彼女は、“それは紛れもなく、彼が世界に与えることができるもう一つの贈り物です”と言ってくれました」
2015年から闘病を始めたトニー・ベネットだったが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、ライヴハウスのほとんどが閉鎖を余儀なくされた昨年3月までライヴ活動は続けていた。現在彼は、ツアーの代わりに、長年のピアニストであるリー・ミュジカーの自宅でリハーサルを行っている。
「歌うことが彼にとっての全てなんです。人生の全てであり、彼の命を何度も救ってきました」と妻スーザンは語った。
Written By Sam Armstrong
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トニー・ベネット&レディー・ガガ『Cheek To Cheek』
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